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西方太守交代

9月20日に、キートン村Aは死体発掘の仕事で大繁栄を遂げていた。

馬頭派のミスによって破壊された都には、サキの部下が物資を送っている。

130万の人口を抱え込んだキートンは失業者を公共事業で雇う事にする。

「有難い。俺達を雇ってもらえるのか?キートン様とリサ姫万歳~」

戦争で失業者になった労働者は、キートンの政治を喜んで受け入れた。

仕事はキツく、税金が高くても、平和な方がマシであると身にしみた。

金輪際リサ姫には逆らわないと、領民は心に誓うが、キートンはキートン村Aの山賊や獣を討伐する為には軍隊が必要なのであるから税金は支払う。

多分数万人は、人口が増えるだろうが、平和の為に養わないとな。

「キートン様。各地からの物資調達で貯めたポイントカードが10万ディルスを超えました。次の仕入れはポイントで決済しますか?」

貧しいキートン村Aと好景気の寒村では、経営は苦しく殆どただで使えるポイントカードを使って決済したいと、エルシリアは熱望している。

「店の経営を圧迫しない程度に、使うんだぞ。折角の取引先に倒産されても困るからな。ポイント決済に頼って黒字でも資金調達が出来なくなると倒産する事があるらしいんだ」

キートンの指示で、2万ディルスだけポイントが使われる事になった。

激安で仕入れた商品が、キートン村Aの店で高値で売られる事になる。

キートンは地域通貨のキートン紙幣を発行してみた。

これで100万ディルスを手に入れたキートンは、寒村の融資を一部引き上げて、20万ディルスを入手する事にしたが、店は倒産しなかった。

「流石だな。エルザス帝国も西方共和国の残党を討伐するからお前は黙って見ていろ。流石にこの状況で負けるほどエルザス兵は弱くはないぞ」

事実西方西部と北に勢力を広げた西方の残党などエルザスの敵ではなかったので、数日で平定して、馬頭の勢力を残らず平らげた。

約束通り、キートンに西方の全てを与えて、リサは去る事にする。

ミシェリアは、キートンの配下に組み込まれた。

西方1億は、キートンの支配下に入り、キートン公爵領として認められる。

「公爵様。犯罪者集団だった私達が、公爵一味になれるとは思いませんでしたね。この西方を、エルザスの交易の拠点に作り変えてしまいましょう」

キートンの配下は公爵即位に大喜びである。

ジーク村の大悪人などと呼ばれていたキートン様が今や公爵様なのだ。

部下として、こんなに嬉しく思う事が他にあるだろうか?

