6:やっと戻ったけど・・・
この回は難産でした。
何度も書き直しましたが、中には不快に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
不快に思われた方がいらっしゃいましたら、そっとペ-ジを閉じていただければと思います。
すみません・・・orz
手の平に置かれた小さな蝙蝠みたいな翼を見て
最初はそれが何なのか、何を意味するのか解らなかった。解りたくなかった。
「コレ・・・」
その後の言葉が出てこなかった。
だって足元にゲイザーくんは居るよね?随分と小さくなってるけどさ。
でも・・・目の前に美麗な女神さまが居るって事はさ・・・
その女神さまがこの翼を渡してくれたって事はさ・・・
そうゆう事なんだよね?・・・
なんで?誰も教えてくれなかったんだよ・・・
解ってるよ、ゲイザーくんが口止めしたんだよね?
水臭いなぁ・・・ つれないなぁ・・・ ゲイザーくん・・・
こんな事なら従魔契約でもしときゃよかったよ・・・
従魔契約?・・・・
あぁそうか・・・ サモナーだったらゲイザーくんを召喚できるかも?
サモンなら魂でも召喚可能だしね、ゲームでなら・・・。
そこはスットコ神と交渉だな・・・。負けんけど!
よし、そうと決めたら泣いてる暇はないね!
「えーっと・・・女神さま?」
『はい・・・』
「事の経緯は先程お話した通りです。」
『はい、愚弟は本当にご迷惑をお掛けしまして・・・』
「あぁいや・・・その女神様に謝って頂く必要はないんです。
あのスッ・・・ゴホン。
ドj・・・ゲフンゲフンッ。
弟神に直接文句はいいますから。
その他諸々の交渉も直接しますから。
ただ 一つお願いがあるのですが・・・。」
『なんでしょうか? 私の権限で可能な事でしたら。』
「では・・・ ハリセン下さい!!」
「「「「はい?!」」」」
女神さまは綺麗に整った眉毛をへの字に下げてこう言った。
『 ごめんなさいねグレン。 ハリセンは無いの。
でもね、鉄扇なら在るわ。 』ニッコリ
Good! お茶目だこの女神様。
デュラハンさんもアリアンサンもリーパーさんも苦笑してた。
『ではグレン そろそろ戻りましょうか。』
そっか、もぅ戻るのか。皆と別れるとか嫌だな・・・
「女神様 私が本来スッ・・・、弟神に召喚され具現するのはこの世界ですか?」
『そうですね数百年後となりますが この世界です。』
「ではデュラハンさんやアリアンさん達はその時まだ存在していますか?」
『・・・私の権限で、およばないのであれば父上に承認していただき存在可能としましょう。』
「ではついでに、デュラハンさんを私の守護者として契約出来るようお父上に頼んでいただけませんか?
