ベルマストのマジックショー
マジックのことを色々調べました。聞いたことのあるマジシャンとかから片っ端に。
拓斗達は修練場に戻ると、中央には丸い会場が設置されており、それを囲むように椅子が配置されているようだ。何をするのかは分からないが、中央にはベルマストが1人立っている。椅子に座っているのは拓斗以外のクラスメイト達と近くで護衛していた騎士達もいる。そして代わりに護衛しているのは4体の魔神だ。
イリアは先に向かっていたのか1人だけ豪華な椅子に座っていた。椅子の横にはヘスティが立っている。その横にも恐らくガイオン用であろう大きな椅子がある。
「俺達も座るか。」
「うん、そうだね。」
「私は立たせてもらおう。」
3人は各々、椅子に座るなり、立っているなりした。
それを確認したベルマストは意気揚々と告げる。
「えぇ〜、観客が揃いましたのでぇ〜マジックショーを開始しますぅ〜。皆様〜見に来て下さりありがとうございます〜。まず1つ目のマジックはですねぇ〜。こちらですぅ。」
と、舞台の上に現れたのは水槽と箱である。
「えぇ、いきなりですがどなたかに参加してもらいたいのですよぉ〜。」
「はい、俺がやりたい。」
そう言って手を上げたのは、解析士の職業を持つ八谷だ。八谷はベルマストに呼ばれ壇上に立つ。
「えぇ、今から八谷殿には、この水槽の中に入ってもらいますぅ〜。それからこの水槽からこちらの箱に移動してもらうというマジックですぅ〜。」
「水槽から箱への移動?予想通りか。」
まぁ、このふたつを見た瞬間、そういうマジックなのは察していたが、いざやるとなるとそれなりに緊張するのだろう。八谷は少しだけ震えている。
「八谷殿が水槽に入ったあと、10の合図ののち、水槽を上の鉄球が破壊するので〜すよ〜。」
「ちなみに演出のた〜めに〜、水槽が破壊されると、水槽の中に設置している赤い液体が噴出されるようになっているのでそこはご安心するのですぅ〜。」
「あー、その前に八谷殿〜。これを施すのです〜。【保護膜】」
「これは?」
「水槽の中に入るのだから濡れないようにするので〜すよ〜。」
「さぁ、全面ガラス張りの水槽からどうやって箱へ移動するのでしょうかねぇ。皆さん、10のカウントをお願いするので〜すよ〜。」
そうしてカウントが始まる。
「10〜〜〜〜、9~~~〜、8~~~〜、7~~~〜、6~~~〜、5~~~〜、4~~~〜、3~~~〜、2~~~〜、1~~~〜。」
そして最後のカウントを告げる。
「0~~~〜。」
水槽にはまだ八谷がいる。上を見上げると鉄球が落ちてきている。そして水槽に当たり、鉄球が水槽を押しつぶす。先程の説明の通り、赤い液体が噴出している。
「そ〜れでは〜箱を見ていきましょ〜う!パカリ!」
なんとそこには無傷の八谷が入っていた。
「!?!?」
「すげぇ!」
「凄っ!」
「ヤバっ!」
クラスメイト達は驚く。そしてフリューゲルやガイオンも驚く。
「ほぅ、魔力を使った形跡が何一つ無い…そしてそれらの水槽と箱は我が国の倉庫にあったものだ。それを使って成し遂げるとは…。」
「ベルマストの野郎、八谷の小僧と身につけてる衣服のみを箱に保護膜を水槽に残した状態で移しやがったなぁ…。普通は保護膜も一緒に動くんだが…。」
一方ベルマストはというと…。
「イリア様、いかがでしょうか。」
「あれは凄いわね、あの操作技術はそう真似出来ないわ。私がやったとしても手間取りそうね。」
「お嬢様に同意します。」とヘスティが言う。
それでは!と言うと、観客は舞台の方へ視線を向ける。
「続きましてぇ~2つ目のマジックショーはここに1枚のトランプがありますぅ~。裏を見ても横から見ても前から見ても〜1枚だけ〜。なーのに〜、あらあらどうしたことか。1枚であるはずのトランプからたくさんトランプが出てくるではありませ〜んか〜。」
(全く魔力を感じないわね…。これは凄いわ…。)
