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八岐大蛇の討伐

イリア、イェムラ、ヤマトの3人は八岐大蛇の住まうマヤ山の麓に到着した。


「ここが、八岐大蛇の鎮座するマヤ山でござる。八岐大蛇の簡単な説明とすれば八本の首を有し、8つの属性の魔法を行使するのでござる。【火】【水】【風】【土】【雷】【氷】【光】【闇】をそれぞれ使いこなしているでござる。そこまでは分かっておるのでござるが…。過去にどのようにして倒されたかは分かってないでござるよ。」


「説明感謝するわ。それで、1つ疑問に思ったのだけれど、なんで過去に倒されても復活しているのかしら。」


「それはそれぞれの山がダンジョンとして機能しているからでござる。開かれたダンジョンと言った方が早いでござるな。」


「つまり、人里に被害が出ているということは、八岐大蛇はダンジョンを出ようと思えば出られるということでありますか?」


「そうでござるよ、イェムラ殿。」


「であれば我は八岐大蛇、烏天狗、九尾それぞれのダンジョンの機能停止を提案する。」


「それはどうしてでござるか?」


「簡単な事だ。八岐大蛇がダンジョンの外に出れるような状況だ。街に被害が出るのだろう。1度倒しても永き時ののちに復活するのだろう。ならばダンジョンとしての機能を停止させれば復活するということは無くなるはずだ。」


「なるほどね、一理あるわね。でもダンジョンの機能停止なんてやり方知らないわ。」


「某も知らぬでござる。」


「ダンジョンにはダンジョンコアが存在するのです。それを破壊するとダンジョンとしての機能を喪失するのです。」


「イェムラ、いつその知識を知ったのかしら。」


「はるか昔のことでございます。」


「そうなのね。ならここのダンジョンコアも山の頂上とかにあるのかしら。」


「そうかもしれないでござるな。」


「なら私が今から突撃するわ。」


「周りへの衝撃はどうするでござるか。」


「イェムラ、あなたなら行けるわよね?」


「御意に。」


イリアは翼を広げ飛び立つと、八岐大蛇を探す。山はかなり広く木もかなり高く山の中の視界は悪い。なるべく被害は抑えておきたい。


イリアは血液を鎌の形に変えると、右手でそれを握る。


「さっさと姿を現しなさい。じゃないとあなたの住まう森を消すわよ。」


なるべく相手を挑発するように言い放つ。森を消すというのはハッタリではあるが、こう言えば出てくるのではないかという希望的観測だ。


しかし、相手は身を隠しているか、眠っているかのように出てこない。生命がダンジョン内にいるか探ってみるが、山の麓にいるヤマトとイェムラ以外、見つからない。


「なら、一つだけ使おうかしら。【破滅の権能】」


すると、山の一定範囲を囲む赤い枠が形成される。山の頂上を中心に半径200m程だ。


イリアが指を鳴らすと、その範囲にあった木々が消失する。


すると、身を潜めていたであろう八岐大蛇の姿が見えた。


「大きいわね…。」


イリアが生まれてから今まで戦ってきた龍の中でいちばん大きいと感じた。


八岐大蛇はイリアの存在に気づいたのか、8つの首をイリアの方に向け、それぞれの属性の魔法を放つ。ブレスを吐くようにだ。


なるべくイリアは後ろに被害を出さないため、山全体に血液の結界を張る。防音付きだ。


イリアは縦横無尽に動き回り、8つの首の同士討ちを狙う。どれかの首のブレスがどれかに当たった時にどうなるか確認したいからだ。






しかし、八岐大蛇は別の首にあたる直前にブレスを止め、首を抜けてからまたブレスを放ってきた。


「器用な龍だ事。」


すると、矢が8発、八岐大蛇のそれぞれの首の目に突き刺さる。


八岐大蛇は全ての首が失明した事と大量に出血した事で奇声を発する。


イリアはその隙を逃さない。【生死の権能】を使い、八岐大蛇の胴体の下の地面を削り取る。


八岐大蛇は突如として消えた足場に驚くも、対応が間に合わず地面に埋もれてしまった。


「これで終わり。」


イリアは胴体に向かって上からかかと落としを決める。


すると、結界内部全体が未曾有の大地震のように揺れ、大地が粉々に破壊される。山だったはずの場所は瓦礫と化している。その中で唯一ダンジョンコアは何かに守られている。だが、そのバリアも削れておりコアが露出する寸前であった。


そこでヤマトが動く。


「ダンジョンコアは某に任せるでござる。」


ヤマトは腰に携えていた刀に手を掛けると、一瞬、空間がブレる。


光の斬撃のようにも見える攻撃によりバリアと、そしてダンジョンコアも見事斬られる。


すると、辺り一面にあった魔力的反応が消え、ただの山のように戻った。


結界を解くと、城下町からはマヤ山が瓦礫に変わっている姿が目撃されたのだ。


『帝位龍血鬼への進化条件が整いました。進化を開始します。』


イリアは繭に包まれる。


「む?何事でござるか?」


「あれは…。恐らくイリア様は進化をされております。以前お聞きした話では八岐大蛇、烏天狗、九尾のどれかを倒せば進化条件を満たす。とのことです。」


「そうでござったか。それなら安心でござるな。」


そして、少し経ち、繭が取れていく。


そこに現れたのは前回より少しだけ胸の成長し、身長が175cmほどに伸びたイリアが出てきた。



名前:イリア・フィーリアス

種族:破滅神(帝位龍血鬼)

