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TS転生した吸血鬼が色んな血を取り込み平和に暮らしたい冒険譚  作者: 月姫ステラ
4章 転移者と転生者
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イリア、歴史を学ぶ。

試験が終わりを告げるチャイムが鳴る。


飯島達は久しぶりに聞いたチャイムの音に感動しつつも入ってきたフリューゲルにテスト用紙を回収し渡す。そしてフリューゲルの後ろから付いてきたのは、イリアと後ろの光の輪を後ろに備えた魔神である。


「えぇ、テストが終わっていきなりで悪いが、今日は歴史について学んで欲しい。これはあくまでこの国の歴史ではなく世界の歴史についてだ。イリア殿にも授業を受けてもらう予定だ。」


イリアは席まで歩く。美園の隣に座る。その横には魔神が立ったままだ。


「メルーム、そこだと後ろの邪魔になるからあなたも座りなさい。」


「かしこまりました。」


メルームは席につく。


「よし、みな席についたようだな。では今から世界の歴史について話していく。まずは魔神戦争が起きる前の話だ。魔神戦争が起きる前は人間は居なかったわけではないが数は今よりもうんと少なかった。エルフやドワーフ、吸血鬼や悪魔、天使などがそれぞれ領土を持って生活していた。中央に領土を構えていたのは龍族、そしてその眷属にあたる竜族だ。竜族が各地に散り、守り神のような立ち位置で各種族を見守っていた。そしてかつて【五大龍】が存在した。名前はそれぞれ【火炎龍デロキア】、【氷水龍スルト】、【暴風龍テンペスト】、【地底龍アドバンド】、【樹木龍サラスベア】の五体だ。この五体はそれぞれ我々の住む惑星ティアースを治める神であるミルリアン様によって創造された龍だ。そしてそれ以外の龍として【枠外個体】として【閃光龍ソーラス】と【暗黒龍デスペラ】が存在する。【ソーラス】は【勇者】を、【デスペラ】は【魔王】を選定する権限を持っていた。そして最初の勇者、最初の魔王が選ばれたのだ。ただ、昔の魔王も勇者も別に敵対しているわけではなかった。確かに魔王は選定される事で魔王へと進化していたが、それ以外で魔王へと至った者がいた。そう、そこに居るイリア殿のように進化し続けて魔王に至る事だ。この魔王と選定された魔王に最たる違いが無かったのだ。」


「よし、今の段階で質問があるやつはいるか?」


すると、吉田が手を挙げる。


「その7体の龍は今でも存在するのですか?」


フリューゲルは頷き答える。

「いい質問だ。だがその答えはこの続きから話す事になる。では続きを話すぞ。」


「それから数千年の時が過ぎた。この数千年の間は小さないざこざはあれど、特に大きな争いは起きなかった。だがそこに転機が訪れたのだ。それは【魔神】の出現だ。【魔神】とは魔物が最終進化を果たしそこから更に限界突破をした個体のことだ。これは全種族に言える事だが、どんな魔物でも、どんな種族でも【魔神】へと至ることができる。これは【魔王】が生み出す手法と自力で成長する手法がある。その時現れたのは後者のほうだ。その【魔神】は憎悪、怨念など、とにかく悪意に満ちており、この世界を破壊せんとしていたのだ。それを察知した、7体の龍はそれ以外の下位の龍や竜族に告げ【魔神】が生み出した魔物達を殲滅するよう向かわせた。この際、魔王や勇者、私のような当時居た【英雄】などが戦いへと興じた。これが【魔神戦争】の始まりだ。そして、【魔神】は配下を成長させる事で最終的に【魔神】へと進化させその数を段々と増やしていたのだ。戦争の最盛期には【魔神】の総数は5000に及んでいた推測される。そこからは苛烈さを極めた。魔王も英雄も勇者も何度もやられ、また魔神を倒す。または封印をしてきた。封印などが進んでいた頃から龍を打倒する【魔神】が現れだした。【死霊の魔神】と【樹木龍】が相打ちとなり、共に消滅。【氷水龍】は【万物の魔神】を倒すことには成功したがその時喰らった攻撃により今も尚、療養している。【火炎龍】は【透過の魔神】の攻撃により消滅。敵討ちに来た【暴風龍】は【透過の魔神】を倒して、【氷水龍】と共に【万物の魔神】と戦い、その戦いで消滅。【地底龍】は【世界樹】を守る為、エルフと共に防衛に努めた。【閃光龍】は錯乱し、味方敵問わず攻撃をしてしまう。それを止めるため、【暗黒龍】と【魔王】や【英雄】が協力するも深手を負ってしまう。だが、【閃光龍】は正気を取り戻す。しかし、それを狙っていたかのように【原初の魔神】と【黒の魔神】が攻撃を仕掛けてきた。【閃光龍】との戦いで疲弊していた【暗黒龍】は【原初の魔神】の攻撃を受け消滅。【黒の魔神】を倒す事は出来ず、このレストレリアン王国の地下最深奥部に封印。【原初の魔神】は【地底龍】と【閃光龍】と【氷水龍】の三体で消滅させることに成功した。そして生き残った【魔王】達はもし次魔神戦争が起きても問題ないように魔物を【魔神】にまで成長させて配下につけ、それを生き残った三体の龍に確認してもらうようになった。そこから生き残った魔王や新参の魔王は【魔神】を配下にしている。だが各魔王が配下にしている【魔神】の総数がそれぞれ2〜3体程度なのだが…。イリア殿…、あなたの配下にいる魔神は計25体居るだろう。そしてあなたの配下の中に【地底龍】が己の命を賭けて守った世界樹が【魔神】へと成長した者も居るだろう?まぁそういう事で【魔神戦争】を引き起こした【原初の魔神】の消滅を機に一気に形勢が逆転し、終戦を迎えた。だが今、【魔王エンゲル】が【魔神戦争】を再度起こそうとしている。という所までを学んでくれればそれでいい。」


