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約束の灯火  作者: ぐれん
2/8

魔剣士

「それじゃ、元気でなじいさん!」

「あぁ、気をつけてなぁ」

村長はやせ細った手で俺に手を振った。

俺は今年で15歳。つい先日やっと島を出ることを許された。

(やっとこの海の向こうに行けるんだ…)

しかし、隣にリズやフーマの姿はない。

フーマは先に島を出てしまったし、リズは…。

あまり思い出したくない事だったので頭を振って忘れようとした。


数日、船に揺られた後、船長の野太い声が響いた。

「大陸が見えたぞぉ!」

その言葉を聞いた瞬間、俺は跳ね起き、急いで身支度をして甲板に出た。

船から見えたのは大きな港町。

まるで俺と育った村とは桁違いだ。

「すっげぇ……」

思わず声に出してしまい慌てて口を抑えて、周りを見回した。

幸い、周りには誰もおらずホッと息をついたところで、船が港に着いた。

俺は一番乗りで船を飛び降り、船長の制止を聞かずに町中へとダッシュした。

「どわぁ……」

町中に溢れる活気と熱気。人のざわめきや店主の大きな声が耳に入ってくる。

気迫に圧倒され、人混みをかき分けて路地に入った。

今までの熱気が嘘のように冷たくなった。

路地を進んでいると、前から不思議な格好をした女の子がすごい勢いで走って来た。

俺はよける間も無く、彼女と転倒した。

「あ、すみません!」

「……」

女の子は睨みつけるような顔をして、また走り出した。

なんだよあいつ…と毒づいていると、彼女か走って来た方向から男が2~3人走って来た。

「おい小僧!女を見なかったか!?」

俺は慌てて首を横に振った。

「ちっ、おい!いくぞ!」

男達はドスドスと足音を立てて走り去っていった。

「な、なんなんだ…」

困惑していると、急に誰かに、襟首を引っ張られ、俺は狭い通路に連れていかれた。よくよく見るとさっきの女の子だった。彼女は確か反対の方向に逃げたはず…。

「な、なんだよあんた!離せよ!」

彼女は無言で俺を引っ張り続けて、最終的に人気のない港に出た。

「…大丈夫?」

「大丈夫も何も、誰だよあんた」

その謎の女の子は表情を動かさずに答えた。

「…私はダイア。さっきは助けてくれてありがとう」

無表情でそうつぶやいた。

「助けたって、やっぱり追われてたのか?」

彼女は無言で頷いた。

「あんた、なんか連中に追いかけられるようなことでもしたのかよ」

そう言うと、少しうつむいて口を開けかけたその時、背後から男がダイアを差し押さえた。

「へっへっへ、もう逃がさねぇぜ嬢ちゃんよぉ」

男達が下卑た笑いをこぼす。

「ん?なんださっきの小僧か。やっぱり嘘ついてたのか。まあいい、目的のブツは手に入ったからなぁ」

男はダイアの金髪を引っ張ると強引に連れていこうとした。

その時、俺の手は男の腕をがっしり捕まえていた。

「その娘、離せよ」

「あ?なんだガキ。殺されてぇのか!」

男達がナイフの入った鞘に手をかけた。

俺は素早く背中の両手剣の柄を右手で掴む。

「やる気か?上等だ!死ねぇ!」

その時、俺以外の時間が止まったように感じた。

敵が振りおろしてくるナイフを左手で白羽取り。

そして右手で剣を抜いた。

「ウラァ!!」

男が力任せに振るナイフを避けて、剣でそのナイフを弾き飛ばした。

「あ、あッツ!!」

俺の剣は炎を纏っていた(・・・・・・・)

「あぁ、あぁ、に、逃げろッ!」

男達は一目散に逃げ出した。

「ふう」

俺はため息をつくと、ダイアに手を差し伸べた。

「立てるか?」

彼女は無言で頷き、少しよろめきながらも立ち上がった。

「…あなたは、一体…?」

「そういえば、名乗ってなかったな。俺はリク。一応魔剣士だ。」

その言葉を聞いて、彼女の表情が少し変わった気がした。



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