【ショート小説】
【銀行ごーとー】
俺は慌てふためく銀行員を黙らせるため天に向けてピストルを発泡した。
弾は天井の蛍光灯に当たりパリン!と割れた。
ソノ欠片が銀行員の目ん玉にグサッ!と突き刺さった。
…銀行員は失明した。
後日タイホされたオレの刑罰は予定していたものより少しだけ重いものとなった…。
【明日の天気は金です】
空から金が降ってきた。
いっしゅん世界中の人間が金持ちになった…。
だからダレも金持ちにはならなかった…。
【味ぽんマン】
「味うすいなー」…と男が言った瞬間ドコからともなく、味ぽんの格好をした男が現れ、男の弁当にジャブジャブと味ぽんを掛け、そのまま何処かへ走り去って行った…。
【歴史】
宮本はタイムマシンに乗って過去へやってきた。
自分の名を歴史に残すため、刀でムサシの首を切り落とした。
その瞬間、宮本の体は薄くなった。
宮本は少しずつ消えていった…。
薄れゆく意識の中、ムサシの首を切り落とした宮本は自分の名字が宮本であるという事を思い返していた…。
【おせっかい】
SF映画を鑑賞し終えた俺はエンディングロールが流れる最中、タイムマシンを作りたいな~…などと映画に影響された事を考えていた。
すると…突然。目の前がピカッ!と光り、次の瞬間、ドギューーーーン!!!と、凄まじい爆音が部屋中に鳴り響き、さらに、そこから大量の煙が沸き上がり、火花の様な光を放ちながら白い卵型の物体が現われた。
…窓がパカッと開いた。
中から年を取った俺が首を出した。
「いや、できるよ。つーか作るよ。君が。俺が。君が。いや俺だけど…うーん…なんか…ゴチャゴチャするから行くね」
それだけ言うとソイツは首を引っ込めた。
それから、その物体はドギューーーーン!!!と、さっき同様凄まじい音を掻き立て、ピカーーーーン!と光り、煙を撒き散らしながらどこかへ消え去っていった…。
そして…おれは…この出来事を意識し過ぎるあまりタイムマシンを作る事が出来ずに一生を終えていった…。
【3分クッキング】
こんにちわ。
3分クッキングの時間です。今日は時間が無いので10秒クッキングになります。
材料の方はタマゴ、ニンジン、タマネギ、醤油を使って出来上がった物を食べ終わったところです。
また明日。さようなら。
【ライト兄弟】
「おまえがレフトいけよ」
「たまには兄さんがレフト行ってくれよ」
【あわてんぼうのサンタクロース】
サンタは白い袋からプレゼントを出した。
眠る子供の枕元にソーーとソレを置いた。
その時、サンタの肘が勉強机の上に置かれたペン立てに当たった。
ペン立てはガシャン!とひっくり返った。
サンタは慌ててパリーーーン!!!と子供部屋の窓をぶち破り真っ赤なお鼻のナントカさんが待機している所まで全速力で走り抜いた…。
【スピード】
また…。
はじまった。
また、この現象がはじまったのだ…。
わたしはこの現象がとても恐い。
わたしは、この現象が起こっている間なにをしていいのか分からなくなる……。
回りの物が全てスローモーションになるのだ。
時計がゆっくり。
人がゆっくり。
音がゆっくり。
わたし以外のもの全てがゆっくりになるのである。
ある日…。友人にこう言われた。
『オマエたまに超高速で動くよな』
【ストーカー】
ストーカー行為というものがどれくらいの犯罪になるのかは知らないがコレも1つの愛の形なんだろうと思い今日も僕は彼女の部屋の明かりを見つめている。
最も安らぐ時間だ。
どんなに辛くとも苦しくとも嫌な事があってもこの時間だけは全てを忘れさせてくれるのだから。
「あのー。すみません」
その声に振り向くと小柄な中年男性が立っていた。
『…なんですか?』
一瞬、刑事か警察かな?とも思ったがそれとも違う気がした。
「えり子さんのストーカーですか?」
…と聞かれた。
『…あなたは誰ですか?』
…と聞き返した。
「はははは。警戒しなくとも結構!実は!私も!えり子さんのストーカーなんですよ!」
『…はぁ…えっ…なんか…まぁ…奇遇ですね…』
「はははは!いやいや!本当に奇遇ですなー!ご一緒してもよろしいですか?」
『…どうぞ…』
「どうも!」
…と言って男は僕の隣に座り続けて言った。
「えり子さんいいですよね~」
『……ですよね~』
僕等はえり子さんの部屋の明かりを見つめながらえり子さんについて語り合った。
そして…そのまま…爽やかな朝を迎えた…。
【チビッコ軍団】
トイレの便器に腰を掛けている時のこと。
突然トイレのドアの下の隙間から3ミリくらいのチビッ子達がゾロゾロとやってきた。
「わーー!コイツうんこしてるよ!きゃはは!」
「クセークセー!きゃはは!」
「いこーぜ!いこーぜ!」
チビッ子達はドアの隙間から帰っていった。
翌日…ゴキブリホイホイを見ると大量のチビッ子達がくっついていた。
【悪魔のビデオ】
ビデオを入れ再生ボタンを押した。
ザザーーープン
『どーも悪魔です』
画面には全身真っ黒でツノの生えた悪魔が立っていた。
画面から悪魔の右手が飛び出しオレの右腕を掴んだ。
抵抗したが、もうオレの右腕は肩まで画面に引きずり込まれている。
オレは左手でビデオのスイッチをきり悪魔のビデオテープを部屋の壁に叩きつけた。
悪魔のビデオテープは壊れた…。
オレは右腕を失いビデオテープの壊れた部分から悪魔の笑い声が部屋中に響き渡った…。
【自力】
タカシが部屋でゲームをしていると窓から泥棒が入って来た。
タカシは110番に電話を掛けた。
『もしもし警察です。ただいま留守にしております。ピーという発信音のあとにお名前とご用件をお入れください。ピー』
タカシは泥棒の顔面に左フックを御見舞いした。
【イメージ】
僕の名前は
白鳥 純也
(しらとり じゅんや)
イメージというのは人それぞれ自由である。
ただ誤解してほしくないのは僕は優等生ではないということだ。
それに金持ちでもなければバイオリンも習っていないしジイ的なものが高級車で学校の前まで送り迎えをしたこともない。
僕の名前は
本郷 政義
(ほんごう まさよし)
しかし
ガリガリに痩せているし背もかなり低い。
趣味は読者でメガネをかけている。
悪いがまったく
力持ちではない。
もちろんクラス1の怪力、平田成実君には手も足もでない。
僕の名前は
速水 龍
(はやみ りゅう)
足はおそい。
―おわり―