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TS転生した吸血鬼が色んな血を取り込み平和に暮らしたい冒険譚  作者: 月姫ステラ
4章 転移者と転生者
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大枢機卿護衛任務2日目&異境の者の攻略

「あの女が護衛に付いてから事が上手く運ばんくなってるではないか!」


「我々も策を弄してはいますが、ことごとく消されているかもしれません…。以前送った密偵も町人に晒されてしまいこちらの恥になりました。」


「もっと腕の立つ密偵はおらんのか!テュータレスが死ねばワシが動きやすくなると言うに!あのお方の崇高なる目的への第一歩を提供出来るはずなのに…。」


「であれば私が掛け合ってみましょうか?私は奴らの調査対象に入っていないと思われます。」


「そうだな…。【首刑人】、こやつの援護は任せたぞ…。」


「かしこまりました。」


2人の黒いマントを着た人型は暗い部屋を出る。


1人の髭を生やした男は葉巻を吸いながらため息をつく。


「崇高なる目的の達成のためにはあの魔神国は邪魔だ。あのお方の目的の障害となりうるだろう。早いこと処理しなくてはならないな。おい、密偵。テュータレスの秘書を調べておけ。程度は問わん。情報を引き出したのちに朽ち果てさせておけ。」


男は一人、薄暗い部屋て下卑た高笑いをするのだった。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




(へぇ〜、シュネガーってそんなあだ名がついてるのね。それじゃあ明日は秘書もずっと同行させるように言っておこうかしら。それにしてもあのお方…。私が邪魔になる…。エンゲルかしら…。まだあのお方とやらの調査が進んでない以上、踏み込み過ぎるのも良くないわね…。)


イリアは夜、寝室で考えていた。ちょうそのタイミングで男達が会話していたのを盗聴していたので推測を立てながら過ごしている。一応吸血鬼であるため、夜に寝る必要は全くない。護衛の期間だけでも不眠でも問題ないだろう。


暇になったので、空間から盗賊の死体を取り出し貪る。食事タイムだ。死んだ直後のままなので割と新鮮である。今日は何かとお腹がすいているので3人ほど食べた。肉が裂ける音、骨が砕ける音、血が飛び散る音がイリアを幸せに導く。


肉と骨を完食すると辺りに飛び散った血液を集めて体内へと取り込んだ。その際に体に含んでいた毒は分解されている。


「【神聖魔法】聖域サンクチュアリ。」


これで部屋は綺麗になった。隣が事務室で普段はテュータレスはその部屋で寝ている。


事務室へ繋がる扉を開けると、テュータレスが事務作業を続けていた。書類とにらめっこしているようだ。


「まだ、作業しているのかしら。」


「そうだな、終わらせなければならん作業があるのだ。」


「それじゃあ新たな情報が手に入ったから共有するわ。」


「そうか?何が分かったのだ。」


「シュネガーって【首刑人】って呼ばれてるみたいよ。あと明日はテュータレスの秘書を密偵して情報を引き出して、殺そうとしてるわ。だから今日のうちに秘書を部屋に呼んでおきなさい。」


「そこまで掴んだのか!」


「もう少し情報は掴んだのだけれど…。魔神国が邪魔だー。とか、あの方の崇高なる目的のためにーとか言っていたわね。あとは私の愚痴くらいかしら。私が護衛についてから上手くいかんって喚いてたわ。」


「やはりそのあの方とやらのために宣戦布告をしようとしていたのか。」


チリンチリン…。


1分後、部屋にノックがあり、テュータレスの「入れ。」という返答の元、入ってきたのは秘書である。


「どうされましたか。大枢機卿。」


「どうやら明日はお主が狙われておるようだぞ。お主なら情報を沢山持っているからだと。始末されかねんから今から3人で行動しておけ。護衛人は眠らんでも行動できると来た。何としてもあの方とやらの目的を止めるぞ…。」


「かしこまりました。」


「分かったわ。それじゃあその間に色々準備しておくわね。」




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



「【蛇口】、それに【豪傑】【万象】よ。件のゲート内の調査において、死の危機にあると判断した場合のみ撤退してくれ。それ以外での撤退は認められない。なお、情報の通り高レベルの魔物が出現する可能性が特大だ。定期的な連絡にこの通信機を使ってくれ。それと【万象】よ。可能な範囲でゲート内を映像化させてくれ。それでは序列11位【蛇口】マック・ミュエル、序列14位【豪傑】ロザニール・アベンスキ、序列8位【万象】狭間雪目はざまゆきめよ。武装の準備は出来たか?」


「【蛇口】了解。」


「【豪傑】りょーかい。」


「【万象】映像化ともに了解。」


「食料の確保は容易ではない思われる。準備は各自で行ってくれ。では幸運を祈る。」


3名はゲートの中に入る。


ゲートの中に入ると、以前の計測同様にSランクを超える反応が出る。


「マック、ロザニール、映像化するわ。」


「OK、それじゃあ前衛は任せろ。マックは中衛失敗すんなよ?」


「うるさいなぁ、お前俺より序列下なんだからお前がミスんなよ?」


「2人とも慎重に行動しなさい。」


3人は談笑しつつも行動を進める。そして、以前ガーネシアが現れたとされる祭壇に着いた。以前と変わらず、25体の石像が1体の女の像を囲むように崇拝している。25体の像は、それぞれ形が様々である。もちろん、この様子は映像化され本部へと伝わっている。


