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アバター作成


目を開けるとそこは青白く発光し、様々な物がフヨフヨと浮かぶ空間だった。

本・剣・盾・様々な楽器。

…フランスパン・フライパン・パンダ・パンツ(Tバック)

まてまてまて、今変なものが見えたんだが。

しかも、何故か○○パンシリーズ…

うん、まぁとりあえず、パンツだけ貰っておくか。

——そう思い手を伸ばした青の手は。


「内薗青様でございますね。この度、AXIS・WORLDでのアバター作成のお手伝いをさせて頂きます。琴の付喪神、名を“おこと”と申します。宜しくお願いしますね。」


——空中で止まった。

青がその声に恐る恐る振り返ると、そこには。

黒髪をお団子にした琴を持った中学2年生くらいの少女がいた。

「えっと…いつからそこに?」

冷や汗をダラダラと流し、顔を引きつらせ尋ねる青におこと。

「先程からです。」

青は見られてなかったとホッとひと息つき、

「ならいいんだ。じゃあ、早速アバターさくs」

「ちなみに、パンツに手を伸ばした方は青様でちょうど100人目です。」


…………————


……長い沈黙。


それを破ったのは。

「それでは、まずAXIS・WORLDの世界観の説明に入りたいと思います。」

青を追い込んだ張本人のおことだった。

「はい。ヨロシクオネガイシマス。」

青は決めた。

おことちゃんの話を真面目に聞こう、と。


「まずらAXIS・WORLDでは現在主に4つの種族が共存し生活しています。」

「え…人いるのか?!てっきり開拓から始めると思ってたんだけど」


青のその質問におことは遠い目をしながら応える。

「はい、います。最初神々も開拓から始めさせる予定だったのですが…。アマテラス様が時間軸の設定を間違えたため彼方の塔ができる頃には100億年経っていました。」

100億年…。それは、猿も人に進化するな。

「また。彼方の塔から出る負のエネルギーにより魔物と呼ばれる生き物も誕生したため生き残るため人はさらなる進化をしました。

森での生活に特化した——精霊族。

鉱山での生活に特化した——小人族

海での生活に特化した——海人族

進化せず、群れることで生き残った——人族

彼らはAXIS・WORLDの住民です。彼らとどう関係を築くかが攻略の鍵となるでしょう。」

青はおことの話を聞き思う。

——それなら、アレも出来るかもしれない、と。


「以上で世界観の説明を終わります。」

「おことちゃん、質問なんだけどさ。その先住民たちは魔法とか使ってるのか?」

「もちろん、使っています。地球とは違う生き残るための進化を遂げたのましたので。」


「そっか、ありがとうな。」

青はニヤリと笑う。

そして、確信した。

——引きこもって勝つ方法が実現可能だということを。


「それでは、次はアバター作成です。スキルやステ振り、職業を決めていただきます。また、髪型や髪の色、目の色、肌の色なども現実とは違ったものに変化させることができます。」

「髪型や髪の色、目の色、肌の色を変えたら、日本で観戦している人が誰が誰かわからなくなるんじゃ…」

人は髪型を変えるだけでも雰囲気は結構ガラリと変わるのだ。

髪型や髪の色、目の色、肌の色までを変えてしまえば、観戦している人は混乱するのは間違いなしだろう。

「はい、ですのであちらで写真を撮ってもらいます。」

おことが指差した方を見ると、ファンタジーな風景の中でういているカメラがポツンと置いたあった。

「え?」

「あちらで撮った写真でプロフィール写真を更新させてもらいm」

不自然に止まり虚空を見つめるおことに。

「えっとー、おことちゃん?」

青は恐る恐る声をかける。


——そして、おことはゆっくりとこちらを向き


「このカメラでは眼を大きくしたり小顔にしたりすることはできません。また、ネズミの耳を生やしたり犬耳を生やしたりすることも出来ません。これは仕様です。諦めてください。」


