↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

嫉妬と言う名のおぞましき病巣について

掲載日:2026/10/09

それは、愚かな己の満たされない心からなる身勝手で気持ちの悪い感情だ。

自覚はあった。幾度のその感情が湧き上がる自分を死ねばいいのにと蔑み、されど、手首に刃を差し込む度胸のない己を何度も恥じてきたからだ。

だが、それでも、どれだけ自罰的に己を罰し二度とそのような感情を出さぬよう、封じ込めようとしても、物理的に釘が打てるわけでもないがゆえに、その感情はあふれ出す。

今だってそうだ。


私は、友人を妬んだ。


自分を擁護するようで気持ち悪いが、ほんの小さな嫉妬だった。

その友人は、頼れる人間だった。少なくとも私はその人物に一切の悪感情は抱いてなかったはずだ。いなかったはずなのだ。

誰からも頼られるいい人で、年下ながら自己管理がうまく、面倒事が起こった時対応してくれた。


それだけ人望が多い彼だからこそ、彼の身の回りのことでトラブルが起こった時、彼を助けようと何人もの人間が動いた。


私は、気持ち悪くおぞましくもその事実を羨ましいと思い、その感情に引きずられたせいで私は彼を心配せずに‥‥‥一瞬、されど一瞬、妬んで、いい気味だと思ったのだ。


吐き気がした。そう、一瞬思った自身を信じられないと動揺した。自分が二人いるように感じた。気持ち悪くて気持ち悪くて仕方なかった。なんで、どうしてと、叫びそうになった。


人間、ここまで落ちぶれることができるのか。嫉妬だけで、友人に向かって、唾を吐くことができるのか!?

こんなの自分ではないと、否定したくて仕方がなかった。皮の面をはぎ取って、自分を自分ではないモノにしたくなった。


出来なかった。

死にたいと願った。

願うだけだった。

薄っぺらくて、気持ち悪かった。


ユニットバスに体を横たわらせ、水面を覗き込んだ。

自分の顔が見えた。


友人を、妬み蔑んだ罪人の顔が。

ぐちぐちねちねち己を罰する。

それだけが正しいことであると、願って。

誰もそんな自罰を望んでない事は私は知っている。だから、これは自分を許せない、己の私刑の私刑だった。


首を絞めた。自分の首を絞めた。

湯の外にある首元は思ったよりも冷たく、自分の手のひらは思ったよりも温かくなかった。

お風呂の中であるからか、指の裏から感じる血流は早く感じた。


首を両腕で握りしめた。力いっぱい、血管を押しつぶした。

ぎゅっと、内側から外へと何かしらの圧がかかったのか目が痛くなる。

いつもよりもずっと早く、気持ちが悪くなり、頭がくらくらして、苦しくなる。

「がはッ」


呼吸が戻る。意識が元に戻る。目だけが痛いまま。


許したくない。そもそも、誰かに許されようとすること自体が気持ち悪い。これだってそうだ。書いてる今でさえ気持ち悪くて、けど一時的でも、この嫉妬と言うがんへ形を与え切り捨てないと、死にたくなりすぎておかしくなりそうなのだ。


狂気が欲しかった。その、自罰的な思考のまま、一歩先へ踏み出せる強さと正しさが欲しかった。

だけど、私にはそんなものが無い。どこまで行っても自分が可愛くて、どれだけ憎んでも、殺せない。

今だってそうだ。首を絞めても十秒後には首から手を放して、死んだように天井を見上げるばかりだ。


でも、それでも、この自罰だけはずっと永遠に続けなければならない。意味が無くても、狂気に侵されて一歩先へ踏みだすことができないとしても、私は私をおぞましいと思い、気持ち悪いと思いながら、半殺しにして、死に続けながら生きなければならないのだ。


死ねないのだから、そうするべきなのだ。


そうして、この心に巣くうおぞましい嫉妬が怪物へと羽化しないように、一瞬の妬みと蔑みが常習化しないために、私は私を生きる価値のない汚物と称しながら生きるのだ。


それがきっと、一生癒えないこの病巣と生きる人生の処世術だと、信じて。


不器用、なのだろう。だけど、私にとってこれが一番「正しい」と思えるのだ。


‥‥‥気持ち悪い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。