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第27話「親戚」

試合が終わったらやっと一章のクライマックスに入ります。

感想お待ちしています!

 兼続率いるC組男子は順調に勝ち進み、シードである俺達A組と対戦することになった。


「途中で負けてくれれば良かったのに」


 世の中思い通りには動いてくれないな。

 試合前の休憩時間、試合表を見ながら俺はため息をついた。


「残念だったな!」


 俺の愚痴に、嬉しそうな声を上げながら兼続が嘉手納と共にこちらに歩いて来る。

 俺のクラスと対戦出来ることがよほど嬉しいようだ。


「兼続、俺のクラスが勝ったら覚えておけよ。酷い罰ゲームを考えておいてやる」

「好きにしろ、勝つのは俺達C組だ!」


 兼続は自信に満ち溢れていた。

 まぁ兼続が自信に満ち溢れているのはいつもの事だが。


「もちろん嘉手納も負けたら俺の言うことを聞くんだよな?」

「慊人様、俺はこの勝負に関係ないじゃないか」


 関係無いね、まぁ証拠も無いし問い詰める気もしないが、このままじゃ俺が不利過ぎると思うんだ。


「嘉手納が聞かないなら、俺は負けても何にもしないぞ」

「慊人! 俺との約束を破るのか!」


 俺の言葉に兼続が大きく反応した。

 どの口がそんな台詞を吐けるんだ!


「約束は俺と兼続でのことだったのに、C組全員の言うことを聞くことになってるじゃないか。破ったのはそっちだと思うが」

「俺は知らん、気付いたらそういう話になってたんだ」

「否定しろよ!」


 そっちから言い出した話なのに、知らんとは無責任な奴だ。

 しかし兼続知らないとなると、やはり嘉手納が話を改竄して広めた可能性が高いな。

 俺の中で嘉手納に対する疑惑がどんどん強くなっている。


「一応したぞ、少し約束の内容は違うが、樫宮慊人ならお前たちの願いぐらい叶えてくれるに違いないと」

「叶えるわけないだろうが!」


 そもそも全然否定になってないじゃねーか!


「慊人様、いいじゃんかデートやキスのひとつや二つ。むしろ役得ってやつだな」

「全然役得じゃないぞ……」


 そもそも男とデートとか結婚とか無理な願いもあったじゃないか、得どころか損しかない。


「それなら、俺のクラスが勝った場合、うちのクラスメイトの願いを嘉手納が叶えてくれるということで」

「わかった、俺も負けたら慊人様の言うことを聞こうじゃないか。それでいいんだろ?」


 やれやれと言った感じで嘉手納が渋々俺の条件を飲んだ。

 役得なんじゃなかったのかよ!

 やれやれと言いたいのは俺の方だよ……。


 お互いにこれだけ大きくなった話を無かったことにするのは結構リスクがでかい。

 落としどころとしては全然不満だが、まぁ勝てばいいか。


「大丈夫だ慊人、俺達のクラスが負けることなんてまずない。それに慊人の誕生日パーティーは思った通りみんなのやる気を出させてるしな」

「そもそも、なんで誕生日パーティーなんかでみんなやる気を出すんだ?」


 深く聞いてなかったが本当に謎だ。


「慊人は樫宮としての自覚が相変わらず無いな。まぁ願い事を聞いてくれるってよりは弱いが、金持ちっていうのはパーティーが好きなのさ」


 なるほどわからん。

 どちらにしても兼続と嘉手納のせいでどっちに転んでも大変そうだ。


「あれ、そういえば結城がいないな、さっきまで居たのに」


 結城に話しかけようと思ったら、結城の姿が見当たらなかった。


「結城ならトイレ行くって言ってたぞ」


 いつの間に……、皆藤の事もあるし、結城を一人にするのは何だか心配だ。


 様子を見るついでに俺もトイレに行くか。

 雅彦にどちらに向かった聞き、俺はグランドから一番近いトイレに向かった。


 トイレの入り口が見えてきた頃、茂みの方から声が聞こえてきた。

 気になって視線を向ければ、結城が四人の少年に囲まれていた。


「お前ら何をやっている!!」


 俺は嫌な予感がして大きな声を上げて駆け寄り、結城の前に立った。


 結城を囲んでいたのは皆藤達であった。


「皆藤何をやっている、結城に何の用だ」

「慊人……」


 特に外傷は無さそうだが、あからさまに結城の声には元気がなかった。

 やはり皆藤との間には何かあるのか、何故隠すんだ。


「樫宮慊人っ……。お前には関係の無い事だ、なぁ結城?」

「う、うん……」

「何をやっていたと聞いている?」


 証拠も無く疑うのはあまり良い事ではないが、関係ない事だと言われてはいそうですかと引き下がる訳にもいかない。

 鴻巣の話ではあまり良い噂を聞かない奴らしいしな。


「関係無いって言ってるだろ、俺と結城は親戚なんだ、学校で話しててもおかしくないだろ?」

「親戚……?」

「流石慊人様、俺の事なんてどうでもいいよな。もしかして覚えてもいないんじゃないか?」


 親戚なんて初耳だ、それに覚えてないも何も数日前に初めて認識したばかりだ。


「慊人、忠弘ただひろとはちょっと家のことを話していただけだよ。試合が始まっちゃうしもう行こうよ」

「お、おい、結城!」


 俺は結城に手を引かれてその場を離れた。

 疑う訳ではないが、なんだか誤魔化されたみたいで俺は寂しい気持ちになった。



「慊人どこに行っていた! 逃げたのかと思ったぞ!」


 俺と結城がグランドに戻るとすでにA組とC組の男子が中央に並んで試合前の挨拶をしているところだった。


「兼続相手に逃げる理由なんてないな」

「なんだと!」


 すこし気持ちが沈んでいたのでつい挑発を返してしまった。

 大人気ないな……。


 気持ちが乗らないまま、A組対C組の決勝戦が始まった。


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