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【打】Truth〜護持世界の英雄達と真理到達〜  作者: 望木りゅうか
第一章〔欺瞞信念〕
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想像できない財力

「そうだ。もう体動かせれる様になっただろ?立って、素振りしてみろ」

 そう言いながら、剣を手渡された。


「?はい……」

 困惑しながらも、とりあえず剣を取って素振りしてみる。


「……!?身体が……軽い!!」

 明らかに前より身体が軽くなっている。

 なんで?

 一旦剣を振るのを止め、何故かと考えているとミカとナミアが歩み寄って来た。


「どうです?私と立ち会った成果は。かなり身体能力が上がっているはずですよ」

 ちょっと数回ジャンプしてみる。そのお陰で確信した。

 気のせいではない、確実に身体能力が前の数倍以上に跳ね上がっている。


「はい!でもたった一回の立ち会いでこんなに身体能力が上がるものなんですか?」


「そうなの。ミカって、教えるの、すっごく上手いのよね……なんで?」

 自分の説明で自分が納得し切れなかったのか何故か理由を求めるナミア。しかも、アルメスに向かって求めている。勿論、アルメスがその理由を知るはずがない。


「僕に聞かれても困るんですけど……」

 そんなナミアを見て、説明できないのかと深いため息を溢すアサナト。

 もうミカを見て、説明してやってくれと訴えかける。

 ミカが頷く。


「アルメスさんの持つ生命力や魔力、その他のアルメスさんの『身体能力や強さ』を構成する要素を実力確認の時に確認してコピーし、その後の立ち会いにて、その要素を増幅させた物を問題なく受け入れて貰うために、要素を受け入れるための許容上限を、立ち会いの時にアルメスさんの努力によって自力で上げてもらって、上限が底上げされたタイミングで投げつけた訳です。」


「……そうなんですか。ってもしかして、その後どっと疲れたのはそのせいなんですか?」

 その話を聞いて、ふと立ち会い後の記憶を思い出した。


「まあそうですね」

 なんかズルして強くなった気分だけど、上限は自分で上げたんだし、いっか。

 そんなアルメスの耳に、ナミアの声が響く。


「そうなの!?」


「逆になんでお前は分からないんだっ」

 ナミアのお馬鹿具合に呆れたのか、アサナトがナミアの頭にチョップを入れる。


「いたぁい……」

 可愛く攻撃を食らった頭を抑えるナミア。




「というか、もうこんな時間か」

 アサナトが十二時を過ぎたばっかりの時計に気付く。


「運動してお腹も空きましたしね、庭でお昼でも、どうでしょう?」


「いいわね!さっそく行きましょう!!」

 そうして、僕たちはお昼を取りに庭に向かった。




 ♢





「でかいだろうと思っていましたけど、簡単に想像を超えて来ますね……」

 いくら宮殿と言えど、庭はちょっとした噴水と花壇位だと思ったが、訂正。広過ぎる。

 とんでもなく大きな池とその真ん中あたりにある大きい休憩所の様な建物と、花壇。ではなくアルメスの視界いっぱいを覆う色とりどりの花畑。

 そして街の真ん中にある噴水の倍以上ある大きさの噴水。

 宮殿の敷地の中ということを感じさせない程の自然さを醸し出している。


「このくらいのことで驚いていたら世話ないぞ」

 アサナトが後ろから呆れた声で答える。

 その言葉に多分無理だろうと思い、ため息を溢す。


「何時もの場所で食べます?」

 何時もの場所……?と思ったが、まあ付いていけば分かることなので、聞くのは止めておいた。


「それでいいんじゃないか?」


「わたくしもそれで賛成ですわ、今日も暑いしね……」

 ナミアが照りつける太陽を直に見ないように片手で太陽を遮りながら昨日のことを思い出している様だった。

 昨日の猛暑日に何かあったのだろうか、と考えはするが、気にすることでもないので、詮索は辞めておくアルメス。



 ♢



 池の真ん中にある休憩所に着き、今日のお茶会の様にアサナトとアルメス、ナミアとミカが隣同士に、向き合う形で座った。

 座った所で、ある事に気付く。


(お昼、持って来てなくない!?)

 そう気付いたアルメスは、不安そうに全員に向かって話す。


「あの……お昼持って来ていないんですけど、もしかして、持って来てもらう……とか?」

 ミカが笑みを浮かべる。


「転送魔法で持って来るので大丈夫ですよ」


「転送魔法って、そんな小さいものでも飛ばせるんですね」

 アルメスの知る転送魔法とは、結構最近出て来た新技術で、主に人などの長距離移動の為に使われる、というイメージが強かった。だが、そんな小さなものでも転送出来るのか、とアルメスは感心した。


 そしてミカの言う通り、問題なく食事が出てきた。


 そしていただきますの挨拶を済ませた後、食事を始める。


 結構体を動かしたせいか、食べるスピードがいつもより早い気がする。食事が美味しいせいもあるのかも。


「どうだ、アイレス。アルは合格ラインか?」

 急過ぎて、少し食事を喉に詰まらせる。


「ラインは充分に超えています。これなら色々な任務も行けそうですよ」


「そうか……そうか!よかったなアル!」

 やっと詰まらせた食事を飲み込めたと思ったら、肩に衝撃。痛い。


「……痛いです。って、任務ってなんですか?」

 さっきの会話を聞いてみて疑問に思ったことを聞いてみる。


「簡単に言うとな、冒険者ギルドとかで受領されなかったクエストとか、ギルドに貼れないようなクエストとかを、『任務』として女王近衛隊とか、騎士団が代わりに請け負っているんだ」


「……それって結構やばいのでは?」

 アサナトさんの説明に誤りが無ければ、ギルドで受けられなかったクエストや貼れないようなクエスト=危険なクエストを、僕にやれってって事だよね……?


 無理。絶っ対無理!!


「まあそんな危険すぎる任務には行かせないから安心しろ」

 アルメスの心情を察したのか、アサナトがけろっとした表情で話しかける。

 ホッと安心する。


「しかも心強いナミアとアイレスがいるから大丈夫。守ってやれるさ」


「大丈夫よ。安心しなさい」

 アサナトの言葉に便乗するようにナミアが告げる。


(足引っ張ったりしないかな……)


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