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11.最終決戦(中編)

 男子達の襲撃を蘭子、麻奈美に助けてもらった悠也は、結花と手を繋いだまま三階まで辿り着いていた。

「やっと、三階まで来れたよ。咲ちゃんまでもう少しだね。咲ちゃん待っててくれてるかなぁ~? ね、結花ちゃん」

「えっ、あ、咲はちゃんと待ってると思うよ。ただ……」

「ただ……何?」

「ううん、何でもないよ! 行ってみれば分かるから。と、ところで悠也くん……そろそろ、あ、あの手、手を離してもいいかな?」

「あっ、ご、ごめんね、手を離すタイミングが分からなくて……つい……」

「ううん、こっちこそごめんなさい。私実は、あんまり男の子と手を繋いだ事ないから急に恥ずかしくなっちゃって……これ、咲にバレちゃったら怒られちゃうね」

「あはは、かもね。結花ちゃん内緒にしててよ」

「うん、もちろん内緒にしとくよ。二人だけの秘密だね」

と、二人話ながら歩いていると、後ろからパタパタッと足音が聞こえてきた。

悠也と結花は、恐る恐る後ろを振り向くと、そこには、どう見ても小学生にしか見えない由美の姿があった。

悠也は、男子達じゃないことに安堵のため息をついた。

由美は、小走りに悠也の元へ駆け寄り

「あっ、お兄ちゃんみぃつけたぁ~! 何してるの? お兄ちゃん」

「由美ちゃんは、どうしたの? 僕は、屋上に行く途中だよ」

「そうなんだぁ、由美はねぇ、お散歩してたの。そしたらお兄ちゃんが見えたから」「そっかそっか」

と、悠也は由美の頭を撫でる。

「はうぅ~、お兄ちゃん頭撫でたらぁ~」「あはは、相変わらず由美ちゃんは可愛いねぇ~、でも今は、僕の近くにいたら危ないよ……男子達全員に僕は狙われているからさ……」

「あれれ~? お兄ちゃん女の子達に追われてるんじゃなかったの?」

「まぁ、女子からも追われてはいるんだけど……今は、男子達がね……」

「へぇ~、で、お兄ちゃんの隣にいる女の子がお兄ちゃんの大事な人なの?」

由美は、キラキラした瞳で悠也と結花を交互に見た。

悠也と結花は、お互いに顔を見合わせてお互いが真っ赤に頬を染めながらも

「違うよ、由美ちゃん。僕達は友達なんだよ。僕の好きな人のところに案内してもらってるんだよ」

「そ……そうなのよ……私は、友達として悠也くんをほっとけなくてね。一緒にいるのよ」

「へぇ~、仲いいんだね」

由美は、うんうんと頷きながら首を縦に二回振った。

 由美と話をしてる間に悠也は、どっからともなく痛い視線、嫉妬に満ち溢れている視線をチクチクと感じて辺りを見渡す。

「お兄ちゃん? どうしたの?」

「いや、ちょっと、嫌な視線感じてさ」

「え~、悠也くん……まさか……また……本当に男子って女々しくてしつこいわね」悠也と結花は、男子達が近くにいる事を確信して結花は、もううんざりといった感じで肩を落とし溜め息をついた。

「悠也くん、早く行きましょ! じゃないとまためんどくさい事が起きちゃうよ」

「そうだね……じゃ、由美ちゃんまたね」と、由美の元を離れようとした時には、もうすでに遅くいつの間にか男子達が立ちはだかったいた。

「やっと見つけたぞ! 櫻井ぃ~! 覚悟しろやぁ~」

数人の男子が頭の角に四つ角を作って悠也の前まできた。そして、悠也の周りにいる女の子二人を見てますます頭に血が上る。「櫻井ぃぃ~、キサマぁ~、何故お前だけモテるんだ! しかも、小学生の女の子にまで……」

