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TS転生した吸血鬼が色んな血を取り込み平和に暮らしたい冒険譚  作者: 月姫ステラ
4章 転移者と転生者
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王国の講師依頼 再誕

レストレリアン王国はヒストリア聖国を挟んで反対に位置する。国であり、真っ直ぐ向かおうとするとヒストリア聖国に入ることになる。


「真っ直ぐ行くと違う国だから大回りするしかないわね。」


イリアは移動を続ける。まず、聖国が見えてきたので右回りで迂回することにした。


その時、空中に馬みたいなのに乗っている騎士を数人見かける。


(あれは何かしら。ユニコーン?)


「そこの魔族よ。どこに向かっている。」


「1人でブラブラ観光してるって言ったら信じてくれるかしら。」


「今は何かとザワついているからな。魔王エンゲルが動き始めたのだから我ら天翔騎士が空中の警備を行っている。それで我らの聖国に何か用か?」


「全くもって用はないわ。用があるのはその先のレストレリアン王国よ。」


騎士達は沈黙する。


「魔族がレストレリアン王国に用があるのか?あそこは禁忌ではあったとはいえ、囚人達を生贄に異世界召喚をしたのだぞ。今あの王国を狙うとしたらエンゲルやエンゲル配下の者だけだと思うのだが。」


「は?エンゲルの配下達を一緒にしないでもらえるかしら。あんな雑魚、気にも止めないわ。それにこれ、見えるかしら。」


イリアは冒険者証を見せる。


名前:イリア・フィーリアス

種族:吸血鬼族

レベル:816

職業:魔闘士

ランク:S

「これよ。ちゃんと見えるかしら。」


「な、Sランク冒険者だと?それに魔族ではなく吸血鬼族。何故吸血鬼が冒険者をやっている。」


「単純に冒険者が楽しそうだからよ。」


「しかし、我ら聖国として吸血鬼を見逃す事は出来ん。報告だけはさせてもらおう。ところで吸血鬼、炎天下だが問題ないのか?」


「ぜーんぜん大丈夫ね。むしろ日向ぼっこは大好きよ。」


少しの沈黙の後、「ふん!」と目の前の騎士が威圧?らしきものをしてきた。なにかの審査なのかもしれない。敵意が無いのが丸わかりなので特に何もせず笑顔でいる事にした。


「まぁいい、行くがいい吸血鬼よ。」


「はーい。バイバーイ!」


イリアはレストレリアン王国を目指すのだった。


それから速度を上げ、移動を続けると、要塞の国とも呼べそうなレストレリアン王国へとやってきた。


「ほんと、要塞って感じね。降りようかしら。」


イリアは王都の入口へと向かうことにした。

そこでは警備がなされており、4人の衛兵が列に並んで待っている人たちの入国審査をしていた。

イリアの番になったのでその4人の前に現れる。

「お前さん、かなりの別嬪さんだがこの国へは観光かい?」


「えぇ、そうね。観光よ?はい冒険者証ね。」


「Sランク冒険者!?それで吸血鬼と書いてあるが、これに関してなにか対策はしてあるのか?例えば水とか血とかだが。」


「そこに関してはなんの不自由なく人間と同じように生活できるから気にしなくていいわよ。」


「なるほど。気にしなくていいのだな。では入ってくれ。Sランク冒険者ともなれば全ての国で権力があるからな。そこにだけは気をつけてくれ。」


「分かったわ。ありがとうね。」


イリアは王都へと入っていく。


「あの嬢ちゃん、見た事あるな…。」

「どこで見たんだ?」

「この前の大狂騒スタンピードで、指揮官をしてた人だな。美少女なのにくそつえぇって噂だったな。酒場の冒険者がそんな話をしてたな。」

「マジかよ、やばいな。」


王都に入ると、ダリオン王国に引けを取らないほど活気に溢れているようだ。せっかく観光に来たはいいが早速冒険者ギルドに行けば何かとめんどい事になりかねないので。服飾店やらレストランを巡ることにした。


服…と言っても、血で服くらいならなんぼでも作れるのでそんなに気にしていないのだが、下着くらいは本物が必要だろうなと買いに行く事にした。


「ひ、紐パン?細すぎないかしら。これなにを隠すためのパンツ?」


「え?この服着ると乳が下から見えちゃうじゃないの。見せ乳するための服かしら。何がいいのかさっぱりだけどファッションなのよね…。」


「案外普通のもあるのね。ブラ…そろそろ買い換えないとダメね…。」


意外にもここで金貨20枚ほど使ってしまった。でも服は色々と使えるのでまだいいだろう。


「さて、お次はレストランね。何があるのかしら。」


レストランに着く。メルシアートという名前の店だ。

中に入る。


「いらっしゃいませ〜!おひとり様で宜しいでしょうか?」


「えぇ、1人でいいわよ。」


「おひとり様ご案内です〜!」


そうして誘導された席は1人用の席だ。

「ねぇ、私、観光でレストレリアン王国に来たのだけれど、この国のおすすめ料理って何かしら。」


店員は少し考え込み答えを決めたようだ。

「それはですね、バリアトライゼブラの肉詰めサラダですね。バリアトライゼブラは身がぎっしり詰まっててとてもジューシーなんです。それでいてサラダとの組み合わせなので栄養もしっかり確保されてますよ。サラダはサラダで国産を使用してますね。それで、こちらにされますか?」


