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手厚いサポート

 マルコスはデルダから届いた手紙をじっくりと読み終えると、すぐにトニーを呼び出した。


「トニー、ちょっと来てくれ」


 しばらくして、ドアが勢いよく開かれ、トニーが現れた。彼の表情はいつも通り険しく、態度も乱暴だった。


「何だよ、マルコス。何かあったのか?」


 マルコスは手紙を机の上に広げ、トニーに見せた。


「デルダからの報告だ。宿場町のギルドの状況について書かれている。」


 トニーは手紙を一瞥し、鼻を鳴らした。


「ふん、あの女が何かしら裏で動いてるってわけか。でも、具体的なことは書いてないんだろ?何か怪しい動きでもあったのか?」


 マルコスは頷いた。


「そうだ。アリスが何本かのハードケースを馬車に積んで、どこかに運び込んでいるらしい。」


 トニーは腕を組み、考え込んだ。


「やっぱり何かあるな。俺たちが知ってる情報を総動員して、奴らの動きを掴む必要がある」


 マルコスは手紙を再度確認し、ため息をついた。デルダの報告は確かに何か怪しげな動きを伝えていたが、具体的な証拠や詳細な情報が欠けていた。


「トニー、デルダがこれ以上有効な情報を手に入れられていないのが気になる。奴はそれなりに有能だと思っていたが、どうも上手く行ってないようだ」


 トニーは肩をすくめた。


「デルダも悪くないが、相手が手強いんだろう。アリスって女も相当のやり手らしいからな。それに、ギルドの連中がデルダに本当のことを話してるとも限らない」


 マルコスは考え込んだ。


マルコスは机の上に広げられた手紙を見ながら、ふと考え込んだ。デルダの報告にあった「ギルドが職員募集を強化している」という一文が頭をよぎる。しばらくして、マルコスは閃いたように顔を上げた。


「トニー、ちょっと待て。ギルドが職員募集を強化しているっていう話があったな」


トニーは立ち止まり、マルコスの言葉に耳を傾けた。


「そうだな。それがどうした?」


マルコスは微笑みを浮かべた。


「お前もギルド職員として潜入するのはどうだ?デルダ一人では限界がある。二人で協力すれば、もっと効率的に情報を集められるはずだ」


 トニーは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに口元に笑みを浮かべた。


「なるほど、それは面白そうだ。俺が潜入してやつらの動きをもっと深く探るってわけか。だが、俺がギルド職員として潜り込むにはどうしたらいい?」


 マルコスは考えを巡らせた後、答えた。


「まずは、デルダと連携を取ることだ。彼に協力してもらい、適当なタイミングでギルドに応募する。デルダにはお前が信頼できる人物だと推薦してもらえば、うまくいくだろう」


 トニーは頷いた。


「了解だ。それなら俺がデルダに連絡を取って、計画を練り直してやる。潜入するからには、徹底的にやるぜ」


 マルコスは満足そうに頷いた。


「そうしてくれ、トニー。これは我々にとって重要な任務だ。成功すれば、エリシアの動向を完全に掴むことができるかもしれない」


 トニーは力強く頷き、再び部屋を出て行った。マルコスは手紙を見つめながら、次なるステップに向けて心を引き締めた。ギルド内部に潜入することで、彼らの計画を暴くための一歩を踏み出したのだ。


