小さな異変
イリアは森に戻ると配下の全魔神達に穢れの森含む一定の範囲を【フィーリアス魔神国】とする声明を発表した。
配下達は次々に自身の配下の育成に励み、それでいて土地の改造やら都市の構築を進め始める。そしてその範囲を城壁で囲み、それを更に三重の結界構築をもって終了とした。
三重の結界のうち、1番外側は外敵(ある一定の強さまでの魔物、魔神、または悪意ある人)の侵入または侵略を拒む結界。である。
真ん中の結界は、魔力が外に漏れないようにする結界である。
そして一番内側の結界は国民でないものが探索魔法や探知魔法、索敵魔法、隠密などを行う際、こちら側が誰が発動したかを特定しやすくなる結界である。
そうして、貨幣を全国共通の金貨や銀貨などと統一した。
これらは全て穢れの森の木を伐採した所に建てられている。なのでこの国は実質ダンジョンである。ダンジョンが国として機能する事になるのだ。
そして、貨幣を統一してからはや1ヶ月経った頃、王国との同盟を結ぶ調印式が行われた。
フーバーン国王が表に立ち、反対側には国家の長となり、【魔神女王】となったイリアが立つ。
イリアとフーバーンはお互いに握手し、それを全国に発表する形で閉幕となった。
そんなイリアの所にフーバーンがやってきた。
「魔神女王イリアよ。」
「何かしら、フーバーン。」
「国を興したのだな。」
「まぁ仮にも城があるわけだし、指導者とか長とかの立場的に国を興さない訳にも行かないからしょうがないってのが多いわね。」
「各国の反応が気になる所であるな。それと1つ小耳に挟んで置いて欲しいことがある。」
「何かしら。」
「どうやら、レストレリアン王国において禁忌である異世界召喚の儀式魔法の構築・発動が確認された。」
「それってかなりマズイんじゃないかしら。確かその魔法って生贄を大量に必要とするって聞いたのだけれど。」
「それがどうやら、囚人全員を生贄としたらしいのだ。確かに非人道的であるが、民間人ではなく囚人だ。我々も迂闊に文句を言えんのだ。だが他世界の人民を召喚したのはまた事実。影響は今後どんどん広がっていくだろう。だから対策を練れるのならば練っておいて欲しい。我々もそのつもりで動き始める。」
少し長考したのち、イリアは同意した。
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レストレリアン王国にて
「どこだよ!ここ!」
「教室にいたら急に!」
「なんかそこに人がいるぞ!」
「みんな落ち着いて!」
「帰せよ!」
「申し訳ありません。現在こちらに悪しき魔王が世界を脅かしております。勇者様がたを召喚させてもらいました。どうか我々に協力しては下さらないでしょうか。」
深々と頭を下げる女性。
「帰る方法はあるのですか。」
1人の大人がその女性に聞く。
「魔王の持つ転移の書を持ってすれば帰還することが叶います。現在魔王エンゲルという悪しき魔王が世界を脅かしております。」
「その魔王エンゲルってやつを倒せばいいのか?」
「そうでございます。」
「魔王って言うからには1人だけなんだよな。」
「いえ、魔王は複数存在します。」
「なら、ほかの魔王に頼めばいいじゃないか。なんで俺らを呼び付ける。」
1人の学生がその女性を批判する。
「人間の【勇者】と【大賢者】しか使えぬ【神秘魔法】【言霊】を使う事でしか倒す事が出来ないのです。そして召喚された勇者様方にはその可能性が我々この世界に住まう生物よりはるかに高いのです。」
「どうか、お願いします。」
その女性は涙ぐみながら深々と頭を下げる。
そこに1人の男子高校生が前に出る。
「我々がその魔王、世界に悪しき影響をもたらす魔王を倒しましょう。」
のちにこの男が勇者となる。
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穢れの森のダンジョンにおいて
空間にヒビが入る。そして何かのゲートが開かれる。
その中から複数の人が出てくる。
「よし!ここはE級の反応を示した新しいダンジョンだからな!弱いだろうが気を引き締めていくぞ!」
その複数の人はこの世界とは似ても似つかない服装をしているのだった。




