表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

プロローグ


その日、日本は光に包まれた。

電気は止まり、全ての電子機器は動きを止める。

突飛な出来事に、人々は慌てふためきテレビ局がこぞって中継しようとする中。

——そいつ(幼女)は現れた。


絹のような黒髪に黒曜石のような瞳。

頬をうっすら桜色に染め、濡れたように艶やかな唇。


そいつ(幼女)は宙に浮かび、慌てふためく人々を見つめながら傲慢に。不遜に告げる。


「妾の名は天照大御神(アマテラスオオミカミ)。そなたらに神託を与えにきた。妾はめんどくさいのは嫌いじゃ。単刀直入に告げるぞ。」

そして、無邪気に笑いながら爆弾を落とす。


「滅亡か。滅亡を逃れるために抗うか。好きな方を選ぶのじゃ。」

天照は目をつぶり聴こえてくるであろう、悲鳴。罵詈雑言に耳をすます。

だが、天照は間違えていた。甘く考えていた。

“日本人の性質”を。


——そう、たとえ(幼女)が宙に浮いていようが。

「アマテラスちゃん。かわいいよぉ。はぁはぁ。」

——有名な神様だろうが。

「おい!誰か早く写真!」

「スマホが使えねぇ!」

「デジカメならいけるぞ!」

「「「それだっ!」」」

——滅亡を宣告されようが。

「おい…もしかしてアマテラスちゃんの下に行けば人類の秘宝(パンツ)が見れるんじゃないか?」

「「「「…」」」」

「おいっ、お前押すな!」

「こっちのセリフだぁー!」


そう、全て可愛いの前では些細な問題として塵になるのだ。

これこそが、我ら日本人の誇るべき性質(オタク魂)


「な、なんなのじゃ?!こやつら!」

日本人の勢いに圧倒され、涙目になりながら後ずさる天照。

そして、それを見て余計に興奮する日本人。

「アマテラスちゃーん!下に降りてきておじさんと一緒に遊ぼうよ。」

「アマテラスたーん!」

可愛いという物の前では人は枷鎖を外し壊れる。

美人が男を手玉に取り誑かすように。

女に狂った男が国を滅ぼすように。


「も、もう嫌じゃ!天界に帰る!」

アマテラスは涙目になりながら叫ぶ。


——こうして、のちの歴史書に記される“幼女の鉄槌”はグダクダに。

「ちょ!アマテラスちゃーん。帰らないで一緒にあそぼーよー!」

「いやじゃ、もう帰るのじゃ!」

——締まりなく。

「おいっ、最後に写真撮るぞ!」

「誰か、早くアマテラスちゃんの下に寝転がってこいっ!そして、俺にその写真を見せろ!」

「きゃーー!来るでないっ、この変態共!」

——冗談のように始まった。


だが、確かにその日。時代は動き、確かに変わる。

ある歴史書の初めの一文にはこう書かれている。


「この日、我らは選択を迫られた。未来を取るか、若者を取るか。神の言葉を借りるならこれは正に自業自得。空想のような、妄想なようなこの神話を語り継ぐためにこれを記そう。

後の日本人が道を踏み外し同じ過ちを繰り返さないことをねがっている。


これは、1つの物語。主人公は日本中の中高生。私たちはこの日のことを忘れないであろう——。」



さぁ、人間らしく傲慢に欲望のまま始めよう。

運命に抗うために。過去の人間の罪を消すために。生き抜くために。

この命がけのサバイバルゲームを!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