其の一
人形をつくろう
人形をつくろう
人形をつくろう
であったのははしのうえ
こどもができなくったって
こどもがうめなくったって
それならそれでいいじゃない
だから
人形をつくろう
人形をつくろう
人形をつくろう
ちいさなおててをさしこんで
かわいいあんよをつないで
きれいなおもてにおめめをはめこんで
くちびるをしゅにぬって
そうやって
人形をつくろう
人形をつくろう
人形をつくろう
いつかおんなのちをあびて
いつかおとこのちをあびて
人形ができた
人形ができた
人形ができた
だけれどあれれおかしいな
そのこがうごいたそのときに
もとめたふたりはもういない
だけれどあれあれおかしいな
そのこがうまれるそのまえに
のぞんだふたりはしんじゃった
昔の事。ずっと昔の事。在る所に人形を作る事を生業とする男が居りました。その男の作る人形はまるで本当に生きているかの様でした。作る腕の指先は本物よりも精巧で、唇は本物よりも瑞々しく、間接は線を引いたように美しかったのでした。男はその一生を人形作りに費やすつもりでした。既にその人生の殆どをそうして生きてきました。けれど――。
ある日、男の許に一人の女がやって来ました。女はこう言うのでした。
「私の、私の残りの人生を、貴方と一緒に――」
男は悩みました。それも当然の事。その女は自分の人生の半分も生きていないほどに若かったのですから。からかわれているのだろうと思いました。けれど女は本気でした。
そして――。




