先輩と部活
う~ん…。………迷う!
先輩の部活、見に行くべきか見に行かないべきか。
うちは自販機の近くにあるベンチに座ってこのことについて悩んでいた。
別に今更バスケやってる所見ても心が動かされる!…とかそういうことはないんだけどね。
ないんだけどもね!だけどもね!!
なんかね、あのさ、あれだよ。あれなんだよ!
てかまず、なんで昨日知り合ったばっかりの人を自分の部活見に来て欲しいなんて言うかな~。
彼女でもあるまいし。………彼女。………………ハッッ!!
ももももしかして………うちに気があるんじゃ!
…………なーんてね。ちょっと言ってみたかっただけだよ。ホントだよ?
でもさぁ思ったんだけどあの人、彼女いないの?
いや、自分が言える立場じゃないのはよーっくとわかってるんだけど。あんなに外見いいんだから、すぐ彼女出来ると思うんだけどな。まぁどうでもいいや。
とか思ってる間に時間がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
もうちょっとじゃんか!!
あ。見に行かなきゃいいのか。なぁんだ、簡単じゃん!
最後の部分昔やってたテレビのヤツに似てるな、なんて呑気に思っていると。
「あ、亜緒じゃん。何やってんの?こんなとこで。」
帰る途中の真に声を掛けられた。
真と顔を合わせるのは、少し気まずい。でも真はなんともないようだ。
じゃあここは空気を読んで同じ感じにするか。
「なんもしてないよ~。そろそろ帰ろうかなって思ってたとこ。」
また色々話してややこしくなると嫌なので、ざっくりと話した。
「……なんか、さっきあんな感じになったのに、意外とフツーなんだなお前。」
「えっ? マジか、そっち系だった?」
だって真がそういう感じだったから、それにあわせようと思ってそういう感じにしたのに。
マジ、反対かよ~。失敗しちゃったわ。
すると突然、真がプッと吹き出した。
「…え、何?」
「いや。なんか、変な顔してんなーと思って」
相当変な顔をしていたのか、しばらく笑い続けていた。
そんなに笑わなくてもいいじゃん。こっちだって一応女なんだから変顔で笑われたら恥ずかしいじゃん。
自分でも顔が赤くなっていくのが分かった。
元々うちはすぐ顔が赤くなってしまう体質で、なんかあると赤くなってしまうのだ。
それを見た真はまた笑い出した。
「も~そんなに笑わなくていいじゃん!!恥ずかしいから!」
「あ~ごめんごめん!…でもホントに真っ赤だよ?」
うちがそう言ってもまだ笑いが収まらないようだ。
も~これ以上は限界。
そう思い、うちは目の前にあった真の腕を叩いた。
まぁ叩くというよりは、“殴る”に近いけど。
殴ると骨と骨が当たり、ボコッ、という痛そうな音がした。
「いだっ!!」
音通り、真は痛そうに顔をしかめ、うちが殴った腕の部分を手でさすっていた。
「そんなに笑うからだよ。はは~、ざまあみろ!」
「お前、一応女子なんだからさぁ~。てか殴るって、全然可愛くないぞ?」
「は?別に可愛くなくてもいいし。てか、そんなこと真に言われたくないね。」
『変顔』とか言って笑いやがって。デリカシーがないんだよ。うちだからまだいいけど、他の女子だったら絶対に嫌われるね。そしていっぱい女子連れてこられて、囲まれて、ボコられるな。うわ~大変だ。可哀想に。
「お~い。あ~お~。また変な顔してんぞ~」
バチッ!!
「いっで!!だからお前殴んなって!マジで冗談抜きで痛いから!」
「殴ってないってば!今度は“叩いた”って言うんです~」
「お前の叩くと殴るは威力が一緒だ」
「まったく違いますけど~?頭だ~いじょ~ぶで~すか~?」
「うわ~ムカつくわ~」
そして真は笑った。それにつられてうちも笑ってしまった。
それからしばらく二人で笑いあった。
笑いがおさまると真は、
「あ~、そろそろ帰っか。」
「うん。そうだね。」
「んじゃ、行きますか。」
「おっす!」
そう言うと真はにっこりと笑った。それにつられてまたうちも笑ってしまった。
真が笑うと、なぜかうちも笑ってしまう。
真と話してると楽しいし、気合うし、笑ってくれるし……。
何より猫をかぶっているということについて、特に何も聞いてこないし、バラしもしない。
良いヤツだ。うん、良いヤツ良いヤツ。
「オラ、早く帰んぞ~」
「あ、うーん。ちょっと待って!」
そして学校を出て、家に帰った。
ずっと、この関係が続けばいいな、なんて何気に思った。
でもこんなこと、恥ずかしくて言えないけどね。
◆ ◆ ◆
帰る途中、見覚えのある人を見かけた。
「あっ!渡部せんぱ~い」
「ん?おう、館華。久しぶりだなぁ」
「ですね~。元気ですか?」
「まぁ、悪くはないな。」
なんて話をしていると、ふと、あることを思い出した。
一ノ瀬先輩と話したとき、『渡部先輩からリサーチをした』、と言っていた。
そうそう。あー思い出しちゃった。
なんて口が軽いヤツなんだ!人のこと、チョットは考えて欲しいよね。
あ~なんかものすごくムカついてきた。
どうしてやろうかな?フフフ……
「あ~、先輩?そういえば最近私のこと、誰かに言いましたよね?」
そして嫌味な笑みを浮かべると、先輩は顔をひきつらせた。
「あ、ああ。言ったような、言ってないような………ヒッ!!」
うちは無意識に眉間にシワを寄せていた。
それが相当怖かったのか、先輩はいっそう顔をひきつらせた。
「先輩。口が軽い人は、嫌われますよ?気を付けてくださいね?」
そして最後にニッコリ笑ってみせると、
「お、おう。じゃ、オレはもう帰るよ。じゃあな!」
と言ってものすごいスピードを出して、走って帰って行った。
フフフ…。これでもう誰にも言わないことだろう。じゃあ、うちもさっさと帰るか。
「真!帰ろ」
「お、おう。」
置き去りにしていた真を見ると、先輩と同じように顔をひきつらせていた。
続き、お楽しみに(*´∀`*)