 ——一方その頃。


 宿場町のキャンプでは、セリスが一行を前にして最後の指示を出していた。彼女の声は静かだが、確固たる決意が感じられた。


「皆さん、準備は整いましたか?今日はサンセット近郊のゴブリン部隊やドレイク、ゾンビ兵を撃破する任務です。油断は禁物ですが、私たちならやり遂げられますわ」


 冒険者たちは一斉に頷き、武器を確認した。セリスはその場を見渡し、満足げに微笑んだ。


「それでは、行きましょう」


 一行は整然と動き出し、サンセット街を後にした。街の外れに広がる森に入ると、緊張感が一気に高まった。セリスは先頭に立ち、鋭い目で周囲を警戒しながら進んでいった。


 突然、森の奥からゴブリンの群れが現れた。セリスは冷静に指示を出し、冒険者たちはそれぞれの役割を果たした。


「来ますわ!」


 セリスの声に従い、冒険者たちは迅速に陣形を整えた。ゴブリンの攻撃を巧みにかわしながら、次々と敵を倒していった。


「ドレイクが来たぞ!」


 一人の冒険者が叫ぶと、セリスはすかさず指示を飛ばした。


「ドレイクの咆哮に気をつけて!後ろに回ると尻尾がムチのように飛んでくるから、絶対に背後には立たないでくださいまし!」


 冒険者たちはセリスの指示を守りつつ、ドレイクに立ち向かった。セリス自身もアイスソードを振るい、ドレイクの攻撃を巧みにかわしながら反撃を繰り出していた。


 森の奥から突如としてゴブリンシャーマンたちの魔法攻撃が炸裂した。


 紫色のエネルギーが飛び交い、空気を切り裂く音が響く。冒険者たちは瞬時に反応し、サラマンダーの炎ブレスを避ける要領でそれぞれの位置を変えた。


「避けて、一気に接近して叩き切るのですわ!」


 セリスの指示に従い、冒険者たちは素早く動き始めた。彼らは魔法攻撃を巧みにかわしながら、ゴブリンシャーマンたちに向かって突進した。


 セリス自身もアイスソードを握りしめ、鋭い眼差しでシャーマンたちを睨んでいた。彼女の動きはまるで風のように軽やかで、敵の魔法を次々と避けながら接近していった。


 セリスのアイスソードが閃き、一瞬でゴブリンシャーマンの一体を切り裂いた。シャーマンは倒れ、次の瞬間には他の冒険者たちも一気に攻勢をかけた。


 ジンは剣を振りかざし、シャーマンの魔法を剣で受け流しながら接近していった。


「これで終わりだ!」


 彼の剣が閃き、シャーマンの首を一瞬で切り落とした。シャーマンは倒れ、ジンは次の敵に向かって突進した。


 他の冒険者たちもそれぞれの得意技を駆使し、ゴブリンシャーマンたちを次々と倒していった。魔法攻撃に対する彼らの対応は見事で、シャーマンたちは次々と倒されていった。


「やりますわね!」


 セリスは声を上げ、冒険者たちを鼓舞した。彼らは一丸となり、次々と敵を撃破していった。ゴブリンシャーマンたちの魔法攻撃も徐々に弱まり、最終的には全ての敵が倒された。


