烏天狗への対策会議と交易
「陛下、次は烏天狗でございますな。」
「えぇ、そうね。どんな魔物なのかは何となく検討がつくわ。」
「お考えを聞かせていただいてもよろしいでしょうか。」
「扇とか言うのを持った下駄を履いた鼻の長いやつよ。多分風を操るんだと思うわ。」
「なるほど…風さえ無効化出来れば倒すのは容易、ということですな。」
さて、次に向かう山はどこだったか。
オオタケ山だったわ。
「早速シスイのところに行くわよ。」
「御意に。」
2人はシスイの部屋へと向かう。
「おお、そうか。了解した。それとだ、イリア殿。」
「何かしら。」
「囚人のことなのだがな、あと3日ほど待ってもらいたい。各地から囚人が移送されてくる日があるのだ。」
「なるほどね…分かったわ。」
「それで、オオタケ山のことについてなのだが、あそこには封印が施してあるのだ。正式な手順を踏まねば解除できん。」
「そんな封印があったのね。何も感じなかったから分からなかったわ…。」
「封印にそんな気配を漂わせるのは宜しくないのでな。」
「これは烏天狗が封印されてる訳では無いのよね?」
「そうだ。烏天狗が居る山を封印しているのだ。あそこには怨霊が湧くのでな。封印を施さねば怨霊が人里に降りてくる。200年ほど前、怨霊が山から降りてきて数千人単位で人が死亡した。それを見兼ねた当時の封印士達が数十人単位で施したのが今も続く結界だ。どうして怨霊が湧き続けるのかはわからん。1度、【神聖魔法】を山一帯に掛けてもらった事はあるが効果は無かったようだ。」
「マヤ山みたいに大破壊起こしてダンジョンコアを破壊すれば止まるかもしれないわね。」
「それも可能性はある。ダンジョンコアが引き起こしている事象であるなら破壊すれば止まる。だが、ヤマトの国からダンジョンが無くなると外界からの攻撃を防ぐ手立てが無くなる。」
「その時は私の配下をここに派遣すれば問題ないと思うわ。最近魔神の数がどんどん増えているのよね。」
「しかし、それは良からぬ憶測を産むことにもなりかねん。例えば、『魔神で国を守ってやってるのだから見返りを求める。』などが簡単に言った場合だ。」
「まぁ、それに関しては私は多くは望まないわ。強いて言うなら食糧かしら。おもに罪人を補給してくれるなら何も問題ないわ。それにここの温泉の知識を我が国にも教えてもらいたいのよね。代わりにヤマトの国の軍事力の底上げ、娯楽の提供をするわ。娯楽は沢山あるでしょうけれど、私がそこに2、3個ほど追加してあげる。」
「まぁ、それならば釣り合いが取れよう。それは他の三当主にも伝えておこう。では、封印の場所に行くぞ。ついてこい。」
そうしてイリア達はシスイのもとについて行くことになった。
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俺の名はエスカルーダ様だ。
【天空機関】の2番隊隊長だ。
ルシフェル様のもとで長年尽くしてきたせいか、最近体が鈍ってんじゃねぇかと思ったんだ。
だから、【特異点】の存在を聞いた時から、そいつをぶっ殺してやりてぇと思っていた。もしそいつが女なら愉しむのもアリだろう。調子に乗ったやつをぶちのめすのは最高だ。
どうやら下界のヤマトの国っつぅところに居るみたいだからな。特攻掛けてやるよ。ウェヌスの野郎に止められかけたが関係ねぇ。お前らだって手柄が欲しいだけだろ。
結局あいつらは俺より弱ぇ。肉弾戦が出来ねぇやつは雑魚だ。
そんで俺はヤマトの国上空に着いたわけよ。なんかダンジョンコアが1つ粉々に砕け散っているのが遠目に見ても分かる。山の損壊具合から、恐らく【特異点】が何かやったんだろ。
やつが完全に油断してるタイミングを狙うのもありだがそれだと俺の意義に反するな。
どうやら【特異点】はダンジョンボス三体を倒そうとしてるとみた。2体目を倒し終えた際に仕掛けるか。
下手に3体目を倒した後だとめんどい。それに最後に相手しようとしてるのが九尾だ。ならば、烏天狗とかいう雑魚を倒し終わって増長してるところを狙うか。
今は機を見る時間だな。




