大狂騒編 その3
1ヶ月以上も間が空いてすみません…。不定期更新になるかもしれません。
(さっきより削れてきたようだな。)
そう思ったのか、ガゼルは次の一手に賭ける。
「おい、お前ら。俺が次で決める。シータイガーはかなり疲弊してるようだしな。少しだけヘイトを稼いでくれ。俺が最後に決めてやる。」
と言い、ガゼルは構えの体勢に入る。
仲間達もそれを察したのか。ガゼルから注意を逸らすために、ガゼルの放つそれより強めの殺気や魔力を放出し、ガゼルに意識を向けさせないようにする。
「【筋骨強化】【身体剛化】【咆哮】【瞬発】【閃撃】【鋼鉄化】【魔法の衣】【霹靂】【肉体苦痛緩和】
【蓮華連撃】」
「【剣撃魔法】剣閃修羅!」
10個のスキル同時使用ののち、放たれるガゼルの最終奥義。ガゼルの肉体の限界を超えて放たれるその一撃はシータイガーを包み込み、バラバラに切り裂く。
シータイガーは避ける間もなく、ブロック状に切り刻まれ、大量出血し、死に絶える。
しかし、肉体の限界を超えたため、ガゼルも放ったのち、意識を失う。
その一撃を感じてか、イリアはギガントを殴りつけ、はるか後方に吹き飛ばして、ガゼルの元に降り立つ。
「あなた、とても素敵な技を放つわね。でも気絶しているようじゃまだまだよ?だからこれをあげる。」
【創造魔法】【気絶無効】を創造。【干渉魔法】ガゼルに【気絶無効】を付与。
「これであなたはその一撃の後に気絶することはないわ。あとは胆力で痛みに耐えなさい。」
そう言い残して、吹き飛んだギガントの所まで戻る。
「ねぇ、ギガント〜。あなた、それでも魔神なの?弱すぎない?うちの魔神達でももう少し硬いわよ?たぶん。」
(ほかの魔神に会った事もないからあれだけども。さすがにあれは柔らかすぎよね。よくあんな脆い腕で大岩持ち上げて投げ飛ばせるわね。)
「アナタサマハ世界ヲ壊スヲツモリカ?」
「なんでそんなことをしないといけないのかしら。強くなる意味は生き残るために決まってるわ。壊れた時は大地の再生でもすればいいじゃない。」
「大地ノ再生ナドワレラニトッテハ命ヲケズル行為ダ。ソウ簡単ニハデキナイ。」
「そりゃあなた程度の魔神じゃ命を削りながら再生させるわよね。まぁこの話は置いといて。さっさと憤怒を使ったらどうかしら。結構煽ってるつもりなのだけれど、なかなか使ってくれないわねえ。憤怒ってもしかして自我無くしちゃうようなスキルなのかしら。」
「デハツカッテヤロウ。」
イリアはギガントから発する覇気が増した事に気づき、とりあえずどのくらい伸びたか覗く事にした。
名前:ギガント
種族:巨石像型魔神
レベル:1760
体力:18億
魔力:0
攻撃力:17億
防御力:49億
機動力:400万
状態:憤怒
スキル:剛腕LvMax、鉄壁LvMax、要塞LvMax、投擲LvMax、魔法攻撃無効Lv-、自動再生LvMax、幻惑LvMax、透明化LvMax、殴打LvMax、森羅万象LvMax、金属化LvMax、眷属召喚LvMax、言語理解Lv-、千里眼LvMax、眼力強化LvMax
大罪スキル:憤怒Lv-
「100倍伸びた感じなのね。まぁそれでも別に大したものじゃないのね。でもまぁ経験値もっと貰えそうね。」
「デハユクゾ。【殴打】【剛腕】【金属化】【眼力強化】」
威力が100倍増したギガントの攻撃が迫る。
イリアは躱しても良かったが、自身の後ろにガゼル達が居ることを考え、躱さずに相手の攻撃の威力を減衰させることを考える。
(そうだわ。これを使おうかしら。)
「【停止の魔眼】【神速】【身体剛化】」
ギガントは突如動けなくなった事により、少し焦るも、
「【鉄壁】【自動再生】【幻惑】【眷属召喚】」
突如、空間が裂け、そこから小さなゴーレムが10体ほど出現する。そのゴーレム達の強さは憤怒前のギガントの10分の1だ。最後の足掻きという奴だろう。
「悪あがきとか醜いわ。私は今何も装備してないのに防御しか勝ててないなんて、ほんと哀れね。」
「じゃあトドメかしら。【回死魂】。」
その一撃はギガントにあっさりと触れ魂を抜き取る。
その魂を飲み込むと、まるでスイーツを食べたかのような甘さとともに口の中がスッキリする。
死体となったギガントを見て、
「色々惜しいスキルがあったわね。欲しいわ。貰おうかしら。【強欲】。」
(イリア・フィーリアスはギガントの死体から【憤怒】、【投擲】、【眼力強化】を奪い取りました。)
(イリア・フィーリアスは290億経験値を獲得しました。レベルが623から815に上がりました。【反射障壁】を獲得しました。)
「やっと私も単独で魔神を倒せたわね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前方側では、唯一押し通られたデストロイナイトによる蹂躙が始まっていた。抵抗する冒険者を串刺しにし、その死体を生存者に投げつける。奇襲をかける盗賊もデストロイナイトには見えており、あっさりと殺されてしまう。
突如、デストロイナイトが黒い繭に覆われる。
驚いたようにヴァイラが発する。
「あれは進化ですね…。冒険者が殺されすぎました。恐らく進化条件を満たしたのでしょう。アイシャやイリアに応援を要請してください。右翼側と左翼側の陣営は後方に避難してください。これ以上相手に経験値を渡してはなりません。」
そして10分ほど経ち、繭が無くなった時には先程とは違った姿になっていた。




