総選挙
主人公の名前やっと!登場☆
「やる気に満ち溢れている者もおれば、不安で押し潰れそうな者も沢山おるな。やはり、運動が出来ぬ者は怖いか。だが、妾も鬼ではない。そなたらが“彼方の塔”をクリアしやすいようにギフトを用意した!手の中にある機器“カーキィくん”を見るのじゃ。」
——カーキィくん…これってもしかして“機械”という文字をいじっただけじゃ…
ふと、頭に浮かんだ疑問を飲み込み、手元の機器“カーキィくん”を見ると。
名前:内薗 青
年齢:17歳
ポイント:0
--------まだ機能が解放されていません--------
レベル:未定
スキル:未定
強さ
STR 10
VIT 10
AGI 10
DEX 10
MND 10
INT 10
LUK 10
自分のプロフィールと。横に日本中の中・高生のプロフィールが載っていた。
「お主らにはこれから一週間自分のアピールをして貰う。カーキィくんに詳しい方法は載せておるから後で確認するように。ただし、親には頼ってはならんぞ。だが、中・高生間でグループを作り協力してやるのはよしとしよう。
中・高生以外の傍観者たちはそれぞれのアピールを聞き応援したいと思える者に投票して貰う。そのポイントが多かった上位100人に妾からギフトを与えよう。これを見るのじゃ!」
◇◇◇
1位:自身にあったスキルの種・☆5確定スキルチケット・金貨100枚
2位〜10位:☆5確定スキルチケット・金貨50枚
10位〜25位:☆4以上確定スキルチケット・金貨25枚
25位〜50位:☆3以上確定スキルチケット・金貨5枚
50位〜75位:サバイバルグッズ・ポーションセット×10
75位〜100位:ポーションセット×10
◇◇◇
アマテラスの発言を聞きどよめきが起こる。
「そ、そんな?!不公平だ!」
「貰えなかった人たちはもう勝つチャンスなんてないじゃないっ!」
あちこちで不平不満があがる。
青は思う。
——これは…選抜。もう既に1位をかけた戦いは——
「何をいう。もう既に戦いは始まっているのじゃぞ。勝ちたければここで自分の価値を示すのじゃ!」
アマテラスはニヤリと笑うと更に続けた。
「あぁ。あと言い忘れておったが、グループを組むのは良いがグループの人数は5人以下とするのじゃ。
5人以上で組むことは出来るが、それじゃと同じギフトは貰えん。
例えば、8人組を作り1位を取ったとしても5人しか1位のギフトはもらえん。後の3人は2位〜10位のギフトを貰うことになるからの。そこは気をつけてグループを作るのじゃな。」
そうアマテラスが言い終わると。
止まってた者たちは動き出し。電力が届く。
電子機器も動き出した。
そして…ほとんどの中・高生が一斉に駆け出す。
「お願いだ!俺と一緒にグループを組んでくれ!」
——ある者はグループを作ろうと人気者に声をかけ。
「なるほど…カーキィくんで動画をとり、それを編集し流すのか…。あっ、でもこれ生放送的な感じのやつもできるのか。うしっ、それなら善は急げだ。」
——ある者は1番にアピールをしようと詳しい方法をザッと確認すると家に急いで帰る。
そんな中、青は——
「お、お兄ちゃん!私たちも早く行動しなきゃ!」
慌てる美優を落ち着かせながら、
「落ち着け、美優。これは急いで行動しても意味はないぞ。」
のんびりとカーキィくんに書かれている説明を読んでいた。
青はカーキィくんを見ながらニヤリと笑う。
ふーん、やっぱりそうなのか。
これはどれだけ急いでアピールするかではないのだ。タイミングと内容。それに全てがかかっている。
「でも!」
「まぁ、いいから。とりあえず家に帰るぞ。
あ、あと妹よ。その…お兄ちゃんとグループを組んでくれたりするか…?」
自信満々な態度を一変。恐々と尋ねる兄に、美優。
「そんなの、当たり前でしょ!そんなことより私たちも早く手を打たなきゃ!」
当然でしょと言うようにサラリと言い切る。
それに、安堵のため息を吐きながら青は。
「それなら、もうこの勝負は俺らの勝ちだ。」
傲慢に。そう言い切った。
◆◆◆
「それで、さっきのセリフの説明をしてほしんだけど!」