直接交渉自体は弟神にしますが・・・。
無理なお願いかもしれません、それでも・・・
私は今回の縁を無にしたくないんです。」
あのスットコ神だと不安だからとはさすがに言えなかった(苦笑)
『・・・承知しました・・・。』
「デュラハンさん 勝手に決めてすみません。
でも・・・私の守護者となっていただけませんか?」
思い切り我儘でチートなのかもしれないけど、このまま疎遠になりたくはない。
折角の出会いだし、短い期間だけど一緒に過ごした仲間であり友人であり恩人でもあるから。
『守護者・・・だが我は・・・闇の領域の存在ぞ?』
デュラハンは葛藤してるみたいだった。そりゃそうか。
ゲームでは 中ボスだったりエリアボスだったりする魔物だしね。
闇属性だから守護者って言われても困るよね・・・(苦笑)
あのスットコ神だって 無理難題とばかりに悩むかもしれんけど
悩むがいい! 悩んで悩んで禿げてしまえ! フンッ
こちとら テーカップごとお茶被るし
トレーアタックされるし
ヘッドスライディング喰らうし
アンデッドか茸みたいにモコモコ ウニョウニョ生えさせられるし
全裸だったし・・・そう全裸・・・・これは無かった事にしたい・・・(シロメ)
『グレン・・・』
ヤバッ 顔に出てた?・・・ハハハ・・・
「どうかな?デュラハンさん」
『守護者・・・か・・・。
我にいかほどの力が有るのかは判らぬが、よかろう。
グレンの守護者 全力で務めよう。』
きっと鎧の下でデュラハンさんは微笑んでくれてる。
声が柔らかかった。
『グレンそろそろ・・・私がこの場に長居すると影響を与えかねませんので。』
名残惜しいけど キリが無い。影響を与えてしまうのも事実だ。
「女神様お待たせしてすみません。戻りますか!」
しばらく会えないから 皆の姿見とかなきゃ・・・
やっぱ見えんな・・・ 眼鏡無いからな・・・仕方ないね・・・
「またね。 皆 ありがとね!」
女神さまが優しく抱きしめてくれる。
暖かい光に身が包まれる。
皆がどんな顔で見送ってくれたのかは やっぱり見えんかった・・・。
「行ってしまったな・・・」
『そうですね、行ってしまわれましたね。』
「グレンが再びこの世界に戻ってくるまで 寂しくなるな・・・」
『さようでございますね。
しかしながら案外寂しく思う暇はないかもしれませんよ?』
「何故だ、アリアン」
『守護者なる物がどういった物なのか調べて勉強いたしませんと・・・』
「守護者・・・そうだな。どういった物なのかエルフにでも聞いてみるか。
果たして我に出来るのであろうか?・・・」
『グレン様のご希望に添えるよう頑張ってくださいませ。
私もお役に立てるよう頑張る所存にございます。』
遥か彼方の空を見上げながら そっと握りしめた拳に力を込める二人であった。
バコーンッ
鈍く重たい音が響き渡った。
『あ・・・姉上。何を・・・』
『何をではありません!貴方はこの者に何をしたか解っているのですか?』
『この者?・・・え?・・・誰?・・・』
ピキッ
((((あ・・・姐さん切れた))))
『遠慮は要りません。グレン 気の済むまで思い切りどうぞ。』ニッコリ
「では遠慮なく・・・」ニコニコ
『え? グレン? あーあのお茶被った・・・』
バコンッ バシバシッ!
「最初に謝っておきますねー。暴言失礼しまっす!」
ん?ちょっと躓いただけ? ちょっと手が滑っただけ?ふぅーん・・・
じゃぁ・・・儂も・・・
おぉっと、手が滑ったぁー バコンッ!
おっとっと 足が滑ったぁー ゲシッ!
何故すぐに対処しなかった
何故ゲイザーが消えなければならなかった
すぐに対処していればゲイザーは消えていなかったハズだ
あんたら神にすりゃゲイザーは魂の無い単なる闇の存在だったかもしれん
だけど儂にとっては 魂も感情も心もある1つの命だったんだよゲイザーは!
取るに足りない存在?んなもんあってたまるか!
じゃぁ儂らも取るに足らん存在か?なんでわざわざ召喚したよ?
あ"? 救世主? 誰が? 何処の? 誰の為の?
知らんがな
儂らの居た世界は? 儂らの家族は? 儂らの世界は?
は? 儂らは元々存在してなかった事になってる?
