勇者達と模擬戦
「お前たち、イリア殿、ガイオン殿の2人と模擬戦をしてみてはどうかな。強者と実際に模擬戦するというのも力を付ける良い機会だぞ。」
フリューゲルは飯島達にそう告げる。
「良いのですか!これで早く強くなれる!」
「手加減してくれるんですよね?」
賞賛する声や心配する声が聞こえてくる。
「そこら辺に関しては…できるか?手加減。」
「俺は問題ねぇな。俺の国じゃ部隊に入った新人を俺自ら鍛えるからな。まずは手加減して鍛える。獣人の中でも非力な奴らも含めて鍛えてる。手加減の仕方くらいは熟知してるぜ。」
ガイオンは問題ないようだ。
「イリア殿はどうか?」
「手加減ねぇ…少し難しいかもしれないわ。うっかり腕とかを消し飛ばしちゃいそうなほど脆そうだもの。」
「難しいか。」
「一応やってみるわ。あ、そうそう。私と模擬戦する時は死ぬ気で来なさい。腕の2本や足の2本くらいなら再生させてあげるわ。」
「間違ってでも殺すなよ。」
「あー、その時はその時よ。」
そして生徒達は昼休憩を取ることになった。
イリアとガイオンはと言うと…食堂に居た。
「あら、ガイオン。あなた食堂は初めてかしら。」
「いや、二回目だな。単に慣れてないだけだ。それよりおめぇ、俺より強ぇだろ。」
「だと思うわね。だってあのちゃちな結界割れてないんだもの。」
単にイリアはガイオンのステータスが気になり、覗くことにした。
名前:ガイオン・アルベスタ
種族:獣人王
レベル:1029
装備:天翔の首飾り、獣王の冠
体力:420億
魔力:7800万(装備時:15億6000万)
攻撃力:115億(装備時:2300億)
防御力:40億
機動力:4900万
スキル:身体超絶強化Lv-、獅子奮迅Lv-、肉体超再生LvMax、精神汚染無効Lv-、威圧LvMax、覇気Lv-、空中機動LvMax、投擲LvMax、ド根性LvMax
特殊スキル:魔王LvMax、筋肉之力Lv-、王の器Lv-、獣王化Lv-
称号:獣魔王、獣王国アルベスタの国王、魔物殺し、魔神殺し、精霊殺し、精霊王のライバル、不屈者
(素のステータスでいくつか負けてるわね…。それに知らないスキルが割と多い…。ほんと多種多様なスキルがあるわね…。)
【身体超絶強化】身体を超絶強化する。身体剛化を使い続ける事により進化するスキル。Lvの概念は無い。
【獅子奮迅】己の闘争心を掻き立て、敵に対する攻撃の命中率を底上げする。そして同族が近くにいる時、自身の攻撃速度を上昇させる。Lvの概念は無い。
【ド根性】己の体力が0になる攻撃も60%の確率で1耐える。そしてそこに付け加えられた追加ダメージを無くす。Lvを上げる事に確率が3%ずつ上がり、最大90%の確率に上がる。
【筋肉之力】
筋肉を酷使すれば酷使するほど筋肉が鍛えられ、攻撃力がどんどん上昇していく。
【王の器】器が強固になって行くほど精神攻撃耐性が上昇する。
【獣王化】己のピンチを悟った時、獣王としての力が覚醒する。体力、攻撃力、機動力が100倍に上昇する。
(最終的に私より強くなっちゃうわね。フルでスキルを使われたら勝てないわね…。でも簡単に進化できないのよねぇ。帝位なんてそんなすぐになれそうも無いし。)
そんなことを気にしながらイリア達は食事を終え、修練場に戻る。
そこではフリューゲルが剣を地面に刺し腕を組んで待っていた。
生徒たちも集まっており、2人を待っていた。
「よし、お前たちよ。今から1対3の模擬戦を開始する。どちらかが戦闘不能または負けを認めた時のみ終了とする!チーム編成を行う!」
そうしてチームA【飯島(勇者)、鎌田、神崎】
チームB【大竹(武闘家)、瀬良(聖女)、吉田】
チームC【美園(錬成師)、寺内、相川】
以下7チーム。となった。
そしてこちらはハンデとして魔力の使用を禁じられる。あとは相手を殺すようなスキルもダメだそうだ。まぁそこは分かっているつもりだ。なので私は魔法が使えない。というか基本的に魔力を必要とするスキルはほぼ全部使えなくなった。これはこれで訓練になるかもしれないとこちらも思った。何せこちらは生まれてこの方、魔力に頼り続けてきたのだから。ここで魔力を使えない状況を訓練しておけばいつか役に立つだろう。このルールに関してはフリューゲルには後で感謝しておこう。
ガイオンの方も同様で特殊スキルは使えない。魔力も練ったらダメだそうだ。
「よし!今から第1戦を始める!まずは獣魔王ガイオンVSチームAだ!」
そしてチームAと呼ばれた未来の勇者である飯島拓斗、そして重騎士の神崎、盗賊の鎌田だ。編成としては悪くないと思う。攻防ありつつ援護もできるパーティーだ。強いて言うなら回復が居ないことか。そこはポーションで補うか、今後、誰でも使えるヒールを覚えることか。どちらかだろう。
「位置に着いたな。お前たち、模擬戦、始め!」
その合図とともに作戦を練っていた飯島が飛び出す。そして鎌田もまた盗賊のスキル【隠密】を使い、移動を開始する。
「行きますよ!【聖突】!」
飯島は剣を光を込め、それを真っ直ぐ突くように駆ける。横から鎌田が、「【移動速度強化】!」と飯島をサポートする。その後、鎌田もまた飯島の援護のため、ガイオンの左側をとる。
しかし未だガイオンは動かず腕を組んでいる。獣人の特性である匂いを嗅ぐという力を使ったのだろうか。それとも存在をスキルを使わず感知しているのだろうか。やはり色々学べる。
(これは次の模擬戦で色々試してみるのもありねぇ。)
飯島の【聖突】がガイオンの目の前に迫ったその時、ガイオンは右手を上げ、剣を左側に向かって殴る。
「うわっ!」
剣を殴られた飯島は剣ごと吹き飛ばされる。そう。左側にだ。そして隠密中であった鎌田に激突し、鎌田もまた吹き飛ばされる。それに気づいた神崎は直ぐに左に向かい、「【重要塞】!」を使い、吹き飛ばされた2人を盾で受け止める。その際、神崎は盾に【衝撃吸収】と【吸着】の2つを重ねがけしていた。
「おめぇらも工夫を始めたな。特にそこの盾持ち!仲間を吹き飛ばされたのを受け止めるための工夫が見て取れるな。盾に2つほどスキルを付与したな。スキルの使い方はさまざまだ。己を固くして己を吹き飛ばされんとする意志や良し!そして鎌田!メインアタッカーである飯島のサポートのために移動速度を強化したのはいい!だが移動速度だけ上げても意味が無い。武器にも強化を施すべきだったな。あと、飯島。真っ直ぐ来すぎだ。その一本で決めるつもりなのだろうが対応されることも見越して【残像】や【分身】などを使う事も考えておけ。そのスピードならそこらの魔物には通用するだろうが少し強さが上がると効かなくなるぞ。そこは気をつけておくんだな。」
そして模擬戦の第1戦は終わった。




