“初めて”のオトコ達へ 冴ちゃんと黒楓からのお願い <期間限定公開>
このお話の樹くんは、先週投稿した『ちょいと引っ掛ける猫パンチ』 https://ncode.syosetu.com/n0701ij/
の樹くんと同一人物です。
まずはイラストです。
冴ちゃん
樹くん
この樹君は、自分のコンプレックス(どーてー)を解消するために“プロ”の女性の派遣を依頼します。
その“お仕事”を請け負った冴ちゃんは樹君との待ち合わせ場所へやってきます。
では、本編です!!
。。。。。。
店のクルマで送ってもらって私は待ち合わせの喫茶店に入った。
スマホを開け、店から転送された、客からのメッセージを読み直す。
『窓際の席でチェック柄のテーラードジャケット』か……
見回してみる。
はたして該当者は居たが……
何だよ、いい感じのイケ麺じゃん!
う~ん
まあ、そうなんだろう
「空いてる?」
とイケ麺の前の席に腰掛ける。
そんな私に
相手は驚きで目をしばたたかせる。
私は人を間違えたか? それとも驚かれるような恰好か?
私の恰好はデニムに5分袖のニット、手にジャケット持ちだが、それが何か?
なので……
少しきつめに言ってやった。
「人、間違えだったらすみません。私、デート詐欺なんです」
イケ麺くんは弾かれたように笑い
「ごめんなさい。あぁビックリした……あの、どうぞ」と改めて私に椅子を勧めた。
「私はビックリされるほど違和感あるナリか?」
「いえいえ… あの、なんて言うか…… オレのカノジョよりイケてるんで」
ヤバい。こいつ 残念なイケ麺くんだ。 さっさと断ろう!
「あぁ、そんなのどうでもいいからさ。悪い事言わない。私じゃなく別のコにしな」
「どうしてですか?」
「私がアンタを気に食わないから」
「笑ったこと、謝ります。だからそんな事、言わないでください。 オレ、あなたを気に入ってしまったから」
「あのね。そういう一方的なシステムじゃないのね。ウチは。女の子側も拒否権ってのが、あるの。でね、あなたは拒否られてんの」
「それは……傷つくなあ」
「そう? アンタみたいな残念なイケ麺は、少しは傷付いた方が世の為なの」
「世の為、ですか?」
「今だってカノジョ裏切って私達みたいのを呼んでんじゃん」
「それはですね……」と言い掛けたカレを私は制した。
「これ以上話を聞かされるなら座んなきゃ! まずなんか頼むわ。話はそのあと」
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今日は日差しが強い。
この席じゃエアコンが日差しに負けてしまっていて、私は思わず襟刳りに指を引っ掛けてパタパタしてしまう。
と、イケ麺くんの視線が胸元に…
「キミ、ガン見はやめようね」
って注意すると
慌てて目を伏せてやんの
微妙にからかいたくなるオーラだよね…
だからストローでクルクルかき回したくなって、アイスコーヒーを注文した。
「んで、どういう申し開きなわけ」
「ここ、お白洲ですか?」
「そうだよ、キミは人様の貴重な時間、いただいているんだからね」
「わかりました。よろしくお願いします」
「よしよし、言ってみな」
「オレ、中学は野球で丸坊主で、高校は男子校だったんですよ。だから女の子と付き合うというか、出会いっていうの…全然無くて。だって、オレ高校の学祭で女装してウェイトレスやったんですよ」
私は吹き出してしまった。で、笑いで肩を揺らせながら返してあげた
「それは……残念だったね。じゃあ今の…カノジョは初めて?」
「はい。 だからすごく嬉しいし、ドキドキする事もいっぱいあって…」
私はカレの言葉を手で制する。
「ちょっといい? じゃ、なんで私らが必要なの? リア充をふつーに楽しめばいいじゃん」
「それなんですよ。関係が深くなって、あの、キスとか」
『声上ずってるし…』と私は心の中でウケまくっていた。
人の恋バナってなかなかに面白いと知った。
「ガチガチだったんですけど…」
「まあ、歯がぶつからなきゃイイんじゃね」
「カノジョは…たぶん、いや、きっと経験者なんですよ。共学だったし…」
<― 悪かったな!私は女子高だったけど、その頃からウッてたよ ー>
「舌を、ですね。カノジョから入れてきたんですよ…」
「まあ、良かったじゃん」
「そうじゃなくって!!これって経験済みってことじゃないですか?」
「そんなのわかんないよ。お尻に“経験済み”ってハンコでも押してるわけじゃないんだから。だいたい男のくせにチマチマしたこと言うなよ!」
「そうは言いますけど…色々不安じゃないですか… 段取りとか…それに…」
「それにって何よ!」
「カノジョが他のオトコと経験済なのが悔しい!!」
私は頭をガリガリした。
全く、男ってヤツは!!
すぐこれだ!
