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【打】Truth〜護持世界の英雄達と真理到達〜  作者: 望木りゅうか
第一章〔欺瞞信念〕
3/27

有り得ない気配索敵範囲

 アルメスを連れてその仲間となるものが居るらしい所に向かうアサナト。


(仲間になる人って誰だ……と言うか仲間って誰だろう?僕知らされて無いんですけど??)

  困惑を露わにするアルメス。それもそうだ。勝手に仲間を作られ、急に知らない人に予定も告げずに会えと言われたら誰しも困惑する。






「あら、来た様ですわね」

 

「そうですね。迎える準備をしましょうか」

 アサナト達に気付く二人の人物。

 アサナト達とは数十枚壁を挟んでいるはずなのに、それでも尚魔法を使わず気配のみで察知する人物達。

 相当の実力者だ。




 ♢





「ふ、もう気付いたか。流石だな」

 先を見つめ何かを賞賛するアサナト。


「気付いたって、誰がですか?まさか」

 話途中に察するアルメス。

 

「ああそうだ。お前の仲間だよ」

 そのアサナトの言葉によって推当が当たっていたことを実感する。

 それによってアルメスの頭に新しい疑問が浮かぶ。

 

「あの、本当に仲間って誰なんですか?」

 アサナトが笑みを浮かべる。

 

「サプライズの様なものだからな……だがこれはいいだろう。お前の仲間になるやつらはな、お前の知る人物達だ。」

 若干最初独り言の様に呟くが、仲間のくだりから急にニヤニヤしながら喋り始めるアサナト。


「僕の……知る人物?」

 さらに分からなくなった。

 推測ではかなり手練れの冒険者かと思っていたアルメスの推測に、それは違うと旨の『知っている人物』という単語。


 自分の人生の中で、そこまで手練れの冒険者は会ったことは勿論、見たことすらないからだ。


 正確には、『実力が分からなかった』なのだが。

 

 街行く冒険者は、何百人と見たことはあるが、その全員の名前すら知らない。

 確かに強そうな冒険者を見た事はあるが、『見ただけ』で、知ってる人となる訳は無い。

  勿論、アルメスの親戚にそこまでの実力者はいない。

 アルメスは思案に沈む。


(冒険者とかじゃ無いなら、誰なんだろう?)

 



 ♢




「ほら、ついたぞ、アル」

 思考するアルメスを叩き起こす様に、アサナトがアルメスを呼ぶ。


「え?」

 アサナトに呼ばれたので、取り敢えず思考の為に俯いていた顔を上げると、宮殿の他のドアとは明らかに作りが違う、頑丈そうで、豪華な装飾が施された扉が佇んでいた。


「この先に、仲間達が待ってるぞ」


「……え?入るんですか?この先に?」

 いやいやいや、この感じは絶っっっっ対!!玉座の間とか重要な部屋とかに付く扉ですよね!?

 って知ってる人ってまさか……

 どんどん青ざめていくアルメスの顔。

 そのアルメスを確認し、深くため息するアサナト。

 

 無理矢理アルメスの手を握る。そうしなければ、恐らく一生アルメスが、この先に入らないと思ったから。


「え、ちょ、ちょっと待ってくださいアサ……」

 アルメスの抵抗虚しく扉が勢いよく開けられる。


 扉を開けた先には、アルメス達とは机を挟んで座っている二人の女性が待っていた。


 かなり上品な見た目をしている。


 二人とも豪華絢爛なドレスを着用していて、その様はまるで貴族の様だ。


 ……ん?貴族……?


「!?」

 始めてアサナトにあった時の様に全身硬直するアルメス。


「遅かったわね。準備終わったわよ」

 金髪の上品そうな女性が待ちくたびれた様な表情で二人を迎える。


「扉前でかなり騒いでいた様ですけど、大丈夫ですか?」

 続けて、空色の髪色をした、神聖さすらをも醸し出す女性が、アルメス達を心配する。


「ああ、大丈夫だ。こいつが入るのを渋ったから有無を言わさず入れてやっただけだ。」

 完全に固まったアルメスを叩きながら空色の髪の女性に答える。


「はっ!?」


 アサナトに叩かれ、アルメスが通常に戻される。


 通常に戻ったアルメスが、金髪の女性をふと、見る。


 アルメスの表情が一瞬固まる。


 そして、思い出すかの様に激震のごとく震え始めるアルメス。


「な、ななな、ナミア・レフィナードさん!!!?」


 ナミア・レフィナード。


 女王近衛隊の隊員で、シュプリーム王国との戦争において、『金髪の俊豪』として恐れられた英雄の一人。


 ウヴェール大魔法図書館の館主で、市民からの評判もかなり良い。

 

 そして隣の女性に気付く。


「はっ!?ミカ・アイレス様!?」

 突然跪くアルメス。

 そう、このお方こそ、カラリエーヴァ王国の現女王、ミカ・アイレス様。

 こんな方が居るとは思わなく、跪く準備などしてなかったのにも関わらず、体が無意識に跪いた。

 流石の女王の貫禄。


(この二人が、僕の……仲間!?)


 アルメスは跪き、豪華な装飾が施された赤いカーペットを見ながらアサナトとの会話を思い出す。


 サプライズにも程がある。

 どこに女王様を仲間にする人がいるんだ。

 そんなアサナトの遠回しな悪口を、意図せずに思ってしまったアルメスの耳に、ミカの声が入る。


「そんな身構えなくても大丈夫ですよ。普通に立って、お茶でもしながらお話ししましょう?」

 そんなこと出来ない。とも思ったが、女王の命令なので従うしかないアルメス。

 アルメスが、ただの思い込みの重圧に耐えながら、重い腰を上げる。


 女王達と目が合う。

 偽りの無い優しい目。それで、自分が感じていた重圧は、思い込みだと確信する。

 アサナトと一緒に、女王とのお菓子や紅茶を乗せた机を挟んで向こう側のソファーに二人で腰掛ける。


  女王含む女王近衛隊とのお茶会が始まった。

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