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TS転生した吸血鬼が色んな血を取り込み平和に暮らしたい冒険譚  作者: 月姫ステラ
4章 転移者と転生者
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大枢機卿護衛任務5日目 前編

久しぶりです。書く意欲が復活しました!長らくお待たせしました。

ガーネシアをメルームのダンジョンに送り届けた後、イリアはテュータレスの所に向かう。


「なんだ?あぁイリア殿か。」


「護衛任務があと2日もあるわけだし、しっかり努めないといけないからね。」


「今は新体制となった事で書類作業が多い。それに明日には聖女様が我が国に訪問されるのでな。それの準備もある。ジグルドの崇拝していたあの御方とやらのちょっかいが起きないとも限らんからな。」


「私が居れば問題ないわ。ところでその聖女って誰なのかしら。」


「聖国ヒストリアにおける教皇シリウス・ハーゲンの愛娘にして、人間種において唯一転移魔法をLvMaxまで行使できるマシェラ・ハーゲン殿だ。歴代最高の聖女とも言われておるな。」


「へぇ〜。聖女の血は飲んだ事ないわね…。」


「聖女にちょっかいを掛けんでくれたまえ。ワシに飛び火してしまうだろう。」


「そうだったわ。ついつい。」


(転移魔法を完全に使いこなせる人間が居るなんて…。やっぱり世界は広いわ…。)


「1つ聞きたい事があるのだが…。」


「何かしら。」


「ジグルド側の護衛に付いていた亜魔族のディートリヒといったか。そやつが今どこにおるかは分かるか?」


「今は〜。」


少し彼の事を覗いてみる。


「ふん!ふん!998!999!1000!次は反対側で。」


(なんか筋トレしてるわね…。)


「覗いたのか?」


「そうだけれど…。彼は1人で筋トレをしていたわ。」


「そうか、そやつの処遇については追って判断するとしよう。そもそもお主の国で匿うのだろう?」


「まぁその予定ね。」


「少し気になるのだが…お主が居らずに国は大丈夫なのか?」


「繋げようと思えば繋げれるし、転移で戻るだけでいいから特に気にしてないわ。そもそも私の転移を阻害するなんて不可能よ。私の転移はスキルによるものじゃないから。」


「それなら安心だな。」




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



「なぁ、ユキメ。さっきから出てくる魔物が変わっているぞ。狼ばかりかと思っていたが天使も居るみたいだな。」


「それもただの天使じゃないぜマック。上位天使ばかりだ。しかも子爵位とはいえ、貴族級の天使も居るぞ。」


「2人とも注意しなさい。私が子爵位の天使を相手取ります。あなた達ふたりは周りを始末してください。」


3人は散開する。


「へいへーい!雑魚天使ども!俺の槍のサビにしてくれよ。」


ロザニールは槍を高速で振るう。その速度はあまりの速さに音が遅れてくるほど。


だがそれでも上位天使を倒すことはできない。しかしダメージは受けているみたいだ。


「お?生意気にも回復しやがるか?させねぇよ!」


槍で10度突く。その間約0.5秒。


上位天使は倒れる。


「楽勝だな。おい!マック!そっちはどうだ!」


「すぐに終わるぞ。それよりお前はユキメんとこ行けよ。」


「分かってるわい。」


一方、ユキメは子爵位の天使と対峙している。


拳を握りしめ上から下へ振り下ろす。


天使は上から来る衝撃を防ぐ事はせず避けることに専念する。


「すばしっこいですね。ですがこれならどうでしょう。」


天使の方向に腕を構え拳をゆっくり閉じていく。


天使は全方向から来る攻撃に耐えきれず押し潰される。だが最後の悪あがきか。光線が飛んでくる。


だがそこは手の空いたロザニールが光線を打ち落とす。


「ありがとうございます。多少強い程度ですが問題ないでしょう。情報にはここは閃光の魔神メルームと呼ばれる魔神のダンジョンです。」


「魔神がボスだと?それならかなりヤベェな。並の魔神のとことは桁違いに雑魚が強いからな。恐らく今ユキメが対峙した子爵位の天使も雑魚の部類に入るんじゃねぇか?この前俺らがやったガーネシアとかいうやつと同程度だろ。この天使。」