「カノジョのすべてを欲しがるのは傲慢だよ。キミが使うお金について四の五の言いたくはないけれど…私らとのエッチなんかに使うんじゃなく、カノジョの為に使うのが男だろ!?」
イケ麺くんはコーヒーカップを前に黙り込んでしまった。
あ~あ、やっぱり今日、仕事出て来るんじゃなかった。
イヤな予感したんだよなあ
私はかなり深いため息をついた。
「表の黒のワンボックスカー見えるだろ?! あれ事務所の車。行ってキャンセル料払ってきな。そしたらその金額に見合う以上の食事を奢ってやるよ。キミたちが行かない様なお店でね」
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カレが支払いを済ませ戻って来たので、そこに座らせて改めて尋ねた。
「さっき悔しいって言ったが、それは…カノジョの元カレに対する、キミの嫉妬じゃないのか?」
「多分……そうです」
「なら、その嫉妬に打ち勝つ方法を二つ思い付いた。一つはキミのその可愛い顔を活用して複数の女とイイ思いをする。もう一つは元カレの数倍カノジョを大切にする。 キミはどっちを選ぶ?」
「オレは! カノジョを数倍大切にしたい!」
「私の前で別にカッコつける事はない。そもそもキミがエッチ目的で呼んだ私なんだから」
「それでも……やっぱり、カノジョを数倍大切にしたい!」
私はため息をついた。
要らぬおせっかいをしてしまう事になるのか……
「私は冴子と言うんだ。キミ、名前は?」
「いつきです。樹木の樹のひと文字です」
「いい名前だね。では樹、食事の前に窓の向こうに見える公園へ行くぞ」
私は樹を公園に連れ出して、まずカレの手の爪を切らせた。
思った通り大雑把だ。
仕方がないので深爪にならない程度に私がキレイに切り直して、細かくやすりをかけてあげた。
「カノジョを大切にするってことはね。こういう事をちゃんとすることなの」
樹が不思議そうにしているので仕方なく説明してやる。
「キミは女の子を触るんだよ。それともキミは目に入ったまつ毛をボロボロギザギザの爪で掻き取ったりするの?」
樹は意味が分かったようだ。
悟りの悪いヤツなら公園に捨て置くところだった。
「ところでキミはどんな財布を使っているの?」
樹はヒップのポケットからマジックテープ仕様の財布を出した。
なるほど…… ここからか……
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私は樹を待たせておいてスマホで開閉のできるコインロッカーから銀行の封筒とお泊り用のミニトートバッグを取り出し、代わりに今持っているカード類を放り込んだ。
私は自分を守るためにこの様なロッカーをいくつかの駅前に用意している。
さて、まずは財布を買おう。
すぐ使うからとタグを外してもらった財布に封筒の中身の札束を全部詰めて樹のところへ戻る。
そして、「樹! これを丸ごとあげるから今日の支払いはキミがするんだ」と財布を渡す。
「中身の詰まった長財布はヒップのポケットには入れるなよ。物騒だから」
私は、財布の中身に驚いている樹の腕に手を回した。
「まずは、ショッピングしよう!」
デパートの1階。
「こちらにはSPORTタイプもあります」と店員が試香紙を手渡してくれる。
うん、初めて試したけど、これもいい
「樹はどっちがいい?」
カレは少し悩んでSPORTを選んだ。
さっそくシルバー色の箱を開け、くすぐったそうにしているカレの髪とうなじにオードゥ トワレットをプッシュしてやる。
身なりも整えたし、仕上げとしてはこの香りは上々だ。
「キミはお酒は大丈夫か?」
「コンパで“飲んで飲んで”しても大丈夫です」
「あぁ、聞くんじゃなかった。そんなバカげた飲み方はしないよ。私のお気に入りの広東料理店がある。 そこへ行こう。老酒も美味しいし」
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アールシュ君が私達の前に料理を運んできた。
相変わらずの美少年で優雅な所作だ。
「カレはね。インドからの留学生でバイトくんなの。クシャトリヤ…向うじゃカーストの上位らしいんだけど、日本のアニメに躓いて留学までしてしまったの。自分がアニメから抜け出たような容姿なのにね」
「カレとお知り合いなんですか?」
「違うよ。鑑賞対象。キミと同い年くらいかな」
「確かに……オーラ凄いです」
「地球の広さがわかるだろ?」と私は老酒のグラスを傾けた。
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さて、現在位置は……ラブホのエントランス。パネルの前だ。
私は手にお気に入りの店のケーキの箱。樹にはシャンパンの箱を持たせている。
「……色んな部屋、あるんですね…」
「うん、ここは割と制覇したけど、どの部屋もいいよ。もちろん仕事利用だけどね」
このきょどっている様子からして、樹は確かに“初めて”らしい……
「あ、この天蓋ベッドの部屋。シアタールームの音響が良かったな」
「そこにしましょう!」と樹はパネルの下のボタンを押した。
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「ホントは女の子を先に入れた方がいいんだゾ」と言いつつも樹をバスルームに追いやった。
この手の男の子は、どうせ『クサいし汚いし』なのだ。
バスルームからシャワーの音がするのを見計らって
パパッと服を脱ぎ、下着姿でバスルームに乗り込むと
樹がギクッ!とのけぞった。
「ホラッ! やっぱりちゃんと洗ってない!」
ブローバスに足を入れようとしていた樹を引き剥がしてシャワーまで連れ戻す。
そこから先は“腕白坊主のお母さん”状態だ。
逃げ惑う樹に覆いかぶさってゴシゴシ!!
