表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想夜  作者: 如方りり
8/9

思い通りの世界

言霊って知ってるか?

いや、そんな事はどうでもいい。


もともと独り言なんて言う癖はなかったんだが、仕事を辞めて3ヶ月、一人で家にいると自然と出てくるもんなんだな。

退屈だからなのか、ストレスで頭がいかれちまってんのかはわからない。


最初は、まりあちゃんのことだ。

彼女と知り合ったのは一ヶ月前、なんとなく入ったガールズバー。仕事をしてない俺にも優しくて、世間知らずなところもあるけどとにかく可愛い。

そんなまりあちゃんと仲良くなりてぇな、なんて独りごちたら、早速メールが来た。

まぁただの営業メールだよ。

それでも俺は嬉しかったし、もっと店に行かなきゃって気になった。


俺が独り言を呟くたびに、まりあちゃんから連絡が来てデートを繰り返し、ついには付き合うようになった。

信じられないだろ。


それだけじゃない。

アパートに欠陥が見つかって今よりいいアパートを紹介された。

前より給料のいい仕事も決まった。

まりあちゃんとの会話の中で希望を言えば、明日の天気さえ思い通りになったんだ。


はっきり言って今、俺は幸せだ。

だけど間違っても縁起の悪い事は口にしちゃいけない。


言葉に出したことが、本当に起こっちまう。

良いことも悪いことも。


「私のこと、好き?」

「ああ、好きだよ。」


こんな甘ったるいやりとりをしてるだけで、どんどん好きになる。

可愛い可愛いまりあちゃん。


「私といると幸せ?」

「ああ、幸せだよ。」


「死んでもいいくらい幸せ?」

「…そうだな。」


「じゃぁ口に出して言ってよ」

「えっ」


間違っても、縁起の悪いことは口にしちゃ…

そんな切ない顔で見るなよ。

俺の大大大好きなまりあちゃん。


「死んでもいいくらい幸せだよ。」


もし死神がいるとしたら、そいつは女かも知れねぇ。

♠︎この世の不幸は全て誰かが口にした事で起こっているのでは、と考えてしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