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学校の八不思議
それからしばらくして、汐の家に一枚の絵画が届いた。美術教師からだった。
汐、蠍、雨が描かれた、のほほんとしたタッチの絵だ。蠍だけなんだか禍々しい気もするが。
あの女性の絵の美しさには敵わないが、まぁ、モデルが違うから仕方ない。だが、
「ウチは結構好きかも」
綺麗なもの、幸せなことって、多分そんな感じなのだ。汐にとって雨が可愛くて、蠍が格好良いように。
あれから、あの教師の評判は変わってきている。
高飛車で嫌みな態度は変わらない。けれど、ほんの少し、言葉にトゲがなくなってきた、と。
「よかったよかった」
しかし、汐には少し気になることがあった。
それは最近、放課後の美術室でのこと。
「目を血走らせたあの先生が、まるで恐怖を振り払うように、赤い髪の男の人の絵ばっかり描いてるらしいんだよね
蠍さん、なんか知ってる?」
『見当もつかねぇな』