「それで質問があるやつはいるか?」


周りは質問する内容を必死に考え、何人かが手を挙げたのでフリューゲルは1人ずつ当てて質問に答えることにした。


「【黒の魔神】がこの国の地下に封印されていると聞きましたが、今の封印の状態などは大丈夫なのでしょうか。」


「それは毎日、昼と夜で1回ずつ点検をしている。この封印が解けると、かなりの被害が出るだろう。真っ先にこの国は滅びるかもしれない。」


「生き残った三体の龍は今どこに?」


「【地底龍】はエルフの森の奥で休養している。【氷水龍】はどこにいるかは行方が知れない。【閃光龍】は聖国ヒストリアの教会最上層にて信仰の対象となっている。」


「生き残った魔王って何体いるの?」


「戦争を生きのびた魔王は4体居たが3体が寿命を迎えたため、残りは深海の龍魔王リザン一体のみだ。」


「世界樹ってどのくらい重要なの?」


「それを語るとかなり長くなる。だが世界樹が枯れると世界の根幹が崩れる。だからイリア殿に対して言いたいことは、できる限り、ハイウッド殿を表に出さないでもらいたい。例え四天凶の1人であろうとも。」


「努力するわ。何もしてこなければ私からも何もしないもの。」


(今の話を聞く限り、【地底龍】には感謝をしたほうがいいのよね…。でも私って魔神戦争の功労者達を食べたり、はたまた魔神も食べたりしてるから、もしかすると【地底龍】と敵対してしまう可能性があるのよね…。魔王だって1人殺しているわけだし…。あと、封印されている【黒の魔神】、もしかしたら【白の魔神】と同じ魔神四卿の可能性があるわね…。もしかしたらバレンが倒された事に気づいているかもしれないし、そろそろ注意した方がいいかもしれないわ。メルーム、この国の地下にいる【黒の魔神】。もしかしたら封印が解けたりするんじゃないかしら。もし解けたら私が【紅蓮之災禍クリムゾンカタストロフ】を使ってクレーターにした場所まで転移で飛ばす事にするわ。そうすればこの国に被害も出ないわけだし…。思う存分戦えるわけだから。)


(僭越ながらイリア様、【黒の魔神】は恐らく【白の魔神】より強いと思われます。歴史にある通り、【原初の魔神】と行動を共にしていたとなれば傷を負う可能性も考慮しなくてはなりません。しかし我々配下としてはイリア様に傷を負って欲しくは無いのです。なので我々も戦いに参加させては貰えないでしょうか。)


念話内ではあるが、メルームが参加したがっている。


(そうねぇ、別に一緒に戦っても良いのだけれど、あなたの実力の底上げとかもしないと行けないわ。犠牲なんて払いたくないもの。そういえば、あなた【閃光の魔神】だけれど、【閃光龍】と繋がりとかはあるのかしら。)


(いえ、特にはございません。私は生まれも育ちも穢れの森の中でございます。)


「続きを話す。【世界樹】とはこの星の情報全てを集約しているとも言われる世界最古の樹木よ。かつてこの星の神様であるミルリアン様が【五大龍】を創造された時、それぞれの龍に役目を与えたのだ。【火炎龍】は戦争や紛争の鎮圧などだ。【氷水龍】は海の生き物や魔物の生態の確認や維持。【暴風龍】は他世界からの侵入者が来ないかの門番。【樹木龍】はこの世の種族の確認や維持。そして【地底龍】は大地の動きの確認、そして【世界樹】の存護だ。」


「この樹木が惑星にとって非常に重要な物であると見抜いたミルリアン様は【地底龍】に存護するよう命令を下した。そして魔神戦争終了まで【世界樹】を存護していた。だがある時、その【世界樹】が根元から消え去っていたのだ。危機を察知した【地底龍】はミルリアン様に惑星の危機を伝えたのだ。ミルリアン様や他の二龍も大陸を飛び回り、惑星内全てを飛び回るも見つけることが出来なかったのだ。だが、そんな状態はふとした拍子に解決したのだ。それは穢れの森の中に移動していたのだ。これは10000年前の話だ。何者かが穢れの森の中に移したのか、それとも【世界樹】自身が移動したのかは皆目見当もつかなかったが、見つかったこともあり、【地底龍】は穢れの森を当時治めていたボロスとメリザに【世界樹】を管理するよう頼んだ。それを快く引き受けたボロスとメリザはそこから長い時をかけて【世界樹】を管理する事になった。近くに王国が出来上がったこともあった。そして管理者の1人であったメリザが寿命で力尽きた。それより長く生きられる竜であるボロスは1人で、管理を続けていた。そして、あとは言うまでもないだろう。イリア殿がボロスを殺し、自身の領土へと変えた。イリア殿からも聞いたが、イリア殿は穢れの森で生まれ育ち強者と戦いたいという欲からボロスと戦ったという事だ。なので今は【世界樹】の管理者はイリア殿という訳だな。」



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― 新着の感想 ―
[一言] 生徒たちとの適度な距離感が好きです。 イリアには魔物側でいてほしく思います。 一目おかれるイリアカッコいい。 人を食べているところを生徒が見た時の反応が面白そうです。 フリューゲルとは違う…
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