表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4

「今年は少し、騒がしかったものね」


ルナは目に鋭い光を宿し、真っ直ぐにマカを見た。


「しかも用件は、来年まで持ち越しそう?」


「…ああ。マノンの存在が全く掴めていない以上、休みは全く無いだろうな」


「難しい問題ね。カノンは力の使い方が上手い方だしね」


「そう…だな。だが、決着は必ずつけるさ」


マカはケータイを閉じ、深く息を吐いた。


「ただでさえ、外国より珍客が訪れているんだ。ここで血族のみっともないところなんて、見せられるか」


「…かの魔女の一族が、ね。何度か会っているケド…めんどくさい相手が、また厄介な時期に来たものね」


「それでも対処するさ。…我が血族に関わってくるのなら、な」


真剣な表情と声のマカを、店の奥からハズミは見ていた。


「…マカの仕事バカ。でもオレはマカのそんなとこが…」


続く言葉を、飲み込んだ。


彼女の真剣な姿が好きだから。


真摯な思い、強い心、輝きを放つ魂の力に、魅了されてしまったから。


だから、邪魔だけは決してしたくない。


…なりたくもなかった。


だからハズミは、ソウマが企画してくれたクリスマスパーティーにも、笑顔で参加した。


クリスマス前の土曜日の夜、夜通しでパーティーをしてくれることになった。


店の物はソウマが全てどこかへ片付け、今はパーティー会場になっていた。


「それでは! ちょっと早いケド、前倒しクリスマスパーティーってことで。乾杯!」


「乾杯!」


ルナの言葉で、全員がグラスを合わせる。


ルカ達も本当に来てくれて、今年仲間になったハズミとマミヤ、そしてキシとアオイに各々プレゼントをくれた。


料理もソウマとヒミカ、キシが作ってくれて、とても美味しかった。


でもどんなに楽しくても、やっぱりマカがいない寂しさはぬぐえなかった。


パーティーがはじまって二時間後。


少し外の風に当たりたくなって、ハズミは店から出た。


外は曇り空で、今にも雪が降り出しそうだった。


「ホワイトクリスマスかぁ。マカの実家で迎えられるだけでも、幸せだよな」


一度は終わった人生。


でもありえないカタチで再びよみがえった。


その理由は、マカが自分の全てを受け入れてくれたから。


義兄に恋したことも、多くの少女達を死に追いやってしまったことも、ずっと自分を偽り続けていたことも、全てを知ってもマカは、態度を変えなかった。


その強さと真っ直ぐさの、側にいたいと思ってしまった。


今でも後悔はしていない。でも…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