お尻だってなんだって、それはもう懇切丁寧に!
“前”も反応したのをいい事に裏から表からきれいにしてやりましたよ!!
さてその後、私もシャワーを浴びてバスルームを出て来ると、パウダールーム辺りで樹が所在無さげに待っていたので私はちょっと思い付いた。
「ね! せっかくの天蓋ベッドだから、私をお姫様だっこで連れてって」とカレの首に手を回した。
よく考えたら、お姫様だっこは私も初体験だ
なかなかに良い
樹は私をそっと降ろしはしたが、そのまま覆いかぶさろうとするので、身を起こして手で押し戻した。
「がっつかないの」
逆に私が樹を押し倒してからカレのバスローブをはだけさせた。
カレの乳首にそっとキスして愛撫する。
樹が反応して声をあげたので、耳元で
「オトコの子も感じるって分かった?」と囁きカレの体中を愛撫した。
カレ、潤んで子犬のような目をするので
それが可愛くて深いキスをあげた。
「キス、甘いでしょ」
「はい、果物の香り?」
「フルーツマウスウォッシュを使っているの。色々使っていたのだけど、今、キミが味わっているのが一番のお気にり」
「おいしいです」と樹がキスを奪いに来たので
「樹、優しくね」と手で頬を包んで受け止める。
それから…
私はバスローブを脱いだ。
「部屋、明るくしてあげてるんだから、色々見て、しっかり覚えるんだよ。女の子なら、まあだいたいは同じだから……」
まず、カレの手を取って胸に置いてあげる。
「最初はふんわり優しく……ぎゅっと力入れちゃダメ。噛んだりも…… ん、…… あとは、その人…あ、んん…… 次第だけど……」
なるだけ柔らかくやらせた……
私の息遣いも少し甘くなって、熱くなってきたので…カレの手を導いてあげる。
「わかる?キミに反応しているんだよ。でもまだまだ、手荒い触り方はしないで…」
それから更に
長い愛撫の応酬の後、私は自前で持ってきたモノをバッグから取り出した。
「ラブホにも置いてあるんだけど……必ず用意してね。結果的にはカノジョの為だから。ちなみに私はこの商品が…行為の後、一番楽かな… さっ!自分で付けてみよう!」
オトコの子がちょっと首を傾げながらモノを付けてる様なんて…そういえばしげしげ見たことないなあ~。この仕事、山ほどやってるのに…
そうやって事に至って……
迎え入れたカレは先に果てたのだけど…私はカレの背中に両手を回してしっかりくっついてあげた。
「まだ……このままで中に居て、小さくなっても……」
私の中が動いた
「ほら、ね… 女と男って リズムが違うから…… ずーっとずーっと カノジョに蹴っ飛ばされるまで、くっついてあげな」
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結局、カレの腕の中で、裸のまま寝てあげた。
目が覚めると樹はまた子犬の目をして、私の髪をいじっている。
「髪触るの、悪くはないけど…… ちゃんと手をキレイにしてから。
じゃないとカノジョに叱られるよ」
樹は…ますます切なそうな目をする。
「したいの?」
カレ、頷く
「私と?」
カレ、頷く
「ちょっと待って」
私はお着換えで用意したものではなく、昨日洗ってバスルームに引っ掛けて干していた方の下着をわざわざ身に着けた。
「汚しても、ダメにしても全然かまわないから… 脱がせる練習からしなさい」
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別れる前に、カレがアドレスを聞いてきたので交換してあげた。
「でもね、キミとはもうお金をはさまなきゃ 寝ないよ。キミはカノジョと仲良くするのだから…… でも、オトコの子の本能でどうにもならなくなった時は、私たちを呼びなさい。
そのために私たちは仕事するのだから……」
樹はまた子犬の目だ。
その目に……
私はつい、甘い事を言ってしまう。
「でもまあ、何かの相談とかでのメールはOKだよ」
果たしてそれからしばらくして、樹からHELPメールが入った。
……カノジョの誕生日にどうにかしたいって?……
考え考えながら……
樹にアドバイスを返信している私……
まったくもって過保護だわ!
おしまい
夏休み期間の予約投稿として旧作をUPいたしました。
世の男の子達!!
女の子には優しくね!!
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