「そ〜れだけではございま〜せんよ〜?よ〜くごらんくださ〜い。ここには何の変哲もないハットがありますねぇ〜。そこの飯島殿〜。鑑定をこの帽子に使ってみてくださ〜いな〜。もちろん手で触って確認してくれてか〜まいませんよ〜?」
「分かった。【勇者の目】。うん。何の変哲もない帽子で間違いない。それに手触り的にも全然問題ない。どこか隙間があるという訳では無いよ。」
「あ〜りがとうございま~~~す。それではこのハットの中にトランプを1枚入れま〜すね。」
そして、ベルマストは続けて。
「すーるとー?ハットの中からシャワーのようにトランプが吹き出るではないで〜すか。」
このマジックを見た周りの人からは…。
「ヤバっ。細工が全く見当たらない。」
どうやら細工が無いか探してたようだ。
「ちなみに、私ベルマストはこのように戦うのですよ。これもひとつの戦い方ですけどね〜。」
すると、ベルマストはトランプを1枚ハットから取り出し、それを高速で射出。反対側にあったハイウッドが貼った神樹障壁陣の一部を破壊した。これにはイリアも感服しているようで、ベルマストとしては最高な気分だ。
「つ〜づいて〜最後のマジックはですねぇ〜。例えばこの紙。中にケーキが書いてありますねぇ〜。そ〜れに〜?手を当ててギュッと掴む動作をす〜ると〜?なななんと~~~!中のケーキを表に引っ張り出せるじゃ~ないですか〜!も、ちろ〜ん?このケーキを食べる事も出来ますよ。どなたか食べてみてくださいなぁ〜。」
そこにクラスメイトの1人である冴木が手を上げる。
職業は鍛冶師だ。手渡された紙の中から取り出されたケーキを1口で食べる。
「うま!本物じゃんこれ。どこのケーキっすか。」
「これは王都内の店からメニューを拝借しただけなので〜すよ〜。そしてこの皿だけになっても問題ないですよ〜?皿をメニューに当てて押し込むと?なななんと~~~!中にはケーキが皿に乗った状態で入ったではありませんか~~~!」
「つまり食べ放題!?」
ベルマストは頷く。それからは周りは発狂物だ。写真であっても再現可能ということだった。
しかし、飯島は疑問に思った。
「質問がある。」
「な〜んでも質問いいですよ〜。」
「どうして写真とかを知っているんだ?フリューゲルさんに聞いても初めて聞いたかのような反応だったがあなたの口ぶりだと知っているようだった。」
「それは地球という星の話でしょう?」
ベルマストはそう淡々と告げる。
「地球に行ったことはあるのか?」
「えぇ〜!えぇ〜!ありますよ。私はそこで見聞きしたものをこちらのマジックに応用しただけですよォ〜。」
イリアもさすがに気になったのか。
「ねぇ、ベルマスト。覗いてもいいかしら。」
「構いませんよ〜。イリア様。」
名前:ベルマスト
種族:灰の魔神
レベル:2200
状態:高揚
装備:面妖なハット、黒龍のステッキ
体力:120億
魔力:10億
攻撃力:1~20億
防御力:測定不能
機動力:1億
スキル:変装LvMax、言語理解LvMax、多重並列思考LvMax、連携強化LvMax、魔術師の目Lv-、転移LvMax、反射障壁LvMax、神眼妨害LvMax、記憶操作Lv-、時空間魔法LvMax、高速演算LvMax
特殊スキル:魔術師の理Lv-、黙示録之書
称号:腐毒の魔神デュポーンの配下、マジックの天才、深淵を知る者、魔王殺し、龍殺し
普通に高い。機動力は素で負けてる。防御力もまた素で負けてる。反射障壁は私はまだLv1だがベルマストは既にLvMax。魔王を倒した成果なのかもしれない。
そして何より私の配下はやはり強かった。それは嬉しい事だ。
「ベルマスト、深淵を知ったのね…。」
「はい〜、イリア様。深淵がイリア様である事も理解しました〜。しかし、もうひとつ見慣れぬものがありまして〜。」
すると、イリアは座ったままベルマストを呼び寄せ、耳打ちで、「それは混沌よ。」と話す。
そして何故かヘスティがイライラしてる。
「ヘスティ、後にしなさい。」
「申し訳ありません。」と謝る。
そしてマジックショーが終わった。