「天使はガーネシアよりかは数段弱かったですね。まぁ恐らく今後ガーネシアより強いやつも出てくるかもしれません。気を引き締めてください。」


2人は返事した。


すると本部から通達が来た。


『今そちらに大きな魔力反応があった!何か迫ってくるかもしれないぞ。』


「分かっています。奥からなにか来てますね。」


「あれ?あいつまさか…。」



奥から姿を現したのは先程倒したはずのガーネシアだ。


「お?さっきと姿が違ぇな。さっき倒したのは分身とかだったのか?」


「いや、感覚的には本体だと思います。恐らく誰かに蘇生された可能性が高いでしょうね。」


「ただ、蘇生されただけじゃねぇぞロザニール。前回よりクソ強ぇ感じがする。」



すると、相手が話しかけてきた。


「お前らに不覚を取り1度破れたが、主により力をくださった。この力でお前らを捻り潰す。この真紅の魔神ガーネシアが潰してくれよう。」


3人は相手の威圧により少し硬直する。


(これが魔神、それも今まで戦ってきた魔神の中でも上位と感じ取れますね。この力を授けたという主は一体。)


(前回やった時より遥かに強ぇな。槍が通る気がしねぇ。)


(2人とも少したじろいでるな。俺が少しでも隙を作らねぇと。)


マックは口ずさむ。


「【内側から弾け飛ぶ】」


しかし、ガーネシアに対しては何も起きない。


「今なにかしたかしら。」


「【対象は今すぐ引き伸ばされる!】」


しかし、またしても何も起きない。


(俺の攻撃がなにも効かないだと!?)


「【呪殺赤狼陣】」


「【陣の破壊!】」


マックが抵抗しようとするも陣の中に捉えられる。前回ガーネシアが使った陣と少し違うだけでほとんど機能は同じなのだが、魔神化した事により耐えれるようになってきたのだ。


「俺がやる!」


マックは己の持つ槍で刺突する。


「はっ?まじか!?刃が通りやがらねぇ!」


ガーネシアは何かをつぶやく。


すると、先程マックがガーネシアに向けて刺突した槍の攻撃を等倍で反射する。


「ぐぁっ!!」


マックは壁まで吹き飛ばされる。激突した壁は少し抉れており、マックの攻撃した速度と威力の高さが見て取れる。


「マック!私がやります。」


ユキメが殴る動作をする。すると衝撃がガーネシアへ向けて走る。


しかし、その衝撃に気づいたガーネシアは障壁を張る。


「かったいですね…。」


「私が味わった苦しみをあなた達に返して差し上げますわ!」


ガーネシアは赤い狼を体に纏うと肉弾戦の構えを取る。


「お、あいつ近距離戦に変えて来やがったな。」


「なら俺の槍で細切れにしてやるよ。」


「油断しないでくださいよ?マック。あなたさっき吹き飛ばされたでしょうに。」


「そこは気をつけるぜ。ロザニールがサポートしてくりゃ問題ねぇだろ。」


マックは槍を構える。より鋭く、1点のみを突くと言わんばかりに真っ直ぐ構える。


「【マックの槍を鋼鉄より硬く鋭く】」


「私がマックをサポートしますよ。」


ユキメがマックを掴み、投げ飛ばす。マックは自身に自己加速を施し、その速度はマッハへと達する。


ガーネシアは静かに眼前へと迫るマックを迎え撃つ。右拳を静かに後ろに溜める。


マックの槍がガーネシアへと直撃するその瞬間にガーネシアは右拳を前へと突き出す。


激突音はなく、衝撃が先に音が遅れて聞こえている。


そしてその衝撃により周りの壁が崩れ土煙が巻き起こる。


2人の激突を見ていたロザニールもユキメは行く末を見守る。


一体どっちが勝ったのかと。



「凄いわね…。まさか加護を使う事になるなんて…。人間の中にもここまで強くなれる者が居ることに驚嘆を覚えるわ。でも、私には届かなかったようね…。マックと言っていたわね。あなたの事は私が生涯覚えておくわ。」