ふざけんなよ!なんだそりゃ好き勝手しやがって・・・
一言喋るごとに殴って蹴った。
なんで儂らこんな事に巻き込まれてるんだよ・・・
手が痛い
足も痛い
息があがる
だが 心が一番痛い 気がする・・・
ちくしょう・・・・
もう自分の感情が暴風みたいに乱れて どうにもならなくなって泣き崩れるしかなかった。
CICA「姐さん、姐さん落ち着こう! 手 血出てるよ」
KAZURA「姐さん、取り敢えずお帰り。俺らも焦ったんですよ。」
ボブ「姐さん・・・僕もね。話を聞いた時は殴ったから。」
イザ「グレン・・・」
もぉね、皆で団子になって泣いた。柄にも無く・・・。
『愚弟よ・・・其方これで何度目ですか・・・』
え? 何度目? そんなに? 2回じゃないの?・・・
それなのに放置? このスットコ神を?・・・
無いわー・・・マジ無いわー・・・
『父上と母上にもすでに報告はしてあります。』
『あ・・・姉う・・・』
言い終わる前に スットコ神は髪をムンズと掴まれて何処かへ消えて行った。
代わりに現れたのは 立派な髭を蓄えた男神だった。
『愚息が大変申し訳なかった・・・』
あぁー父神様ですか・・・
て事はスットコ神を引きずって行ったのは母神様か・・・。
「いえ、こちらこそ取り乱し暴言の数々ご無礼いたしました・・・。」
きっと全部聞こえてた・・・よな・・・
うわぁ・・・無かった事にしたい。巻き戻しとかリログとかって無いかな?
『さて今回の件なのだが』
これ以上は聞きたくないかな・・・どうせ元通りにはならんのだし。
そもそもあのスットコ神が呑気にお茶とか入れずにサクッと説明して送り出してれば良かっただけなんじゃね? って今更か・・・
「すみません、これ以上は聞かなくていいです。元の世界で元通りになるならだましも。」
『すまぬな・・・それは無理だ・・・』
ですよねー・・・
「でしたら 今後についての説明をお願いしたいです。」
気持ち切り替えんとね、納得出来んけど。
父神様の話によれば
人々の欲が膨大に膨れ上がり 深淵の浸食が進み 魔族(スルーアやバンシー、フィジアル)が溢れ出した為それを討伐して欲しいのだそうだ。
この世界の住民たちは本来温厚で平和的な為 戦闘力も低く自力での討伐が追いつかないらしい。
なんで儂らに白羽の矢が立ったよ・・・
もっと別の異世界の勇者とか聖女とか救世主で良かったじゃんか・・・
スットコ神が通りかかった時に見た儂らのゲームしてる姿が
楽しそうで強かったから?
は? そりゃゲーム画面の中だろうが・・・リアルはただのおっさんとおばはんの集団だよ・・・
スットコ神は最初の一歩からスットコドッコイだったて事か・・・
ハァ 疲れる・・・
皆頭を抱えてた。勿論父神様も姉である女神様も・・・
結局転生するのは決定事項なんだよね?
んじゃこっからは交渉といきましょうかね。
1つ ゲームのキャラメイクの様に細かい設定はともかくとして種族とクラス(職)は選ばせてほしい
出来れば髪の色と目の色くらいは選びたい
1つ クラスは2つ メインクラスとサブクラスを選択したい
1つ 一人に付き一人 守護者を付けて欲しい
1つ この世界の一般常識とか物価とか生活に必要な知識と言語は予め頭に入れておいて欲しい
1つ あのスットコ神はこの世界は勿論 どの世界であろうと関わらせないで欲しい、これは絶対譲れない!
このくらいかな、これでも十分なチートだと思うし。
『よかろう、その条件はすべて叶えよう。』
え?いいの?マジか。 やったー!
『オマケと言うか詫びとして 収納鞄(許容量∞)と鑑定スキルも付けよう』
おぉ、それはありがたい。
そうとなれば どのクラスを選ぶか早速相談だ!
CICA 「久々に切れた姐さん見たよねぇ。」
ボブ 「ここ数年無かったもんね。」
KAZURA「俺たまに・・・見た。」
イザ 「俺なんか頻繁に見てるよ、リアルで・・・」
父神 「私も久々に妻の切れた姿を見たな・・・。
帰りたくないなぁ・・・。」(トオイメ)
・・・ 南無・・・・(;´Д`)