 戦いが終わると、冒険者たちは息を整えながら互いに勝利を喜び合った。セリスはその場に立ち、満足げに微笑んだ。


「皆さん、見事な戦いぶりでしたわ。これで次の戦いにも自信が持てるでしょう。」


 戦場の静けさが戻ると、宿場町組の冒険者たちは周囲を見渡しながら、敵の評価を始めた。


「ここも魔物はダンジョンほど凶暴性もないし、体格も一回り劣っているな」


 ジンが周囲のゴブリンシャーマンの残骸を見ながら呟いた。他の冒険者たちも同意するように頷いた。


「ドレイクも見かけたけど、ダンジョンのアイスドレイクに比べれば、大したことない。ブレス攻撃がない分、楽だ」


「確かに、ダンジョンに比べて楽だったな」


 別の冒険者が言葉を続けた。彼らは互いに視線を交わしながら、これまでの戦闘を振り返っていた。


「そうですわ。この程度の敵ならば、宿場町に戻るまでの任務は楽にこなせるでしょう」


 セリスの言葉に、冒険者たちは一様に頷いた。彼らは自信に満ちた表情で、次の戦いに向けて準備を整え始めた。


「ここでの戦闘も、問題なくこなせるはず」


 ジンはそう言いながら、武器の手入れを始めた。他の冒険者たちも同様に、自分たちの装備を確認し、次の戦闘に備えた。


 宿場町組の冒険者たちの戦いぶりは、他の街から来た冒険者たちの間で話題となっていた。


 彼らの戦闘の様子を目撃した者たちは、驚きと困惑を隠せなかった。


「どうしてあの一団だけやたらと強いんだ?」


 ある冒険者が仲間に問いかけた。彼の目には疑念が浮かんでいた。


「精鋭揃いなのか、それとも何か特別な訓練を受けているのか……訳がわからないな」


 別の冒険者が肩をすくめながら答えた。彼らの間で噂は広がり、ますます不思議に感じる者たちが増えていた。


「それにしても、あれ、サラマンダーの鱗か?持っているなんて普通じゃないよな」


 冒険者たちはセリスや他の宿場町組のメンバーの武器に注目し、その異質さに驚いていた。


「サラマンダー?それって滅多にお目にかかれないはずじゃないか?」


「そうなんだ。あいつらはその鱗を使った武器を普通に持っている」


 冒険者たちは互いに顔を見合わせ、不思議な気持ちでその話を続けた。


「もしかしたら、あの宿場町には何かがあるのかもしれないな」


 ある者がつぶやくと、周りの冒険者たちは頷いた。


「いずれにせよ、彼らの実力は本物だ。見ていても分かる」


 宿場町組の冒険者たちの戦いぶりは、その場にいた者たちに強い印象を残し、噂はますます広がっていった。


 戦闘が一段落した後、宿場町組は彼らのキャンプに戻り、スタッフ達による手厚いサポートを受けていた。


 治療スタッフは負傷者に手際よく包帯を巻き、ポーションを配り、傷の手当を行っていた。食事の配給もスムーズに行われ、疲れた冒険者たちは温かい食事にありつけた。


 一方で、他のグループの状況は全く異なっていた。


 彼らは戦闘の被害が大きく、負傷具合も深刻だった。治療が追いつかず、痛みをこらえながら自力で応急処置を施す者も多かった。


 騎士団側との関係も険悪だった。


 食事の配給をめぐって口論が起き、冒険者たちと騎士団員が互いに罵声を浴びせる場面も見られた。


「おい、俺たちの分の食事が足りないんだ!」


 ある冒険者が騎士団員に詰め寄った。


「こちらも数が限られているんだ。少しは我慢しろ」


 騎士団員が冷たく言い返す。


「ふざけるな!俺たちも戦っているんだぞ!」


「それでも優先されるのは騎士団だ。お前たちは後回しだ」


 冒険者と騎士団員の間での言い争いは、次第にエスカレートしていった。宿場町組の冒険者たちはその様子を遠巻きに見ながら、静かに食事を取り、傷を癒していた。


「こっちは手厚いサポートを受けられているから、余計に目立ちますわね」


 セリスは食事をしながらつぶやいた。彼女の視線は騎士団と他のグループの間での争いに向けられていた。


「でも、それが我々の優位性を示す証拠でもありますわ」


 セリスは自信を持って言った。彼らの手厚いサポートと統制の取れた行動は、他の冒険者たちとの違いを際立たせ、次第にその実力と共に噂として広がっていった。


「我々の手厚いサポートは、これからの交渉でも大きなアドバンテージになります」


 セリスは再び食事に戻り、次なる戦闘に備えて補給するのだった。


 宿場町組は戦闘が終わるとすぐに動き出した。


 倒したモンスターたちの持ち物や、ドレイクの牙や肉を手際よく剥ぎ取り始めた。彼らは効率的に動き、それぞれの役割を果たしていた。


 セリスはその様子を見ながら、他の冒険者たちとの違いを再確認していた。


 宿場町のギルドでは定期的に料理コンテストが行われており、そこで得たゲテモノ料理のノウハウが蓄積されていた。

 冒険者たちは失敗作も含めて数々の奇妙な料理を食べ慣れており、多少の不味さには耐性があった。


「ドレイクの肉、意外と悪くないかもしれない」


 一人の冒険者が笑いながら言った。


「ええ、少なくともこれまで食べた失敗作よりはましか」


 別の冒険者が同意する。


 彼らはドレイクの牙や肉を慎重に扱いながら、次の戦闘に備えてエネルギーを補給する準備を進めていた。食材として持ち帰るもの、今ここで調理して食べるもの、それぞれに分けて作業を進める。


 他の街から来た冒険者たちは、宿場町組の手厚いサポートを見て、自分たちも少しはその恩恵にあずかりたいと考えた。


 一人の冒険者が、ポーションを抱えた宿場町の職員に声をかけた。


「すまないが、ポーションを分けてもらえないか? 金なら払う」


 宿場町の職員は冷ややかな目で彼を見つめた。


「申し訳ありませんが、おたくらとは管理元が違うのでな」


「そんなこと言わずに頼むよ。怪我人が多くて困ってるんだ」


 別の冒険者も食事を持っている職員に頼み込んだ。


「食事も少し分けてくれないか? これじゃあ体力が持たないんだ」


 しかし、職員は首を振るばかりだった。


「申し訳ないが、私たちの物資は宿場町からの冒険者専用です。他の街からの方には提供できません」


「頼む、金は出すから」


 懇願する冒険者たちに対して、職員たちは毅然とした態度を崩さなかった。


「金の問題ではありません。ここでの規則に従っていただかないと、私たちも責任が取れません」


 冒険者たちは困惑し、落胆しながらも引き下がるしかなかった。彼らは宿場町組の厳しい管理体制に驚きと苛立ちを感じながら、自分たちのグループに戻っていった。


「くそ、あいつら何なんだ? 同じ冒険者だってのに」


「仕方ない。自分たちで何とかするしかない」


 他の街から来た冒険者たちは、宿場町組との違いを痛感しながら、自力で何とか戦闘の準備を整えなければならなかった。宿場町組はその優位性を保ちながら、次の戦闘に向けて着々と準備を進めていた。

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