ポポ鉱山の竜
「いや・・・やっぱり帰ったほうがいいだろこれ・・・」
ディンゴが小さい声でつぶやく。
その理由は、ポポ鉱山の麓の看板だった。
[この先、竜を確認。危険なので立ち入ることを禁ずる メルタ騎士団]
竜を確認・・・?竜ってドラゴンだよな・・・
小さいころに一度だけみたことあるけど・・・
あんな怖いのは二度とごめんだ・・・。
「なにびびってんのよ!こんなのいつもついてるわよ」
「ドラゴンっていってもテツコドラとかだよねー」
「アタシたちはすでに下見をしてんのよ!ちゃんと予習しとかないと」
ほおおお・・・気の入りようがすごいなカノン。
本気なんだなぁ・・・
「そうそう、でもまあ一応襲われたらヤバイからちゃんと武器は配っておくわ」
といって渡されたのは、小型のナイフ。
・・・小型のナイフ?
「おいカノン、お前の腰に備わっているそれはなんだ」
「え?ブロードソードだけど」
「おいナナ、お前の背中にしまってるその弓はなんだ」
「ハンターボウだよー」
「おいハウル、俺達の持ってる武器はなんだ」
「小型のナイフだな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ナナ、お前弓使えたっけ・・・?」
「鉱獣討伐訓練で一回だけつかったよー」
だめだ・・・カノンもナナも
俺らを完全に見捨ててる・・・!
ナイフでテツコドラに勝てるかどうかかなり怪しいぞ・・・。
襲われてもたぶん・・・無理だな。
「細かいこときにするのは男じゃない!すすめー!」
しぶしぶ進む俺達。
しかし山道の中腹を抜けたところで、
カノンが異変に気づいた。
「なにかがいる気がする・・・」
「テツコドラじゃねーのかよ」
「違うわ。間違いなく大物よ」
「大物?」
山の洞窟の方から、何やらおぞましいものがうごめいている・・・
俺はゴクリとツバを飲んだ。
しかし俺達の前に現れたのは、別に普通のテツコドラだった。
「なんだ・・・驚かせないでよ・・・」
シッシッとテツコドラを追い出すカノン。
まあそうだよな・・・こんなとこに巨大竜なんていないよな。
ところが、ナナはひとりだけあらぬ方向を向いていた。
それは・・・俺達の後ろ。
「おい・・・ナナ・・・どこむいてんだよ・・・」
「ねー・・・これってもしかして・・・」
おそるおそるうしろを振りむく。
そこにいたのは透明に極限の光沢を帯びて、
傷一つないダイヤモンドの鱗を持った竜が・・・
「「「「ダイヤモンドドラゴン・・・?」」」」
絶対絶命・・・!!!!