3
「えっ!? クリスマスって、血族、パーティーしないの?」
ハズミのその言葉に、血族のマカ・ルナ・ヒミカ・ソウマはあきれた表情になり、マミヤは手で目を覆った。
あまりに場違いなハズミの発言に、目眩がしたのだ。
「…ハズミくん、わたしも400年以上生きているけど、血族でクリスマスパーティーをした記憶は無いわ。もちろん、記録もね」
「大晦日と正月ぐらいなら、酒を飲んで騒いだりもするわよ。それでガマンなさい」
「そうですね。クリスマスというイベントは、血族では無関係ですから。祝いたいのなら、前倒しでこっちでパーティーしましょうか? ケーキやチキンぐらいは用意しますよ?」
「ソウマさん…!」
ソウマのあたたかな言葉にハズミは立ち直りかけたが…。
「あっ、私はパスな」
「何でっ!?」
振り返って見たマカは、冷静な顔をしていた。
「終業式が終われば、すぐに実家に向かう。それまでの予定ももう埋めてしまったんだ。ミナ達とのクリスマスパーティーにも参加するし」
「何でそっちは良くて、こっちがダメなんだよ!」
「あっちは表の世界だ。闇の世界にばかり顔を出していたら、バランスが悪くなる」
きっぱりと言い放ったマカに、ハズミは思いっきり打ちのめされた。
「まっまあまあ、ハズミくん。わたしも参加するから。あっ、アオイも呼ぶわよ? ヒミカもキシを呼んだら? 人は多い方が良いでしょう?」
「そうね。他にもルカ達も呼べば、きっと来てくれるから。大勢で騒ぐの、ハズミ好きでしょう?」
「…こに」
「ん?」
ぼそっと呟いたハズミに、マミヤは耳を寄せた。
「そこにマカがいなきゃ、意味無いんだよぉお! マカのバカー! 冷血漢!」
泣き叫びながら店の奥へ走って行ったハズミの背中を、その場にいる全員が冷たい視線で見送った。
「…随分とまあ、可愛らしい行動だこと」
「アレでアタシと同じ歳…」
「本当にすみません!」
同じモノとして、マミヤが頭を下げた。
「まあマミヤが謝ることではないですよ。それより、マカ。本当に都合がつかないんですか? 一時間でも?」
「…無理だと思うな。ミナ達のパーティーさえ、二時間しかいられない予定なんだ。代わりに準備の方を引き受けてしまったし…」
マカはケータイをいじり、予定を確かめた。
「今年がいつも通りであれば、大丈夫だったんだがな」