ある訳はないな。

9月23日に、村の有志に参加を呼びかけて、有料の大宴会が行われた。

この世界の宴会は、進物を持ってくるのが慣わしである。

何度かやってみようかと思っていたが、結局人気取りの豚祭になっていた。

この大宴会で、30万ディルスの軍資金を調達する事になる。

「料理はキートン様かファーリ様が作って下さるのですな?」

キートンの料理なら千ディルスをはたいても、食べる価値はあると思う。

「この料理は戦で困窮した民衆から買い上げた料理だ。そなたらがそれを食べる事によって、キートン公爵領の復興が早くなる」

それは凄いが、飯食うだけで復興が早くなるなら、一口乗った。

遠慮なく食べさせてもらおうではないか。

「この酒も貧しい民衆に作らせたので?」

「その酒は寒村で村人が作った15年物の酒らしい。一応金貰ってるから、酒は上等な物を用意させた」

幾ら俺の料理スキルでも、酒は作れないからなぁ。

「本当だ。キートン様の料理に比べたら、この酒だけやたら不味い」

「酒はいりません。こんな不味い酒が飲めるかぁ~」

「俺達は進物を持って来てるんだぞ~」

酒を出したら客が不満を言い出した。

「分かった。多少俺の作った蜂蜜酒をブレンドしてやるから」

蜂蜜酒なら直に作れるからな。

「美味い。こんな事出来るなら最初からこれやれよ」

「そうだそうだ」

蜂蜜酒は料理の範疇に含まれるらしい。

よかった。

でも領民に命じて酒の品質向上に努めないと、贅沢な料理に慣れた領民が、反乱を起こしかねない雰囲気なので、努力させる事にしよう。

「まあ我慢する事にしよう。早急に改革を頼む」

これからこの寒村の不味い酒と付き合わないといけないのだ。

キートンからは宴会に誘われるのだろうから、酒位美味い酒を飲みたい。

客は不満たらたらで家に帰って行った。

こんな不味い酒で酔えるかとボヤきながら・・・。

9月25日に、西方北のジーク村に潜伏していた馬頭が捕らえられた。

早速牢屋に放り込んでから、リサに連絡を取ると、本人がやってきた。

「よくやった。馬頭には毒酒を飲ませるように」

部下が勝手にやった事といえ、都を灰にして、30万人を虐殺しておいて、命が助かるなどとは思わない事だ。

裁判所の死刑判決も貰ってきている。

「今処刑人を募集している。毒を飲んだ瞬間に首をはねるから、毒の苦しみの事は心配するな。安らかにあの世に送ってやる」

馬頭は観念したのか、大人しくしていたが、一応抗議はしてみた。

「部下が勝手にやった都爆破の罪まで俺が背負わないといけないのか?」

その通りだ。

それが権力者の義務というものだろう。

「そうか。出来るだけ苦しまないように殺してくれ」

分かっている。

私とて鬼ではない。

暗黒神の信者ではあるけどな・・・。

「処刑人は決まったか?」

「はい。エルフの小娘らしいです」

でて来たのは、いつぞや出会った漁師の娘だった。

「リサ姫?ここで会うとは思わなかった」

「あんたがこの馬頭処刑するの?別にいいけどさ・・・」

だったら文句を言うんじゃない。

「最近エルザス人の漁師が北に増えてさぁ・・・」

食えなくなったから口減らしにキートン公爵領に奉公に出された訳なんだ。

今の私は、キートン様の警護隊長。

処刑人首座の地位を、今回の処刑人応募で得る事が出来ました。

「人を斬るだけの仕事に、指揮など必要なのか?」

まあ処刑人の実行犯にはなりたくないから、今の地位で満足だけど。

「馬頭さん。貴方は死なれるけど1人の若者と一族を豊かにする手助けをするのよ。安心して処刑されなさい」

名前設定してなかったように記憶するので、この娘はイリヤとする。

まあエルフは長生きなので、複数の名前を持つと言う説もあるが。

「そうか。お前の出世を見られないのは、非常に残念だ」

「ではさっさと斬ってください。言いのこす言葉はありますか?」

「エルザスに平和を。信じてくれ。道を誤ったようだが、俺とてエルザスの栄光と平和を望んでた」

リサに向けて自己弁護を始めた。

まあその志は、民衆にとっては迷惑きわまりない物であったようだが。

「名前を教えてくれ。何て名前のエルフなんだ?」

馬頭が問う。

「今はイリヤと名乗っています」

イリヤが合図すると、馬頭はあっさりと首を切られて絶命した。

「待て。まだ毒酒を飲ませていないぞ・・・」

リサは慌てて毒酒を部下にもたせるが、もう手遅れ。

「毒に苦しむ人間を切り殺すなんて、あんた鬼ですか?」

イリヤはこの皇帝にやや不信感をもった。

後で知ったが、リサはエルフ族の同胞を弾圧した事がある。

「リサ姫。最近ストレスが溜まってるのでは?」

昔のリサは公開処刑など行わなかった。

最近は悪人には容赦のないリサであるが、馬頭の葬式を出す余裕はある。

因みにエルザスに降伏した2万の兵には、遺族の葬式代を配ってやった。

リサ姫主催の合同葬儀で、望み通り王族の葬式を行ってやろう。

「キートン様。これで平和がやって来ますね」

エルシリアが嬉しそうだ。

「俺は遊ぶぞ。リサ姫に睨まれぬ様に、暫くは馬鹿王をやる」

政治は、エルシリアとファーリに任せきりでも問題はあるまいに。

「出来るだけ金をかけずに遊ぶのが、賢く遊ぶ腕試しだ」

宴会の食糧と酒を調達すれば農民が喜ぶ。

贅沢をすれば、衣類業者とかその他の業者が好景気になるだろう。

貴族の贅沢は、御用商人にとっては、潤う事間違え無しだ。

「金持ち連中から巻き上げた金で公共事業を行えば、キートン領は栄える」

それはそうだが、贅沢は財政を圧迫しますぞ。

「キートン公爵の為なら幾らでも寄付金を集めさせていただく」

何度も言うが、寒村を見捨てて税金をかけられたら、資金洗浄が出来なくなるし、重要な交易拠点を失う事になるのだ。

「いやあ。キートン様は知らないでしょうが、この村の御蔭で6億ディルスもの資金洗浄と節税が成功しております」

キートン様に寄付する金額など微々たるものです。

「そうなのか?それは良く教えてくれた。それで最近大商人の支店が多いのか?カジノの収入も鰻上りだ」

金持ち用の娯楽施設の建設も始まっている。

無税が効いたのか、寒村が3万人近くの人口を有するまでになっていた。

「こんなに人口増えても養えないよ。幾ら俺でも食糧は作り出せない」

寒村の農民に命じて、増産をさせているが、畑が持つかどうか。

「何故農民は寒村に食糧を売りに来ない?」

食糧は現地調達が基本だが、寒村に来れば高く売れる事間違え無しだ。

それなのにジーク村の大悪人たる俺を警戒して業者がやってこない。

一揆を起こさないのが、せめてもの救いだから、西方の民を手懐ける方法を考える事にするが、容易な事ではなさそうな気がしてきた。

「リサ姫とシエルの嫌がらせなければ、もっと平和に国を治められた」

今更愚痴っても何も解決しまいが、つい文句が出る。

「農民は寒村に行くと、食糧だけ取り上げられて追い返されると思っているようです。暫くは我々が買い付けに行くしかありませんね」

キートンは、西方のキートン村Aに食糧を売りに来る農民に、手厚く待遇するように、命令しておいた。

宿代を値下げする命令であるが、商人達は大人しく従う事にする。

最近は都で景気が悪く、値下げを断行しなければ客が宿屋に泊まってくれないのは、キートンと利害が一致するからだ。

「まあ不景気なのはどこでも一緒だな」

最近は金貨を見る機会も減ったが、キートン様は農民を説得してくれるようだし、期待をこめて成り行きを見守ろう。

キートンの西方統治は今始まった。





エルフの漁師の娘。

覚えている人いるだろうか?


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