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第39話「潜入1」

「どうにも奏斗の様子はおかしかったな、言動からして怪しさだらけだ」




 会場の外に出た俺達は、人けの無い非常口の前でパーティーでのことを話をしていた。


 幸いにも会場から去る俺達を追って来るものはおらず、多少胸を撫で下ろしたのは秘密だ。




 まぁ突然の騒ぎであっけにとられていたのだろうが。


 奏斗も自慢の護衛があっけなく制圧されては為す術がなかったに違いない。




「二人はどう思う?」




 俺は二人にも意見を求めた。




「そうだな、俺の目から見ても奏斗様なんかヤバそうだったな。明らかに怪しいと感じたよ」


「そうか……、やっぱりそうだな。それにまるで佳苗の状況をコントロールしていたような口ぶりだった、佳苗の現状は、やはりあまり良くないのかもしれない」




「佳苗様がどこにいるか慊人が聞いた時かなり動揺してたよな、俺も絶対何かあると思う」




 嘉手納も俺の意見に同意のようだった。




「奏斗が怪しいとしてどうするんだ? 正直な話本当に諦めるしかないんじゃないのか。奏斗の言うとおり他人の家庭の事情だぞ」




 どうやら兼続はあまり気が進まない様子だ。




「そもそも慊人がそこまで他人に干渉するなんて意外だぞ」




 それは俺もそう思うが、まぁ心を多少入れ替えたんだよ。




「ほっておける様な状況だと確認出来たら、もう首を突っ込まないさ。でも隠すとうことはやましい事があると考えるのが普通だろう」


「いやそうだが……、だからどうするんだ」




 少し考えて、すぐに良い考えが頭に浮かんだ。


 名案とまではいかないが、そこそこベターではないだろうか。




「そうだな取り敢えずは―――」








※※※※※※※








「とうことで頼んだぞ結城」




 次の日俺はロイヤルルームで雅彦と結城に、奏斗のパーティーでの事を話していた。




奏人との出来事を話終わったあと、特に内容も説明せずに結城の肩に手を置いて頼んだ。




「え、今僕何を頼まれたの!? 今の話の流れで何か僕が出来そうなことあった?」


「いや、佳苗の通っている学校って女子校なんだよ……」


「そ、そうなんだ」


「だから結城が潜入するしかないと思って」


「なんで!?」




 結城は凄く驚いた顔をして、心外だと言わんばかりの表情をした。


 いやいや……、結城以上の適任はいないよな。


本当は女だし。




「安心してくれ、ちゃんと結城のサイズに合わせてステラ女学院の制服は用意してある」




 俺の言葉に答えるように、狗神が上品なデザインの制服を広げて見せた。


結城は心配性なので先にちゃんと用意しておいたのだ。




「僕そんなこと心配してるように見えた!? 何にも安心する要素ないよ!?」


「大丈夫だ、執事として付き添ってくれるように犬飼妹にも交渉済みだ。兄とは違い、仕事が出来る上にかなりの戦闘力らしいからな。……どうだ?」


「御褒めに預かり光栄です、そして是非私の事は綾香とお呼びください」




 部屋の端に控えていた雅彦の執事である綾香は頬を赤らめながら喜んでいる様子であった。


 ステラ女学院は使用人も女性しか認められておらず、榛名に頼もうとも思ったが、何かあった時の事を考えれば綾香が適任と言えた。


 綾香の身体能力ならばいざとなれば戦える上に、結城を抱えて学院から脱出することも可能だ。




「どうだと言われても! それなら安心だね! 僕やるよ! とはならないよ!?」




 勢いでOKしてくれると思ったが、やはりそう上手くは行かなかった。


 しかし結城以外が女装して侵入するのは、子供とはいえ色々とヤバイ感じがする。




「慊人、俺女子校ってすごく興味あるんだよな」


「嘉手納は絶対だめだ」




こいつからは下心しか感じない。


かなりの美形なので違和感なく潜入は出来そうだか……。


それでもやはり結城以上の適任はいないだろうな。




「結城頼む!」




俺が手を合わせて頭を下げると。




「うぅ……わかったよぉ……」




 結城は俺の目を真っ直ぐに見たあとに、しぶしぶといった感じで結城は折れてくれた。


 なんだか申し訳なさもあるが、仕方がない。


 ありがとう結城。




「決行は明日の朝だ」


「明日から!?」


「待て、慊人。どうやって侵入するんだ?」


「結城はすでにステラ女学院の生徒として登録してある」


「は?」




 質問に答えると雅彦は驚いた顔をした。




「あそこはセキュリティが厳しくてな。正面から堂々と入るしか手がない。敷地内に入るには必ずIDチェックがあるし、高い塀の周りも防犯カメラと警報装置の山だ。その警備員も数十人が常駐しているんだ」




 狗神の話だと、いくつもの違法行為をしなければ忍び込めないとのこと。


 正直そこまでのリスクを結城に負わせるわけにはいかない。




「そこで爺さんの力を使って体験入学の話を取り付けてもらったんだ」


「なるほど、慊人の爺さんに頼まれて断れる奴なてそうそういないな」


「ここ最近で男性恐怖症となり、全寮制の女子高入学を本人も両親も強く希望しているという設定にしてある。ちなみに体験入学の期間は1週間だ……」



「1週間!?」



 俺の言葉に結城は大きな声を上げた。



「むり! むりだよ! 1週間なんて!」



ついに結城は泣き出してしまい、俺はどうしたらいいのかわからなくなってしまった。


やはり無理があったか……?

罪悪あれの心は一杯になってしまった。

結城を潜入させるのは諦めようと俺が口を開こうとした時。



「結城様が嫌がる可能性も考慮しまして、慊人様も一緒に潜入出来るように手配しておきました」



そう言うとい狗神はも少し大きめのサイズの制服をもう一枚どこからともなく取り出した。



「は……?」



俺は状況が理解出来ずに体も思考も固まってしまった。



「結城様、慊人様と一緒ならばどうですか?」


「そ、それなら……」



結城はどことなく嬉しそうに了承した。



「決まりですね」



俺が固まっているうちに何かが決まったようだ。



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