47.ネタ用意
持ち込んだ食材の中で重要なのは米、調合酢、醤油――そして魚介類だ。
魚介類はジウスのツテで商人から仕入れ、さらに氷の魔法具等で運搬されている。何度も利用し、鮮度も問題がないのを確かめている。
「マグロ、ホタテはいいとして……やはりサーモンは少し品質がよくないですね」
「そうなのですか?」
米を水洗いしているシェナが首を傾げる。
「チェックしたときは脂があって、おいしそうでしたが……」
「むしろ脂がありすぎます。これだと醤油をかなり塗るか、酢を濃くしないとバランスがとれません」
「なるほど……! それは盲点でした」
「焼けばおいしく食べれそうではありますが、生魚の料理でなければ評価に響きます。ふぅむ……」
フィリアが持ち込んだ昆布を手に取る。この昆布は上質で、素晴らしい出汁が取れるだろう。
「サーモンの寿司を減らし、代わりに切り身をスープに使いましょう。昆布とサーモンをメインにしたスープです」
「わかりました、ではお湯を用意いたします」
「ええ、お願いね」
シェナに昆布を渡し、出汁を取ってもらう。その間、フィリアはマグロの切り身をまな板に載せ、ゆっくりと捌いていく。
今日のマグロは非の打ち所がない。鮮度も身の細かさも脂の量も最適だ。
「赤身は厚めに、脂身は薄め……」
ギラス王子は大食漢ではないという。ならば脂身はそこまで必要ないだろう。
フィリアは包丁を走らせ、手際よくマグロを切り分ける。ここまでは十分練習してきた作業だ。問題はない。
「ホタテ、ツブ貝、イカ……どれも大丈夫ね」
ツブ貝は東方の料理本にはないネタだ。だが試したところ、大丈夫そうなので持ち込むことに決めた。ツブ貝の身は柔らかく、淡白だがそれゆえ醤油や昆布出汁によく合う。
フィリアは集中しながらネタを揃えていく。途中、昆布出汁に切り身や調味料を投入しながらネタに専念する。
「……ここまでは順調ね」
一段落したところでフィリアは息を吐いた。いつの間にか一時間以上、作業をしていたことになる。
「先生は大丈夫かしら……」
フィリアはぽつりと呟いた。ジウスは今、ギラスの饗応役として迎賓館の大広間にいる。もちろんもう片方の陣営である、スレイン大公もその場にいるはずであった。
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