プロローグ
勢いで書いたので自信がないですが、楽しんでいただけると幸いです。未熟な部分も多く見られると思いますが、よろしくお願いします。
「ぉぃ……おぃ……! 聞いているのか?」
「はい……」
目をこすって俺は顔を起こす。
目の前には鬼のような形相で鷲見先生が立っていた。
教師歴わずか二年なのに独特の威圧感を放つ女教師だ。
顔立ちは整っているのに、その威圧感のせいで未婚らしい。
「おい深山、いつまで寝ている! この問三の答えを言え!」
「……パスで」
「……お、お前……」
寝た状態をキープしながら言う俺にほおを引きつらせるが、鷲見先生は諦めない。
「取り敢えず起きろ! さっさと問題を解け! さもないと引っ叩くからな」
「……」
教師としてそれはどうなのか、と思いつつ顔を上げる。
周りはいつものようにバカにしたような目で見てくる。
これでも平均点は取ってるんだけどなぁ。
問題をちらりと見る。
誰にでも解ける易しい問題だ。
「……9√2」
「……くっ。次は寝るなよ! もしもう一回寝たら引っ叩くからな」
先生は悔しそうに、クラスメートは舌打ちして授業に戻る。
これがいつもの日常だ。
退屈。
その一言に尽きる。
やることもないが、引っ叩かれても困るので窓の外を見る。
青空が広がりとても綺麗だ。
ーーーー何か起こらないかな………。
すると突然足元が光り出した。
まるでその想いに答えるかのように。
「うええ! 足元が光ってる!?」
「な、なんだこれ! いたずらか!?」
「っ!? みんな教室から出なさい!」
おお、阿鼻叫喚だなぁ。
唯一冷静なのは先生だが、パニックはそう簡単には収まらない。
今すぐ教室を出ようと入り口に密集するクラスメート。
机に座っている者は俺以外には数人しかいない。
さらに光りが強く輝いた。
視界が白くなり意識が薄れる。
そしてーー……。
「大丈夫ですか……っ!? これは……」
他の先生が駆けつけた時、教室の外にいた生徒以外消え去っていた……。
◇◆◇◆◇
真っ白い空間。
目を開けると俺はそこに浮いていた。
目の前には人の影のような物体が浮いている。
「目……覚めたかい?」
「ん……ああ……」
俺は直感で悟る。
こいつがあの光りを出した犯人だ。
「お前は……?」
「僕は神、あるいは真核と呼ばれる存在だ。僕が君たちを呼んだ」
自称神は笑いながら言う。
俺は問いを続ける。
「……どこへ? 何のために?」
「うーん……。教えてあーげない!」
「……」
神ってのはこんなに自由でいいんだろうか。
なかなか腹立たしいんだが。
「自由だからこそ神なんだよ〜♪」
「……マジか……」
こいつ思考を読みやがった!?
「はぁ……何でもありだな。おい、せめて理由ぐらい聞かせろ」
「しょーがないなー。特別だよ? えーと……世界を滅亡から救え!! ーーなんてのはどう?」
「……おい」
「ほんとだよ!? ……あっ! もう時間だ。じゃあまたね!」
「な!? おい、ちょっ……」
また視界が白に染まり思考が薄れていく。
自称神の「あっ! 転移先ずれちゃった! テヘペロ☆」と言う声を聞きながらーー。
◇◆◇◆◇
再び覚醒。
見ると地面は原っぱ。
周りは森。
かろうじて向こうに街が見えた。
俺は自称神の最後の言葉を思い出した。
確か「あっ! 転移先ずれちゃった! テヘペロ☆」だったっけ……。
「……あんのクソガキがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
こうして俺こと深山 秋斗の異世界放浪記は始まったのだった。