魔神にも良い奴は居る
それから2日後、王宮の医務室にてガイオンが目を覚ました。
「…ん?ここはどこだ?」
「あ、やっと目を覚まされましたね!今すぐ呼んできます!」
そうして女性が部屋を出て、数分後、その女性がフリューゲルとイリアを呼んでこちらにやってきた。
「えーっと…その…ごめんなさいね…。強そうだな〜って思ってきっと魂も美味しいんだろうな〜って食欲に駆られちゃったわ。」
イリアがガイオンに謝罪したのだ。
「まぁ俺が不覚を取ったってのもあるが次は気をつけろよ。俺は別にお前と対立しに来た訳じゃねぇからな。」と少し笑顔を作る。
しょんぼり顔のイリアの頭をガシガシと撫でる。イリアは少し痛そうにしていた。
「おっと、少し強かったな。それで。フリューゲルはどうした。なんかあったのか?」
「いや、何故私がここに居るかは修練場に来てくれれば分かるんだが…。」
3人は修練場に向かう。
「てか俺はどんくらい寝てたんだ。」
「2日ほどだ。」
「まじか。結構寝てしまったな。」
「フリューゲルと早速模擬戦してぇなぁ。」
「ふっ、お前は病み上がりだろう。やめておくといい。」
「しゃあねぇ。」
そして修練場に着いた3人。
「な、なんだこりゃ…。」
ガイオンが驚くのも無理はなかったのだ。
そこには、イリアの配下である魔神25体が勇者達の指導をしていたのだ。それぞれ得意なことや苦手なことなどを分析しながら向上に努めていたのだ。よく見ると腕が4本あるゴリゴリの筋肉魔神がガイオンにゴツイと評されていた大竹を鍛えていた。そもそもここにいる魔神25体それぞれが魔王に迫る実力、またはガイオンを凌駕する実力を持っており、中でも5体程は尋常ではないほどの強さを感じたのだ。それは言うまでもなく四天凶と秘書である。
とは言うが25体全員が教えているわけではなかった。灰の魔神ベルマストは腕を組んで周りをウロチョロしていた。イリアを見つけたのかこちらへと歩みを進めていた。
「おーやおや、イリア様、どうされましたか。」
「ガイオンが起きたから連れてきただけよ。それよりあなただけ誰にも教えていないようだけれど。」
「そーれがですねぇ。私が単眼のせいなのか、単独で魔王を屠ったせいなのか誰も私に教えを乞いにきてくれないんですよー。あいにく私が教えられるのはマジックだけなんですけどねぇ〜。」
「まぁ、普通はマジック教えてなんてって言う人は居ないわね…。じゃあ…休憩がてらにあなたのマジックを見てもらうのはどうかしら。もしかしたらその後、誰か来るかもしれないわよ。」
「な〜るほど〜。それでは休憩まで最終確認でもしておきましょ〜か。あ、イリア様も見ていただけるのですよね…?」
「もちろん見たいわ。だってあなたのマジックの練度が気になるんだもの。」
「わ〜かりましたよ〜。それじゃあ失礼しますねぇ。」
ベルマストは休憩室へと向かっていった。
「イリアよ、おめぇの仲間なかなか癖の強いやつも居るんだな。それよりタンドラを殺ったのがあのベルマストとかいうマジシャンか。」
「えぇ、そうね。」
「あいつの実力、というか戦い方があまり想像がつかねぇな。」
「私も実際に見た事がないから分からないのだけれどきっとトリッキーな戦い方をするのかしらね。そうだわ…今度私の国にいらっしゃい。どうやらベルマストがマジックショーをしているらしいわ。」
「それはおもしれぇ。見に行ってやるぞ。」
「それは嬉しいわね。」
2人はそんな感じで談笑している。
そして休憩に入る。
それを見ている飯島達はと言うと…。
「イリアってやつは強いけどそれ以上可愛いよな…。」
「分かる分かる…。あれで2歳なの?ってくらい知識あるよね。」
「でもかなり短気だよね…。」
「餌付けしたらなんか面白そう。」
色々学生達が話しているようだ。
そこにフリューゲルがやってきて言ったのだ。
「お前たち、休憩中に済まない。休憩が終わったらまたここに戻ってきてくれ。」
「何があるんですか?」
「いや、それは後でのお楽しみだな。」
学生達は何があるのかを予測していた。




