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第23話「結城の変化」

遅くなりました！ちょっと今回も中途半端です。

　その後、俺に対する質問タイムが始まった。

「あきとさまの、すきなたべものはなんですか？」

「ハンバーグだな」

「あきとさまは、すきなかたはいるんですか？」

「いないなー」

「あきとさまは――」

　さいしょは微笑ましかったけど、ちょっとめんどくさくなってきたな。

　俺はさっきから全然喋っていない柚姫（ゆずき）に話しかけることにした。

「柚姫はなんか俺に質問ないのか？」

「あ、ありますけど、二人はあまり慊人様と喋る機会が少ないと思って譲ってるんですっ」

　他の二人と同い年とは思えない気遣い！

「柚姫は優しいな、でもお前だけ黙ってると気になるぞ」

　そもそも俺は柚姫の誘いで来ているのに、これじゃあこの二人と遊びに来ているみたいだ。

「ご、ごめんなさい」

「別に謝らなくてもいい、怒ってるわけじゃない」

　俺ってなんかすぐに謝られるよな、言い方が悪いんだろうか。

「そ、それでは。本題に入りたいとおもいますっ」

　本題？　なんだろうな。

　しかし柚姫はそう言うと顔を真っ赤にして俯いて黙ってしまった。

「柚姫様がんばって！」

「柚希様ならだいじょうぶです！」

「う、うん」

　……何が？

「あ、慊人しゃま！」

「は、はい」

　柚姫は噛みながらも何かを決心したような面持ちで、声を出しながら顔を上げた。

　嫌な予感しかしない。

　間違いない。告白される！

　柚姫の事は傷つけたくないが、俺が小学二年生と付き合ったら犯罪だろう。

　俺は小学生の身で誰かと付き合うつもりは無いというのに。困ったものだ。

「柚姫と、柚姫と……」

「お、おう……」

「お友達になってください！！」　

　……。

「も、もちろんだ」

　違ったじゃねーかあああ！！　はずい！！！

　小学生相手に何て勘違いを！　穴があったら入りたい！！

「慊人様大丈夫です、そういった勘違いは誰しもあることです」

　俺の心を読んだかのようなフォローを狗神がしてくる。

　何故俺が勘違いしてたって判るんだよ！

「そんな事いちいち言わなくても、結城の妹なんだ、友達ってよりも既に俺の妹のようなものだぞ」

「う、嬉しいですっ。それじゃあこれからは慊人兄様って呼んでもいいですか！？」

「あ、ああ」

「柚姫様よかったですね！」

「あきとさまの、いもうとだなんてうらやましいです！」

　なんか雰囲気に飲まれてＯＫしちゃったけど、他人の妹に兄と呼ばせるってどうなんだろうか？

　……、まぁいいか。

「それと、実はもう一つ慊人兄様にお話があるんですけど」

「ん？　なんだ？」

「結城兄様のことです」

　なんかその呼び方やっぱりしっくり来ないなぁ、俺と結城が兄弟みたいだし。

「柚姫やっぱりその呼び方……」

　やっぱり呼び方を変えるよう言おうとすると、柚姫はそれを察したかのように泣きだしそうな顔をした。

　そんな顔をされたら何も言えないじゃないか……。

「いや、なんでもない。話を続けてくれ」

「はい！　それが最近なんか様子がおかしくて」

「様子がおかしい？」

　おれもそれを聞こうと思っていたのだ。

　まさか柚姫の方から言ってくるとは。

「そうなんですっ、学校で人気（ひとけ）の無い所には行くなとか、休み時間一人でいるなとか。最近すごく心配性で」

　なんか柚姫が狙われてるみたいだな。

「それで、昨日はあの後一緒に帰るって言って私達と一緒に帰ったり。最近結城兄様変です」

　あの後柚姫と帰ってたのか、別に俺も一緒でも良かったじゃないか。

「柚姫が狙われてるとか？」

「私狙われてるんですかっ」

「判らんが……。そういえば柚姫のところって執事付けないよな」

「いますけど、学校まで付いては来ないですね」

　まぁうちの学校は警備は万全だしな、基本的にうちみたいに学校にまで付いてくる家は多くないか。

　それにしてもただの心配性なのか、実際誰かに狙われているのか……。

　後者なら俺に相談ぐらいしてほしいものだが。

「俺の方でそれとなく聞いてみるよ、まぁ柚姫は可愛いからな、結城が心配になるのも仕方ない」

「慊人様……、可愛いなんてそんなっ」

　柚姫はそう言って顔を赤らめた。

　それにしても結城の行動は確かに最近少し変わってきている。おかしいと言う程でもないが、少し気にしておくか。

　俺には言えないお友達っていうのも気になるしな。

　結城の心配症がそのお友達と関係ないことを祈るが……。

　次の月曜日。

　俺が教室に入ると結城が頬を腫らせて座っていた。

「どうしたんだ！？　誰かにやられたのか！？」

「慊人……おはよう」

「挨拶何ていい、一体どうしたんだ」

「転んじゃったんだ、そんな大げさにするようなことじゃないよ」

　転んだくらいで頬なんて腫れるか！？

「誰かに殴られたんじゃないのか」

「違うよ、僕が嘘ついてるっていうの？」

「いや……、そういうわけじゃ、すまん」

　珍しく俺の言葉に結城が怒っているようだった。こんな反応初めてかもしれない。

「ごめん……。でも本当に転んだだけなんだ、大丈夫だよ」

　そんな言われ方をしたら信じるしかないが……。

「痛そうだな病院は行ったのか？」

「うん、すぐに腫れも引くって」

　雅彦が結城に話しかけたところで我に帰ると、教室中が俺達に注目していた。

　そりゃ騒ぎ立てて無駄に話を大きくすれば、結城も怒るか……、少し冷静になろう。