「急にどうしたの?!」

——意味不明なことを言い出した。


「失礼しました。只今神様の方へ苦情が殺到しておりまして。急遽、写真に対する説明を詳しくする必要がでてきたのです。」

「具体的には?」

「『どうして盛れないの?!』『こんなの可愛くないっ』などですね。特に女性の方の苦情が多かったそうです。」

女子中高生ぇ…。スマホアプリの機能を求めるなよ…。

「なんか…ごめんなさい。」

「いえ。仕事ですので。それでは、まず先に見た目の変更から済ませましょう。」


そう言い、おことが手を振るとそこには青そっくりの男性アバターと透明なスクリーンが出てきた。

「うわっ、すげぇそっくり。」

「そちらのスクリーンで容姿を変更をします。各項目があるので項目をタッチし選んでください。」

金髪蒼眼とか夢だけど…俺には似合わないだろうし。

なにより闇に溶け込める色がいい。

髪型はツーブロックのショートでいいか。


「よしっ!決まりました。」

「あまり、変化がありませんがこれでよろしいですか?他の皆様は目がチカチカする色にされていますが。」

おことちゃん地味に辛辣なのね…。

「俺はこれでいいです。」

「わかりました、ではアバターに反映させます。」

青のアバターが光に包まれる。

光が治るとそこには。

濡羽色の髪に濃紺の眼。身長175センチくらいの大人っぽくなった青のアバターになった。


「次は、職業とスキルの設定です。かなりの労力を使いますが条件を満たせばAXIS・WORLDでもスキルを得ることが出来ます。また、スキル屋でスキルを購入することができます。その場合とても高額なので序盤では無理でしょう。考えてスキルは選ぶことをオススメします。また、職業も同じ系統上では変更出来ますが全く別のものに変更することは出来ません。」

ふーん、最初のスキルで全てが決まると言っても過言ではないのか。


「ちなみにここでは、何個のスキルが選べるんだ?」

「5個です。オススメは魔法系1個、ステイタス補助1個、剣術などの武器系1個、索敵などの特殊系2個ですね。」

なるほど、彼方の塔を攻略するにはおことちゃんが言ったようなスキル構成が理にかなっている。


青はスキル一覧を眺め、あることに気づきおことに尋ねる。

「あれ…生産系はないのか?」

「大多数の人が彼方の塔の攻略のため戦闘系のスキルを選ぶため生産系、戦闘に役に立たないスキルは別に用意しています。ご覧になりますか?」

「頼む。」


「それと青様。スキルを選ぶ前にアマテラス様からもらった☆5確定スキルの種を使うことをオススメします。それは、初期のスキル欄を使わないためその出たスキルで方向性を決めるのも良いと思います。専用スキルの方は最後に渡すように言われていますので今渡すことは出来ませんが。」


ふむ、確かにそれもそうか。

青はカーキィくんのプレゼントボックスから☆5スキルの種を取り出す。


「それで…これをどーすればスキルを得れるんだ?」

「噛まずに飲み込みます。」

「…は?」

「飲み込みます。」

この、大きいビー玉くらいの種を?噛まずに飲み込む?

「え…他に方法は?」

「ありません。」

「…」

「ありません。」

「…ワカリマシタ。」

青は咽せ返りそうになりながらも涙目でスキルの種を飲み込んだ。

「得たスキルが記載されていると思います。ご確認ください。」

これでいいスキルで無かったら恨む。

そう思い確認するとそこには。

“並列思考”と書かれていた。


「それでは、残りのステータスとスキルをぱっぱと済まさてください。」

おことちゃん、もうめんどくさいのね。

青はそう思いながら自分の理想のスキルを選んでいく。


——それから一時間後。


「よし、これで頼む。」

「本当にこの職業とスキルでよろしいのですか?」

おことの心配そうな視線を受けながら青は。

「ああ!」

満面の笑みで答えた。

「わかりました。では、次はステ振りです。割り振って貰うポイントは100ポイントです。また、レベルが上がるごとに5ポイントずつ貰うことができます。」

青は迷うことなくポイントを振り分ける。


「それでは最後に貴方専用のスキルを送らせていただきます。」

そう言い、おことが青に手を向ける。

胸あたりにジンワリと暖かな力が広がっていく。


「専用スキルの授与を完了しました。最後に、間違いがないか確認をお願いします。」


名前:内薗 青

年齢:17歳

彼方の塔の到達階:—

種族:人族

職業:考古学者 レベル:1

スキル:速読 暗記 解読 翻訳 鑑定 並列思考

個別専用スキル:ネットおたく

称号:—

強さ

STR 10

VIT 10

AGI 30

DEX 10

MND 30

INT 70

LUK 10

残りsp:0


「え…ネットおたく?!」

これ、スキル…なのか?

悪口じゃね?!

「間違いはございませんでしたか?」

「この。ネットおたくというスキルは…?」

「青様専用スキルでございます。」

「名前の変更とかは…?」

「出来ません。」

「ソーデスカ。大丈夫です。間違いはないです。」

まぁ、なんの大した能力もない俺にすごいスキルがつくわけないよな。

…泣きたい。


「本当によろしいですね?彼方の塔の攻略は不可能に近いですが。」

「あぁ。これでいい。」

まぁ、確かに専用スキルはなんか期待と違っていたが、計画にはなんの支障もない。

そう思い、青は不遜な笑みを浮かべる。

おことは背筋にゾクリとするものを感じた。


「…わかりました。それでは、最後に貴方専用のスキルを送らせていただきます。」



その声とともに青は光に包まれる。




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