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7.突然の告白!

 悠也は、芹香の元を離れ朝から何も飲まず食わずだった為、お腹が空いて空腹に耐え切れず食堂に足を運んだ。

悠也は、何を食べようか悩んでいると、エプロンをつけたかっぷくのいい 食堂のおばちゃんが声をかけてきた。

「あんた、今日のイベントに選ばれた子かい? 大変だろう」

「えっ、まぁ~、逃げるしかなくてずっと飲まず食わずで……」

「あらあら、そりゃ、大変だねぇ~! 何かお腹に入れとかなきゃ体力がもたないよ。よぉ~し、おばちゃんがご馳走してあげるよ。しっかり食べて午後からも頑張りな」

「いいんですか?」

「いいさ、じゃ、ちょっと待ってなさいな!」

そう行って食堂のおばちゃんは厨房へと入って行った。悠也は、ご飯が出来るまでの間、走り回って渇ききった喉を水で目一杯潤わす。

「ぷはぁ~、早くイベント終わんないかなぁ~、こんなんじゃ、身が持たないよ。早く咲ちゃん捜して告白しなきゃ!」

再び、水を喉に流し込む。しばらくして、食堂のおばちゃんが

「はいよ~! お待たせぇ~! 昼からも頑張れるようにおばちゃん特製のスタミナ定食だよ! しっかりお食べ! ただし、お残しは許しませんよ! なんちゃって!」

「こんなにたくさんいいの? ありがとうございます。じゃ、頂きます」

悠也は、おばちゃんにお礼を言って食事を食べ始めた。

「美味しい! これ美味しいし、スタミナつきそう!」

悠也は、イベントの事を忘れ味わってゆっくり食べていた。その時

「あっ! 櫻井くん!」

と、不意に声をかけられた。悠也は、ビクッと身体が反応し一瞬だが身体が少し宙を舞った。

悠也は、恐る恐る後ろを振り向くと、悠也のよく知っている女の子が立っていた。

「あっ、唐川さん!」

そう、悠也の後ろに立っていたのは、さっきまで咲と一緒にいた結花だった。結花は、悠也のところに行くと

「櫻井くん、タイミング悪すぎだよ~、もうちょっと早く来とけば咲がいたのにぃ~」

「えぇ~、そうなの? 今、咲ちゃん何処にいるのかな?」

「今、校舎の屋上にいるよ。咲ったら櫻井くんに会えないからってハブててるんだよ。全く……」

「あはは、そっかぁ~。で、唐川さんはどうして食堂に戻ってきたの?」

悠也の問いかけに結花は悠也に分からないよう一瞬ニヤッとして

「それは、咲が少し一人になりたいとか言い出したから少しの間だけ離れようかなって思ったのと咲の代わりに私が櫻井くんを捜してあげよって思って捜してたのよ」

「そうなんだぁ~、唐川さんって優しいよね」

「でね、櫻井くんを見つけたついでに私が櫻井くんの唇もらっちゃおうかなってね」

「ちょ……唐川さんもこのイベントに参加してるの?」

「咲は、参加してないけど私は今から参加しちゃってもいいかな?」

「ダメだよぅ~、唐川さんは僕が咲ちゃんの事好きなの知ってるでしょ」

「それは、もちろん知ってるわよ! 両想いなのにお互いが告白出来ないでいる事もね!」

「だったら、唐川さん応援してよ! 僕は、今日こそ咲ちゃんに告白しようって決めてるんだからさ!」

「今日、咲に告白するの? そっかぁ~、じゃ、それを邪魔するっていうのも楽しいかもね」

「そ、そんなぁ~、唐川さんひどいよぅ」

「でも、櫻井くんラッキーボーイに選ばれた以上みんなに狙われてるんだし。咲に告白する前に櫻井くんの唇を奪うなんて何か燃えるわ」

「勘弁してよぅ」

「いいじゃない、私も櫻井くんの事前から好きだったし。キスぐらいしようよ。咲には黙っててあげるから」

と、言って結花は強引に悠也に抱き着いた。


 その頃、咲は屋上のベンチに座り杏子先生からもらった一升瓶に食堂で大量に購入したコーラを補充していた。

「はぁ~、悠也くん何処にいるんだろ。ちゃんと私の事捜してくれてるのかな? もしかして、他の女の子と一緒にいるのかな? 悠也くん、早く会いたいよぅ~」

咲は、そう何度も何度も呟きながらひたすらコーラを一升瓶の中に流し入れていた。

「そういえば、結花も遅いなぁ~、早くコーラ買って来て欲しいのに」

その結花は、今悠也と一緒にいて悠也の唇を奪おうとしている事を咲は知るよしもなかった。


 一方、悠也と結花はというと、悠也は抵抗する間もなく抱き着かれていた。

「唐川さん……僕に好意を持ってくれてるのは本当に嬉しいけど……やっぱダメだよ!」

と、悠也は、これでもかというぐらい顔を真っ赤にして言った。

「私じゃ、咲の代わりにはなれないかな? 咲に負けないくらい私も櫻井くん……悠也くんが好きなの」

「ありがとう……でも、ゴメンね。僕には咲ちゃんしかいないんだ」

「そっかぁ~……私の精一杯の告白だったんだけどなぁ~」

と、結花は俯いた。

「本当にゴメンね、唐川さん……」

と、俯いてる結花に頭を下げて謝ると、俯いたまま結花は、クスクスと笑い出した。

「あははは。櫻井くんってば可愛いね~! 冗談だから安心して! ちょっとからかってみたかったんだよね。櫻井くんすぐ本気になっちゃうんだもん。あはは、笑いこらえるの大変だったよぅ」

「な、な、何それぇ~、全部芝居だったの? ひどいよ唐川さん……僕、本気で唐川さんを傷つけちゃったって思ってたのにぃ~」

「あはは、ごめんごめん。でも、私、櫻井くんの事好きなのは本当だからね! ただ、やっぱ咲と櫻井くんはお似合いだと思ってるからその中に割って入ろうなんて思ってないよ。それに、櫻井くんの咲に対する気持ちも聞いてみたかったし」

「もうからかわないでよ。で、結局食堂に何しに来たの?」

「咲にコーラ買ってくるよう頼まれてね。食堂に来たら櫻井くんがいたんでついね」

「そうなんだ。じゃ、唐川さん咲ちゃんのとこに帰るんだよね? 一緒に行ってもいいかな?」

「それは構わないよ! 咲のあの様子じゃもう捜しに行ったりはしないと思うし……」

「やったぁ~、ありがとう! これでやっと咲ちゃんに会えるよ」

そう言うと悠也は、残りのご飯を食べ切ると結花と一緒に食堂を後にした。これから、屋上までの道のりが険しいとも知らずに……

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