そこには全身が砕け、夥しい肉片が地面に飛び散り、槍であったはずの金属片がそこらじゅうに散らばっていた。


だが、ガーネシアのほうを見ると、赤い狼の纏いは無くなり体もいくつか抉れている。血反吐を吐きながらも2本の足で立っている。


2人はマックが死んだという事実に気づくのに数秒かかった。


「撤退よ!ロザニール!今すぐに出口へ向かいましょう!本部!増援はいらない!私達が出てきたら今すぐここのゲートを封鎖しなさい!」


『何があったのですか!』


「マックが死んだわ!」


『何!?』


通信機越しに本部の人達の動揺を感じ取れる。


映像は途中から消えておりマックの死んだ姿を目撃できていない。そんな中、ユキメから伝えられたマックの訃報。普段の様子からは感じられないほどの焦りをユキメから感じた本部は封鎖の準備を進める。


「ユキメも早く出てこいよ!?」


「分かっているわ!」


ロザニールは急いで出口へと向かう。


「あら、私を置いて逃げるつもり?」


「こちらは誰か欠けたりでもしたら離脱する予定だったんですよ…!」


「逃がさないわよ。」


「今のあなたのその怪我でそれ以上啖呵を切れるとは思えませんが、仮にも魔神へと進化した身、全力で抵抗させてもらいます。」


ガーネシアはロザニールとユキメを赤い結界で包み込む。ただしその結界は先程より綻びが見られる。ガーネシア自身も重症を負っているようだ。自己再生で少しずつ再生させてはいるものの傷が深いせいかすぐには動けない。


ガーネシアはメルームへと緊急念話を繋ぐ。


それを感じたメルームは自身のダンジョンへと転移する。


「なに…。魔神がもう一体だと…。」


「ユキメ!俺がここで足止めする!お前の方が強い!お前が生きて帰ればまだ対策を立てられる!」


そこでひとつの声が響く。


「お前達が私の配下のガーネシアをいたぶった侵入者ですね。これで体を消滅させて逝きなさい。」


そう告げるとメルームは体前方に魔法陣を生成しレーザーを発射する。


ロザニールとユキメは出口の近くまで来ていた。このレーザーさえ躱せば逃げれる。


ロザニールは射線を見切り避ける。


しかし、ロザニールの腹からレーザーが出る。


「そのレーザーは追尾型です。」


ロザニールは吐血する。腹には大穴が開き、完全に上半身と下半身が分かたれた後に地面に落ちる。


ユキメは【万象】の力を用いてレーザーを反らしていたが、有り得ない角度でレーザーが曲がり、ユキメも被弾する。


右腕と右脚を欠損しつつもダンジョンの外へと出ることに成功した。


「1人逃がしましたか。対策を取られるかもしれません。封鎖とは言っていましたが、また入ってきた時の対策として色々講じておきましょう。それで、ガーネシア。もう体は全部再生しましたか?」


再生を終えたガーネシアは頷き、


「申し訳ありません。加護を貰い、神水を戴いた上で進化させていただいたにも関わらず、力及ばず1人しか仕留める事が出来ませんでした。」


「悔いることはありません。次へと活かせればよいのです。イリア様も許してくださるでしょう。私も1人逃がしてしまいました。お互い精進していきましょう。」


2人はダンジョンの奥へと戻り、メルームはレストレリアン王国に戻る。メルームは誰も居ないタイミングで転移したので大事になることは無かった。事の顛末をイリアへ伝えた上で休養するよう言伝を受けた。また、ガーネシアもまた休養するよう受けたものの、まだ強くなりたいと進言したため、イリアが分身を作成した後、そちらと相手させるようになった。








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