レベル :1

権能:【破滅の権能】【概念の権能】【生死の権能】

大罪:暴食、強欲、憤怒

称号:破滅へと導く者、理を操る者、美を超越する者、魔神を支配する者


『進化に成功しました。』


『各権能の使用範囲が拡大しました。』


『魔神を直接産み出すことが出来るようになりました。進化条件を満たしていない魔物を魔神に進化できるようになりました。』


(わーお、権能の範囲を広げつつ、魔神をどんどん増やせるようになるのね!これはさすがだわ。)


そしてイリアの1番の変化として今まで両目とも赤眼だったものが、左目が銀色の目に変わった。


特に効果は今のところ判明していないがなんか良さそうだ。


「終わったわ。進化。」


「左目の色が変わって身長が伸びたでござるな。」


「確か、帝位までが人類の見方として成長できる限界ですよね。」


「えぇ、そうね。真祖になるには無垢な人を10万人?だったかしら。虐殺しないとダメなのよね。あとは眷属も作らないとダメだし。」


「それは…確かに進化しかねるでござるな。」


「人類の味方でいるならここで進化は止めておいた方がいいわけだし。」


「悩みどころですな。」


「ところででござるが、イリア殿。」


「何かしら。」


「今まで眷属を作った事がないのでござるか?」


「そ、そうなのよね…。だから作り方とか分からないわ…。」


「それは地道に調べるしかないでござるよ。」


「ねぇヤマト。」


「なんでござるか?」


「この国に罪人って居るかしら。」


「罪人はどの国にも居ると思うでござるが…。」


「それって殺しても大丈夫な人ばかりかしら。」


「殺しはダメな人も居るでござるが大半は良いでござるよ。しかし、どうしてそんな事を聞くでござるか?」


「食糧が底を尽きかけてるのよね…。人肉って美味しいから…。今までは狩ってきた盗賊で誤魔化してたけど、そろそろ無くなりそうなのよね。」


ヤマトは少し身を引いた。


「それなら明日は中央独房に向かうでござるよ。あそこにはヤマトの国全土から罪人が集まっているでござる。その中で殺してもいい罪人を見繕うのもありでござるが…。」


「そうなの!?ありがとう!感謝するわ!」


イリア達は八岐大蛇の討伐を終えてシスイの館に戻る。明日に備えて部屋に戻る。そして就寝した。



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■





「少し報告したい事があるのでござる。」


「なんだ。」


「八岐大蛇の討伐及びダンジョンコアの破壊に成功したでござる。今後、八岐大蛇の復活は無くなったでござる。」


「ほう。それで?」


「イリア殿が帝位へと進化を遂げたでござる。」


「それは良かったではないか。まだ何かあるのか?」


「むしろここからが本番でござる。」


「俺とお前の仲だ。話してみよ。」


「イリア殿の食事に関する事でござるが、どうやら人肉を食べているらしいでござる。今までは盗賊などの悪に堕ちた者を食べていたらしいでござるが、それが無くなってきたらしいのでござる。だから、明日の朝、中央独房に連れていくつもりでござるが、殺していい罪人をまとめてもらうことは可能でござるか?」


「とんでもないことを言い出すな。まずイリア殿の食事に関してだが、まぁそれは吸血鬼だから血が好きなのは分かる。だが人肉まで食べる必要は無いとは思うが、それは好みなのだろうな。それと中央独房だがもう少し待ってもらいたい。3日後に新たな罪人が中央独房に収監されるのでな、その方がより多く確保できるだろう。だからイリア殿にもそう伝えておいてくれるか?待っている間はこちらも食事を提供する。それに烏天狗と九尾も倒すのだろう?その後でもいいとは思うが。」


「了解したでござる。では失礼したでござるよ。」


シスイは1人、考える。


(イリア殿は今や帝位へと進化を遂げた凶獣の中でも上位に来る魔物だ。食事に気をつけなくては、ふとした拍子に暴れられては不味い。3歳にして帝位に到達するなど前代未聞ではあるな。いわゆる【特異点】なのだろうな。【天空機関アストラーダ】に目をつけられればヤマト全土にも被害があるからな。少なくとも九尾を倒すまでは隠し通さねばなるまいな。)







□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□





「そうか…。【特異点】への対処は一時保留とする。」


「どうしてだ!【特異点】の始末は今後の星の安寧を考えれば不可欠なこと!何故それを保留にする!」


「そんなもの考えればわかることでしょー?【特異点】は力をつけ過ぎた。私達の手に負える存在ではなくなったのよー?ルシフェル様の指示を仰ぐ事が最優先よー?」


「そんな事など待ってられん!俺は行くぞ!」


一人の男は下界へと降りていく。


「行ってしまったな。」


「まぁ痛い目を見れば自ずと分かってくれるでしょー?」


「痛い目を見るだけで済めばよいがな?」


「その時はルシフェル様が判断するであろう。」


「そうねー。」






ルシフェルは天界に住む悪魔の魔王です。

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