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作戦決行


最終日になるまで青たちは念入りな準備をした。

美優は、演じやすいように念入りに設定・性格を考え声出しに精を出し。

そして…青は。

永遠とゲームをしていた。


「お兄ちゃん!準備とかしなくて大丈夫なの?!」

「ん、大丈夫。俺の方はもう完璧だよ。」

そう言いながらも、ぽちぽちとゲームをする青。

「本当に?ずっとゲームをしてる姿しか見ていないけど。」

「大丈夫だってー。…うっしゃ、今度こそ勝てる!」

妹の問いは適当に流し。ニヤニヤと勝ちを予想し笑う青。だが、次の瞬間。

「え?えぇ?!嘘だろ!あぁーー、また負けたーー!」

悔しそうに、だが口元には笑みを浮かべ

「悔しーー!うしっ、もう一戦だ!」

青はそう、堂々と何もしない宣言をしゲームを始めるのだった。

美優はそんな兄の様子にため息を吐く。


「…てか、カーキィくんにゲーム入ってたんだね。」

そう、言い。カーキィくんの画面を見ると。

『あなたの負けです』と書かれた花札の画面があった。

「知らなかったのか?アマテラスちゃんの趣味なのか花札だけ入ってるぞ。まぁ、みんなあまりしてないみたいだが。」

また、花札をぽちぽちとしながら青は応える。

「そりゃ、そーでしょ。みんな、勝つために情報収集や、宣伝で忙しいんだよ。お兄ちゃんも遊んでいないで何かしなよー。」

「いや。美優の演技があれば、小細工なんかいらないからすることはないなっ!」

「…本音は?」

「花札したいっ」

堂々と大きく腕を広げ、言い切った兄をジト目で見ながら、美優は。

「はぁー。」

本日二度目の大きなため息をつくのだった。


——最終日——


「よしっ。じゃあ、美優始めるぞ。準備はいいか?」

そう言いながら、振り向くとそこには。

「大丈夫、大丈夫。私ならいける。大丈夫…。」

ブツブツとつぶやき続けている妹がいた。

「はぁー。お前なら大丈夫だって。」

青は苦笑いを浮かべながら美優の頭をぐしゃぐしゃっと撫でる

——そう、妹ならいけるのだ。妹はおのれさえ騙し、他を魅せる。

「ちょ、今から本番なのに髪をぐしゃぐしゃにしないでよー!」

「よし!そこまで元気なら問題ないな。こんな機会またとないんだ。楽しむぞ!それに、失敗なんて気にするな。俺がいるんだ、なんとかなる。」

そう言い、ニヤリと笑うと。

「お兄ちゃんのくせに生意気…。お兄ちゃんこそ、失敗しても大丈夫だよ。私が尻拭いしてあげるからね。」

同じように不敵に笑う、美優。そんな、美優見てニヤリと笑うと。

「じゃあ、始めるか。

あっ…言い忘れてたけどアマテラスちゃんがこの中継中来るかも。」

「ふぇ?!」

——爆弾を落とした。

慌てる美優を無視し。青は。

「よしっ。じゃあ、スタート」

「ちょ、お兄ちゃん?!」

無情にスタートボタンを押したのだった。


◆◆◆


時刻は夜9時。

皆が、テレビを見たり、ネットをしたり、投票するためにカーキィくんで動画を見たりする中。

それは起こる。

画面が一緒ブレ。そして…“切り替わる”

そこにいたのは、黒髪の長髪をたなびかせたキリッと表情を引き締めた少女だった。


『皆の憩いの時間の邪魔をして大変申し訳ない。だが、私はどうしても伝えたいことがあるのだ。皆も知っての通り、私たちは今理不尽な勝負の中に放り込まれた。

ゲームみたいな世界らしいがそこは確かに現実であり、痛覚もあるらしい。

死ぬほどの痛み…それがどれほどのものかわからない。

だが、私はこのゲームを死ぬ気でクリアしようと思う!

今まで、のんびりと平和な日常を過ごしてきた私が何が出来ると思うだろう。

女に何が出来ると思う者もいるだろう。』

そう言い少女は俯く。

だが、次の瞬間。前を見つめる瞳には強い光があった。


『確かに、今の私に力はないっ。

だが、その足りなさは知略で、努力で覆そう。

私は必ずこのゲームを、クリアする!

そして、クリア後に願うはただ1つ。

私たちが体験し体感し笑い泣くであろうあの世界を。今度は皆で。本当のゲームとして楽しく遊ぼう!

そう、私はあの世界を手に入れる!』


そう言い、その少女がニヤリと笑うと。


『傲慢で強欲で愚かな人間らしい答えじゃの。妾の箱庭そのものを欲するのか。』


今まで誰も居なかったはずの少女の背後に神、天照大御神がいた。

少女は、まるでいるのを知っていたかのように不遜に笑うと。

『人間は傲慢故に力を欲し。強欲故に上へ上へと成長し続ける。そして、愚か故に諦めない。神、アマテラスよ。人間らしく正々堂々とあなたの箱庭を手に入れましょう。』


『ククッ。妾の目の前でそこまで言うのか。面白い。やってみるのじゃ。妾はお主の活躍を期待してみていよう。啖呵をきったのじゃ。つまらぬようなことはしてくれるなよ?』


少女は天照大御神の問いには答えず。前の画面を向き

『頼む。』

ただ一言そう呟くと、深々と礼をしたのだった。


◆◆◆


「はい、カーーット!おつかれー。アマちゃんも本当に来てくれてありがとね。」

こちらを振り向き満面の笑みで言う、青に、

美優は下を向き無言で近づくと。

「お、お、お兄ちゃん?!私こんなの聞いてないよ!神様に失礼なことたくさん言っちゃったんだけど!!」

青の肩を掴み、ガクガクと揺らす。

「お、落ち着け。美優。だが、俺はちゃんと説明したぞ。」

「直前にね?!あれは説明って言わないからね!無茶振りって言うから!」

そんな、青たちの様子を見ながら、アマテラスは。


「…妹ちゃん。性格変わりすぎではないか?」

そう、ポツリと呟くのだった。


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