「えぇ、お願いするわね。」

イリアは笑顔で店員さんに言う。


「暫くお待ちください!」

店員も厨房へ戻ったようだ。


店の雰囲気もいい。どうやら当たりを引いたようだ。他の客が食べてる料理をチラ見してみたがそちらも美味しそうであった。


それから10分ほど経った頃、先程の店員さんがやってきた。


「お待たせしました!バリアトライゼブラの肉詰めサラダですー!」


「ありがとうね。」


「ごゆっくりどうぞ〜!」

店員さんも離れていく。フォークを取り、野菜を少し食べてみる。

シャキッ シャキッ

冷たい新鮮なレタスのような美味しさだ。トマトみたいなのもある。


美味い。次にバリアトライゼブラの肉に手をつける。

口を近づけると、すぐやってきたのは香りだ。なにか独特な香りがする。調味料のせいなのかとおもったがそうではない。肉自体に香りがついている。これは確かに狩られるわけだ。

そしてかじるととても美味しい。A5ランクの牛肉にも引けを取らない美味さだ。これは値段も高いのだろう。

しかし今は値段などどうでもいい。この美味さを味わい続けたいな。


そのまま食べ終わった。とても美味しかった。

「ありがとうございました〜!お代は金貨15枚です!」


全然払える金額だったのでポンっと渡す事にした。


「ありがとうございましたー!」


イリアは店を出る事にした。

次に向かうのは冒険者ギルドだ。


ここの冒険者ギルドも大きい。ダリオン王国よりもだ。ここにもSSランクのギルドマスターなんかが居るのだろうか。


入る事にした。かなりの人数いるようだ。まだ昼間だと言うのにこの人数。1人に話しかけることにした。


「ねぇ、そこのあなた。いつもこんなに人がいるのかしら。」


「ん?見ない顔だが他の国から来たのか?それなら知らないのも無理はないか。この国にはSランクより上が居ないんだよ。それで昼になるとBランクとAランクの任務が張り出されるからそれの取り合いの準備ってところさ。ところであんたのランクは?」


「私はSランクよ?ずっとソロで動いてるわね。」


「Sランク!?!?!?」


その大きな声ののち、周りの人達がみんなこちらを向いた。


「あら、皆さん何かしら。別に私はこの国に初めて来たからこの様子に少し驚いただけよ?あー、そこの受付嬢さん、ギルドマスターと話ができるかしら。」


「は、はい!できます!今すぐ準備してきます!」

受付嬢は急いで準備をしに行ったようだ。そんなにSランクがいなくなってひさしいのだろうか。ダリオン王国にはSランクがかなり居たというのに。それにSSランクが3人も。


周りの驚愕の顔はさておき、ギルドマスターが来たようだ。ここのギルドマスターは筋骨隆々な男のようだ。


「お前か、話がしたいと言うのは。」


「えぇ、話がしたいのよ。暇だから。」


「暇だから…だと?私はギルドマスターとしての仕事が忙しいのだが。ところでお前はあの、【鮮血姫】か。」


「あの、ってどういう意味かは分からないけれど、その【鮮血姫】のイリア・フィーリアスよ。」


「じゃああんたに頼みたい事がある。」


「何かしら。」


「この国で異世界召喚が行われて勇者やその仲間となるであろうものたちが召喚されたのだが、それの実力向上のための講師をしてもらいたい。この国の騎士達も優秀だが本場の冒険者の指導も必要だろうとの事で王家から依頼が届いてな。しかしこの国にはここ30年Sランクがいないのでな。諦めかけていたがこれを受けてくれるか?報酬はでかい。約束しよう。王家公認だからな。」


イリアは色々考えることにした。

「少し待ってもらえるかしら。そうね…五分ほど。」


「分かった。」


(今ここで依頼を受けた場合、途中で抜ける事はできるのかしら…。私だって一国の女王なわけだし…。余程の緊急事態でもない限りは気にしなくていいのよね。それに…ラファエロの稽古は分身に任せているから気にしなくていいわけだし。あんまり考える事無かったわね。)


「良いわよ。受けてあげる。」


すると、ギルドマスターは頭を下げる。

「拘束期間の長い任務となるが済まない…。」


「別に構わないわよ。」


そしてイリアはまたしても講師の依頼を受ける事になるのだった。





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