「違うもん! 由美は、小学生じゃないもん! これでも高校生だもん!」

と、頬を目一杯膨らませて怒った。

「冗談言っちゃダメだよ! どうみてもランドセル背負った小学生にしか見えないじゃないか! さぁ、そんなひ弱な男のところにいるより俺達のところにおいでよ」

「やだもん! 由美はお兄ちゃんがいいの! お兄ちゃんが大好きなんだもん!」

由美は、男子達に向かって舌を出した。

「ゆ、由美ちゃん……今、あんまり男子達を怒らせないでよ……っか、もう遅い……よね……」

悠也は、肩を落とし溜め息をついた。

そして、男子達が額の隅に四つ角をたてて「き……貴様ァ~!! 」

怒りが頂点に達した男子達は、有無を言わさず一斉に悠也へと飛び掛かる。

悠也は、咄嗟に身構えるも、胸ぐらを掴まれてしまった。

悠也は、瞑り殴られると思った瞬間

「お兄ちゃんをいじめないでよぅ~。お兄ちゃん何も悪い事してないでしょ」

と、由美が悠也の胸ぐらを掴んでいる男子の制服を引っ張り制止した。

「いや、コイツは、俺達の事を鼻で笑ってやがる! 俺達は、絶対コイツを許さない! ぶん殴って女子にモテないような顔にしてやらなきゃ、気がおさまらない!」

悠也の胸ぐらを掴んでいる男子が、右手に力を入れ握り拳をつくり、拳を思いっきり振り上げそのまま一気に悠也に向けて振り下ろす。

悠也は、覚悟して目を瞑った。

しかし、悠也の顔に拳が当たるかっていうところで拳が止まった。

由美が悠也を庇っていたのだ。

「ダメェ~、お兄ちゃんをいじめちゃやだよ~! お兄ちゃんをいじめたら由美許さないからぁ~」

と、いつ泣き出してもわからないぐらい瞳に涙を溜めて男子を制した。

「仕方ないんだよ。君も、こんな女たらしの為に泣かなくても……」


「お兄ちゃんは、女たらしじゃないもん! みんなに優しいだけだもん! あなた達こそ悪い人なんだもん!」

と、由美は頬を膨らませていた。

「そうか……君はもう、アイツの言いなりになってるんだね……それなら仕方ない……君に構ってる暇はないんだ。どかないって言うんなら力ずくでどかすまでだ」

と、男子の一人が由美の肩に手をやり無理矢理どかそうとして由美の肩を引っ張る。体の小さい由美は、簡単にどかされ尻もちをついた。

尻もちをついた瞬間に由美は大声で泣いた。

「あんた達最低ね! 女の子を泣かすなんて! 信じらんない!!」

結花が男子達に冷たい視線を送る。

「知るかよ! こいつが勝手に泣いたんだろうが! あ〜、お前もお前だ! 転んだぐらいでギャーギャー泣くな!」

と、由美に怒鳴った。

由美は、ますます大声で泣く。

「あ〜、もううっとうしいぃ〜」

男子の一人が由美に向けて手をあげようとする。

だが、男子の手が由美に当たるか当たらないかのところで手をあげていた男子が急にその場にうずくまった。

「う、な、何だ……何が起きたんだ、急に腕が……」

と、男子は腕を押さえる。

「あなた達……女の子をいじめたらダメ」

と、男子達の後ろから芹香の声が聞こえた。

「何だ、お前も俺達の邪魔をする気か?

何で女子は櫻井の味方をするんだ? こいつのどこがいいんだよ? くそ〜」

男子達は芹香を睨みつける。

「私……あなたたち嫌い……今すぐ消えて」「うるせぇよ! バカ!! はい、そうですかって行くわけねぇだろうが!」

「そう、じゃ、あなた達……私の友達に……」

芹香がニヤっとした瞬間、男子達が次々と苦しみだした。

「う、うぅぅ〜、く、苦しい……」

ほとんどの男子が喉を押さえ苦しんでいた。

状況を把握できないまま男子たちは倒れていく。

「な……何がどうなってんだ……」

「今……私の友達があなた達の首を締め付けているの……どう? 苦しいでしょう……」

「友達ってなんだよ……誰もいないじゃないか……」

「いいえ……いるわ……私の友達の悪魔達が……」

「えっ……あ、悪魔……??」

「そう……あなた達がこれ以上女の子を泣かさないのなら止めてあげる……」

「わかった……約束する……だから命だけは……」

「わかった……」

芹香がパチンと指を鳴らすと男子達を苦しめていたものが消えた。

「櫻井……悠也……早く行って。ここは私に任せてほしい……」

「いいの? 夢野さん?」

芹香は、小さくだがコクンと首を縦に振った。

「ありがとう!! じゃ、結花ちゃん行こうか」

悠也と結花は屋上に続く階段へと向かっていった。

その姿を見ながら芹香は、

「櫻井……悠也。もうすぐだから……頑張って……」

と小さく囁いた。

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