ゾンビアームズ
神話の時代。
今では架空とされている古代。神々は自身の土地や物、家族守る為、他者から奪う為に争い続けていた。
「ゲイボルグ!はぁー!」
「グングニル!はぁあ!」
「アイアスの盾!」
毎日様々な神々が戦っているので、体力が神々のように無尽蔵にないその土地に住む民たちは疲弊していった。神々が日々戦っているせいで大地がズタボロになり、作物が育たない為、民たちは貧困に飢えに苦しんでいた。
そんな人間を救っていたのは、愛と平和を願う神々であった。
人間は武神たちよりも愛と平和を願う神々に寄り添い守られながら、貧しい中でも少しの幸せを見出し、平和に暮らしていた。
しかし、彼ら武神達が使う武具つまり神具は人間が作ったものであった。人間は神々に安全と平穏の代わりに頭脳を使い、伝説級の武具を作った。人間は亡くなった優しく、暖かな仲間たちの自我をあえて残し、武器にしていた。
神々は自身が使っている武器が元々人間なのを知った上で乱暴に使っていた。どれだけの罪悪感を抱えていたのか分からない。苦しい。それを神々が思ったのは何千何万と言う数ほどある。
しかし、神具がなければ負けると分かっていた為、神具を乱暴に使い、戦い続けた。
結果、多くの神々と人間が亡くなり、いつの間にかその世界は消えていた。
しかし、その世界の神々は違う世界に転生していた。神ではなく武具になる予定の人間に。
「嫌だ!死にたくない。殺さないで!」
「私も嫌!」
「それは無理だ。なぜなら神々がそう望んでいるから。」
滅んだ神々は口々にそう伝えたが、異世界の武具の儀式者である人間には通じず、彼らは殺され、手も足もない神々に乱暴に使われる神具になっていた。
異世界の神々は滅んだ神々を無造作に使った。彼らは毎日、何度も怖い目にあい夜には眠ることも出来ず、涙を流すことも出来ず、ただ朝を恐れた。嫌でも他の異世界の神の剣となり、盾となり杖となって、毎日戦った。
剣となった神は、刃こぼれする度に痛みを感じ、直す時にも痛みを感じ、折られた時には自身が死んだのだと正気を失うような痛みを伴いながら死んだと知る。ほっと死んだことに対し、神々は安心を得ていた。
盾となった者も杖となった者も同じ様に破壊されれば、死ぬ。傷つけられた時や治す時には、痛みを感じていた。ただ、悪夢の様な日々であった。
彼らは仲間を減らしながらも、自我を保っていた。多くの仲間やライバル、恋人が目の前で散っていくそんな光景を彼らは、ずっと見てきた。なかには自我を失い、異世界の神と共に自爆した者もいる。そうならない様に自我を残してはいるが、1日の大半は意識が半分もない状態であった。
そんな日々が続き、異世界の神が最後の2人となった。異世界の神は両方滅んだ世界の神を使っていた。
残ったのは、神トールと神ルグであった。彼らが持つ武具も滅んだ世界の神トールと神ルグであった。
「ミョルニルよ。最大の力を出し、我に神王の座を。」
「いや。トールよ、私こそが神王の座にふさわしい。さぁ、答えてくれブリューナク !」
神トールと神ルグの最後の戦いが始まった。
2人の神が出す力は、強烈で神トールがミョルニルを振るう度、大地の神々が作った防御結界を壊し、土地ごと吹っ飛ばしていった。
神ルグがブリューナクを投げる度、大地の精霊や神々が身が作った結界を貫通し、大きな穴を開けた。多くの被害を出し、周りに迷惑を掛けた2人の神の戦いは、突然終わりを迎えた。
幻とも言われる神王ギルガメシュが、現れたのだ。
元々、この戦いは神王ギルガメシュが長年の休息により、始まった戦いであった。
本来の神王が起きたまたは、現れたら戦いを止めなければならなかった。
なぜなら、神王ギルガメシュは何よりも強く、美しい神であるから。神トールと神ルグは、神王ギルガメシュの前に武具捨て、跪いた。
「お目覚めでしたとは知らず、ご無礼を致しました事、ここにお詫びします。」
「ふむ。我の寛大な心に感謝せよ。ところで異物が混ざっておるな?」
「さて?私には分かりませぬが?」
神王ギルガメシュは滅んだ世界の神々にすぐに気が付いた。
だが、眉をひそめて気付いた後は、高笑いをした。
「はっはっはっは。なるほど我の仕業か。もう良いだろう?罰ゲームは?」
『ふっはっはっは。やはりどこでも我は我だな?良いだろう。我に免じてな。戻れ。元の場所へ。』
滅んだ世界の主たる神王ギルガメシュの声により、神トールのミョルニルと神ルグのブリューナクは、元の神の姿へと変え、元の世界へと戻った。他の壊された武具であった神々もこの世界を魂の姿で彷徨っていた様で、あらゆる場所で姿変え元の世界へと戻って行った。
彼らは、夢を見ていたかの様に本来の世界の自身の城の自身の部屋で目覚めた。
異世界で体験した事は、実際に体験したように覚えているが、なぜ自身の世界がこんなにも美しいのか理解できずにいたが、それでも世界をもう荒れさせるのは、止めた方が良いと心に誓った。
神王ギルガメシュは永い眠りから覚め、誰も知らぬ場所でひっそりと暮らしていた。
しかし、何かあれば行ける様、世界の全てに監視を行き届かせていた。
「我は次は許さぬぞ?」
ギルガメッシュは、彼らにバツを与えたのだった。
神々は仲良く世界を守り始めた。その世界では永遠に争いが起きなかった。
こんにちわ!
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。
神々が争い始めたきっかけはギルガメッシュが永い眠りについたことによって、世界のバランスが不安定となったので、新しく、ギルガメッシュに変わる最高神を選ぼうとしたからです。
結局、争い続けて、目的を忘れ、神々は争うことに対し、楽しさを見いだしてしまったのです。
一方で、神々にとっての未来である異世界の神々は争いに楽しさを見いだしていなかった為、罰を異世界のギルガメッシュは与えず、世界をすべて元に戻し、神々を叱りつけ、日常に戻っています。流石に一度のあの罰で理解したらしいです。