「それにしてもこの石像、かなり硬そうだな。殴ったら壊せるか?」


「止めておけ、以前ここで全滅したのだ。さらに奥の調査をしなくてはならん。ユキメが言ってただろう。慎重に動けと。」


25体それぞれの石像の裏に道がある。25通りに分かれているようだ。


「どこから進むよ、ユキメ、決めてくれ。」


「それならあの単眼の石像の裏の道にしよう。」


「了解だ。」


3人は石像の裏に行き、道を進んでいく。今のところ暗くは無い。青い炎の灯火が照明として設置されている。魔物が1体も居ない。だが3人は警戒を怠らない。


マック 「ん?なんか近くにいるな。」


ロザニール 「狼居た?」


マック「分からんが警戒。恐らくかなり高レベルだろうからな。」


すると天井から何か落ちてくる。


キャイン…


ロザニールは手に持っていた槍で素早く狼を切り裂く。しかし、致命傷とはいかず狼は警戒する。


「お、まじか。今ので死なないんかよ。こりゃ強ぇな。」


「私が握りつぶす。」


ユキメが手を握る動作をとると、狼が苦しそうな表情を上げてそのまま潰れた。


「さすが【万象】。」


「体感何レベ?」


「恐らく210はあるんじゃないか?俺の槍で死なねぇあたりこんくらいは最低ラインだろ。しかも今のがザコ敵かよ。俺早速心配なんだが。」


「マック、奥から最低でも5体近づいてる。」


「OK、なら俺の出番だな。」


マックは顔に何かを取りつける。ペストマスクのようだ。


「んじや、行きますぜ?【そのまま横の壁に高速でぶつかれ】」


狼五体は、全員壁に体を強打し頭蓋を飛び散らせながら死亡した。


「なぁ、マック。こいつらダンジョンの魔物なのか?ドロップしねぇし魔物が消えねぇぞ。」


「は?そんな事はありえないだろ。ここがダンジョンの中じゃないんならどこなんだよここ。」


「簡単な推測だけど、別のダンジョンに入り込んだ野良の魔物とかじゃないの?」


「まぁその可能性は否定できないな。にしても強くねぇか?」



その瞬間、空気が重くなった。


「あら、私の子供達をいじめる悪者がまた入ってきたようね。」


そこに現れたのはガーネシアだ。


「へぇ、お前がガーネシアか。」


「なに?呼び捨て?とりあえずお前達、この3匹を殺しなさい。」


すると、ガーネシアのそばに居た4体の黒い狼は3人のもとへ近づく。


「お?面白そうなやつだな。感覚的にはレベル250あたりかな?」


「なら、俺に任せろや。【槍撃術壱の型・楽楼】」


ロザニールが詠唱し槍を素早く動かすと同時に狼4体全員の上半身と下半身が分かたれた。


「こいつら前回のやつよりは強そうね。でも私には勝てるとは思えないわ。【赤狼陣】」


3人はそれぞれ陣に捕えられる。


「【檻よ、砕けろ。】」


すると、3人の陣は砕け散る。


「なに?」


驚いた一瞬の隙をつき、ユキメは両手をパーの形にして『いただきます』のポーズにする。


ガーネシアは横から何かが迫っているのを感じ防御を構築する。


「【赤狼結界】【赤狼分身】【赤狼転移】!」


ガーネシアの分身が結界の外に構築され、分身と転移した。しかしガーネシアの作った結界は何かの力によりぺちゃんこにされた。中に居た分身も消え去る。


「チッ。避けられましたか。しかし私たち3人でがーネシアを倒す事は出来そうですね。」


「【動くな。】」


ガーネシアは一瞬怯んだ。ロザニールは怯んだ隙に顔面に槍を真っ直ぐ突いた。


すると女の悲鳴だ。そう、ガーネシアの悲鳴である。頭に槍が貫通しているのだ。


「さすがにこれで死なないとかはやめてくれよ?」


「ま…だ……負けて……ない!!【赤狼呪縛爆殺陣】」


ガーネシアを包むように赤黒い膜が現れる。ロザニールは槍を手放しすぐに後退する。


「【ガーネシアめ!動くな!】」


「これで、終わりよ!」


ユキメは右手をグーに、左手をパーにして、相槌を打つ動作をとる。


すると、ガーネシアが上から押し潰される。


しかし、ガーネシアの技が発動する。


その瞬間、3人は赤黒い結界に包まれる。その中で爆発が発生した。



そこから数十秒後、赤黒い結界が消える。

そこにはガーネシアの死体があった。


ロザニールは間一髪、魔法障壁により攻撃を防いだ。ただ髪が少し焼け焦げた。


マックはユキメの魔法障壁により無傷。ユキメもまた無傷だ。


「よし、これで前回の探索の奴らの仇が取れたな。」


「物資も特に損耗してないから続き行くか。」


「本部、映像は途切れてない?」


少しの時間の後、返答が帰ってくる。


『問題ない、探索を続けてくれ。』



3人はダンジョンの探索を続けるのだった。








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