家に帰り着き、私たちも皆みたいに行動に移すのかと思っていた美優は。
「ん?あぁ。まだ、説明してなかったか。」
悠長にパソコンに向かいぽちぽちとゲームをしている青をジト目で見る。
「説明されていませんっ!」
思わず、語気を荒げる美優に。
「まぁ、そう怒るなって。簡単な話だよ。俺たちの長所を組み合わせるだけだ。」
青は淡々とゲームをしながら答える。
「長所?」
「そう長所だ。お前の長所はそのルックスと演技力だ。」
そう、美優は兄の俺から見てもとても整った容姿をしている。
ストレートの艶のある黒髪を腰まで伸ばし。
まん丸の大きな目に。
桜色の唇。
思わず振り返ってしまうくらいに可愛い。
しかも、美優は演劇部で活動しており、一度スイッチが入れば完璧にそのキャラを演じることができる。
「このお前の長所と俺の長所があれば完璧だろ?」
「え、まって。お兄ちゃんに長所ってあったっけ?」
——沈黙が辺りを支配した。
「はっはっは。み、美優は冗談がうまいなぁー。」
辛うじてそう応えた青は。
だが、無言でこちらをキョトンと見る美優のその表情に。
「ごめんなさい。こんなウジ虫が調子に乗りました。」
心が折れた。
「冗談だよっ!ちょっと、からかっただけだよ。お兄ちゃんの長所は。えーと…。機械に詳しいところだよね!」
「その間が気になるけど…。まぁ、そうだ。この俺の長所とお前の長所を組み合わせれば簡単だろ?」
「え…具体的にどーするの?」
首を傾げる美優に。青はニヤリと笑うと。
「————————、するんだよ。」
そう言い放った。
「え、でもそれ…普通に犯罪じゃない?」
心配そうに尋ねる美優に、青。
「カーキィくんの詳しい説明読んでないだろ、お前。簡単にまとめると。これは選挙だ。1人一回。または、1グループ一回動画を投稿し、それを他の人がジャッジするんだ。そして、ほらここを見ろ。」
青が開いたアピール動画に関する注意事項にはこんな言葉が書かれていた。
“———。尚、親の力を借りず人さえ殺さなければ何をしてもいいとする。その際に生じるいかなる問題も神が責任を負う。”
「え…これいいの?!」
驚く美優に、青。
「いいんだろ。だってアマテラスちゃん神だしな。」
そう、飄々と応えた。
「え、作戦は分かったけど。なら、早く動画を投稿しようよ!」
「いや、実際に動画を投稿するのは最終日だ。」
「なんで?!」
「たぶん、この時点で5ポイント以上溜まってるやつなんていないぞ。皆、様子見するだろうからな。それなら、最後にドドーンと印象付けた方がいいだろ?」
そう言い、ドヤ顔した青は。だが、次の瞬間。
「え、でも1人13ポイント溜まってる人がいるけど…」
「なにぃ?!」
——目を見開き固まってしまった。
「え、ちょ、ちょっと見せてみろ!」
◆◆◆
『えぇーと…。これでいいのかな?よしっ!
こ、こんにちわ。私は村口 みのりです。
こういうのよく分からないので、単刀直入にいきます。
…お願いします、私を応援してください!私は生まれつき足が悪く15年間ずっと車椅子だったので…他の皆より圧倒的に動けないと思います。
だから、本当は生産職としてこの戦いに参加して皆を支援する方がよいのかもしれない…。
でも!私は世界が見たい!この足で走りたい!
そのための力が欲しいっ!』
◆◆◆
その動画はひどくシンプルだった。
自分の気持ちをただ語った、他の動画に比べても単純なものだった。
だが、それ故に。
気持ちが、思いが、意志が。
ひどく伝わる、動画だった。
「あぁー、美優。これは例外だ。こういう人の情に訴えるやつは最初は強い。だが、一定数しかポイントは溜まらんから気にしなくていいぞ。いかに確実にクリア出来るか、それをアピールしなければダメだからな。」
「そう言いながらお兄ちゃん…」
美優は動画のポイント欄を必死の形相でチェックし出した青を見ながら。
「焦ってる…よね。」
そう、呟くのだった。
主人公の名前が、どーしても思いつかなくてパッと目に入った筆箱の色で決めたとかそーいうわけではありません!
いいよね!青って名前!
青色私好きよ、うん。