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エドワードの逆襲

「何だと?リサが反逆してるだと?」

唐突に腹痛薬の効果が切れたエドワードは、不運な医務官2人を殴り殺した後、部下を招集した。

「ガルドよ。貴様余に毒を盛ったのか?」

必死に否定するガルドだが、エドワードは聞く耳持たない。

「毒を盛ったのはリサに決まってます」

「シエルはお前の娘だったな。連座によりお前を処刑する」

エドワードの剣の一撃で、ガルドは地にふっした。

不運な英雄ガルド公爵の人生は終る事になる。

これでシエルは父親の怨みを晴らす為、命がけでエドワードに抵抗するだろう。

「全軍を召集しろ。裏切り者のリサを討伐に行くぞ」

エドワードの下に集まった騎士は30万人。

シエル騎士団3万の10倍だ。

正面から戦えば、いくらシエル騎士団でも勝ち目はないだろう。

エドワードは騎士団を走らせジークフリート線の前面に軍隊を展開させた。

「裏切り者のシエルの小娘。でて来い」

シエルは登場して名乗りを上げた。

「私に何のよう?反乱軍の首魁よ」

エルザス正統帝国の中ではエドワードは只の反乱軍だ。

「貴様が余に毒を盛ったのか?」

「今頃気付いたのか」

シエルは悪びれずに言ってのけた。

「計画ではもう少し腹痛に悩んでいただけると思っていたのだが、あまり効き目がなかった様で残念だ」

「この裏切り者め」

エドワードがいきり立つと、シエルが冷静にエドワードに聞いた。

正確には只の確認だが。

「父様は殺されたのだろうな。エドワードよ。絶対に許さぬぞ」

反乱を起こせばガルドが殺されるのは分かっている。

分かっていて反乱を起こしたのだ。

「寝言を言ってないで降伏した方が良いぞ。今なら俺の情婦にするだけで許してやろう」

シエルは思った。

エドワードなどにやすやすと体を許すほど落ちぶれてはいない。

ペットで2人きりなら精霊魔法の自爆攻撃で城ごと爆破してエドワードを確実に暗殺できる。

エドワードさえ殺害すれば、邪神教徒の移動呪文で逃げるだけだ。

邪神教徒らしいやり方に、神も満足するだろう。

「少し相談する時間をくれないか?30分で構わない」

「一秒でも遅れたら攻撃を開始するぞ」

エドワードが念を押すとシエルは頷いた。

シエルは側近を集めて会議を始める。

エドワードはそんなシエル達を冷徹な目で見ながら攻撃命令を下した。

「攻撃しろ」

「良いのですか?」

余計な一言を忠言した騎士がエドワードにぶった切られた。

騎士達は全速力で前進する。

約束を守る心算は微塵もなかったようだ。

シエル騎士団はこの時一瞬油断したらしい。

対応が遅れた。

エドワード軍の雨の様な矢で、負傷者をだしまくってしまう。

「まだ30分たっていない」

シエルは己の油断を呪ったが、兵は浮き足立ち交戦ができない。

完全に敗北だ。

逃げるしかない。

「逃亡しろ。ジークフリート線を放棄する」

司令官がこんなではシエル騎士団に勝ち目はなかった。

3万の兵は一目散に城まで逃げ落ちた。

エドワードは逃げるシエル騎士団を追い、城を30万の兵で包囲する。

ジークフリート線は3千の兵でエドワード軍が占領した。

「油断した。エドワードを舐めてかかった私が愚かだった」

死亡者0だが、完全に疲れ果てている。

攻城戦になれば3日も持たないだろう。

「降伏しろ。今なら命だけは助けてやる」

この手の呼びかけは続けるべきである。

一人でも裏切り者がでて、城門を開けば城は落ちるのだ。

「どうしましょう。シエル姫」

愚かな事を聞く部下がでてきた。

「助けてくれると思うのか?」

リサに比べてエドワードは信用がない。

前に城門を開いた部下に約束した、銀貨3枚を踏み倒してからエドワードに降伏する者はいなくなった。

何で権力者と言う者は、何百万ディルスも税収が入る身分なのに、小銭を踏み倒して信用をなくしてしまうのだろう。

「傷は治した。夜襲でもかけられない限りは、明日は防ぎきれる」

投石器は敵の手に落ちたから、投石器で攻撃が来るかもしれないが。

「援軍は来るんでしょうか?」

来たところで2万程度ではエドワード軍に勝てない。

「降伏したければ好きにしろ。でもそなたらの生存にまで責任は持てない」

この台詞に徹底抗戦を決意した。

だがこの危機を脱するには、方法は一つしかない。

夜。

城の城壁に白旗を立てた。

エドワード軍がやる気のない歓声を上げる。

どうせこの反乱を鎮圧しても新しい反乱が起こるのだ。

「城からでてきたら一斉に攻撃しろ。シエル軍を全滅させるのだ」

エドワードは人を信用していないのだろうか?

「父殺しの裏切り者め。その罪を償わせてやる」

ガルドは反逆の罪で処刑されたから、シエルも連座で処刑される。

降伏する訳がない。

油断させといて攻撃を仕掛け、サザニールに落ち延びる心算なのだろう。

「油断するなと伝えよ。シエルが降伏する訳はない」

エドワードはシエルがでて来るのを待った。

4時間たってもでてこない。

「こちらが焦れて攻撃するまで待つ心算か。ならば望み通り皆殺しにしてやる」

エドワードは総攻撃を命令した。

エドワード軍は城に突入する。

「今だ。エドワード軍を突破しろ」

シエル軍が城門を開きエドワードの本陣に突入してきた。

「何だと?防ぎきれ」

エドワードは一瞬驚いたが直に兵力を立て直してシエル軍の突撃を防いだ。

防戦に徹していれば、後ろから10万もの兵が押し寄せてくる。

だがエドワードは包囲戦を行っていた。

単純に4箇所として、本体は8万位だろう。

騎士レベル50と戦って無事でいられる訳がなかった。

「防げ。小娘の軍など防ぎきってしまえ」

エドワードも中々の名将だ。

シエル軍とそこそこ良い勝負をしている。

シエル軍は突破できずに増援軍に押し戻されかけた。

「精霊召喚」

やりたくないが、得意の火の精霊を召喚するしか方法がない。

突然の魔法でエドワード軍は多少だが混乱する。

その隙を狙って、シエル軍は突撃した。

「追え。追え」

精霊は暴走させておいた。

兵士を殺さない程度に暴れまわって追撃を阻止してくれる筈だ。

30分もすれば消滅する。

エドワード軍は精霊を無視する事ができなかった。

シエル軍は逃亡を続け、1週間後にサザニールに辿り着く。

奴隷兵団10万が、シエル軍を出迎えた。

早速空腹のシエル軍にパンとスープを用意する。

シエル軍は貪り食った。

「小麦の粥をもらえないか?」

シエルの要望でお粥が用意された。

パンもスープも食う気になれない。

エドワードごときにこんな惨めな惨敗をするとは武将の名折れだ。

「元気をだしてください。兵を整え、ゆっくりと復讐の策を考えましょう」

部下は慰めるが、シエルにとってはそれも屈辱だ。

「生き延びたからには再起の道もあります。だが今日はゆっくりと養生なさって下さい」

「分かった」

シエルは食事を貪り食った。

腹が減るから悲観的な考えに陥るのだ。

ここはサザニール領で反乱軍の侵攻を防ぎきって反撃するのだ。

だがシエル騎士団は強化するべきだな。

「マリネーの宿屋で人材募集だ。レベル30より上の兵士なら誰でも騎士に取り立てると伝えよ」

誰でも?

「それは庶子でも良いのですか?」

「庶子?何だそれは?」

聞きなれない言葉を聞いてシエルはイラっときた。

「えっと平たく言えば正式な奥様ではない女性との間に生まれた子供の事です。世間的には差別されがちで、官職にも滅多に就く事はできません」

ほう。

庶子とは気付かなかった。

才能のある奴がいるかもしれない。

「そなたらさえ嫌でなければ喜んで我が軍に迎えるぞ。私が庶子とやらを嫌う理由でもあるのか?」

嫌、ないと思うが念の為ね。

「だとするとリサは庶子で7女で異種族との混血児である立場でも遺産相続の割り前にあずかれた事になるな。普通ファンタジー世界で発言権ないぞ」

5人の姉の立場は悲惨なものである。

少なくとも5人の姉は伯爵ではない。

しかもリサが反逆したので多分処刑されてる筈だ。

悲惨な運命だがエルザスの新時代の為の尊い犠牲と諦めてもらうしかない。

しかしリサは5人の姉の救出命令を一度も下さなかったな。

姉妹仲が悪かったんだろうか?

自分も実父を見殺しにしてるから人の事はいえんが恥とは思わん。

エルザスの平和と自分の生活の方を優先したんだな。

その為には民の生活力を向上させて税金をバンバン取る必要がある。

「庶子を5万人集めてくれないか?補給大臣殿に依頼するように」

庶子がどの位いるのか知らないが、10万人は超えると思う。

雇って手柄をたてさせてやろう。

「10月位までに揃えさせてもらいます」

今直ぐには無理だと言うのか。

そりゃそうだよな。

「軍団を再編成する。それまでは奴隷兵団にサザニールを守らせる」

奴隷は解放したのに何故に奴隷兵団なのか、リサの好みが分からんが、別に文句は言われなかたっし構わないだろう。

目覚めたエドワードの攻撃は執拗だろうが、耐えるしかない。

「奴隷兵団は10万人いる。兵学上は耐えられる筈だ」

魔道大砲とZ1は魔王軍対策だからサザニールには投石器しか送られてこなかった。

だがこれで十分だ。

エドワードがゴーレム兵器を投入しない限りは耐えられる。

「あのエドワードだからゴーレム開発もやってると思うんだけど」

それにしてもシエルと互角に戦えるエドワードがどうして西の反乱を鎮圧できなかったのだろう。

第二次の西での反乱が勃発してるから今度は自分で鎮圧するかも知れない。

今度暗殺する機会がめぐって来たら、良い子ぶらずにさっさと暗殺してしまおう。

手遅れに違いないが。

リサ側の葛藤は兎も角、エドワードはリサ陣営に奪われた砦と城を奪回した。

10万の兵を分けて商業都を攻撃させる。

リサの故郷は援軍を寄越さなかった。

別に最初から期待してないから構わないけど。

リサの故郷は決められた税金さえ納めてくれれば良い。

運びやすいようにミスリル硬貨で。

「商業都を踏み潰せ~」

「反逆者の拠点を一掃しろ~」

エドワードは各地の村で部下の給料を調達しながら進軍する。

この辺りがリサとは違う。

リサは兵糧の調達には代金を支払う。

だが不意を撃たれた商業都に勝ち目はなかった。

兵の半数は逃走して、残兵が城に立てこもる。

エドワードの逆襲が今始まったのだ。






最初はエドワードを毒殺するして簒奪する設定にしようかと考えてました。

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