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TS転生した吸血鬼が色んな血を取り込み平和に暮らしたい冒険譚  作者: 月姫ステラ
3章 ダリオン王国 大騒乱編
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酒場と冒険者と仲間

イリアは起床し、身支度を済ませ、8階へ降りる。朝はバイキングだった。

「甘いものが多いわね…。パンにサラダにジャムにマーガリンに目玉焼き。あら、おにぎりがあるわ。」


(もしかして昔日本人が伝えたのかしら。)


「ねぇ、シェフさん、この白いものは何かしら。」


「これはオニギリです。どうやら300年ほど前、やってきたタツヤ・キシベという薬師が伝えてくれたもので、中に梅干しや昆布などを入れたものが流行りましたね。それが今でも伝えられてるそうで。」


「へぇ〜。そ〜なのね。それじゃあ3つ貰おうかしら。あとはこのパスタにヨーグルトにオレンジをっと。」


「イリア様はよく取られますね。」


「えぇ、やはり朝はとてもお腹が空くのよ。」


シェフとの会話を終え、机に戻り、食べ始める。

オニギリは塩にぎりと梅干し、それに昆布を選ぶ。


1口ぱくりと食べる。

日本で食べたような梅干しの酸っぱさとは違い、少しこの世界の梅干しは辛いようだ。塩にぎりはちょっぴり塩辛いおにぎりだ。昆布はそのままだった。もしかして日本で育てている昆布の製法と同じなのだろうか。


パスタも1口食べる。見た目からして想像はついていたが、どうやらナポリタンのようだ。


パンはクロワッサンにメロンパンだ。チョコはあまり無いらしい。高級品だそうだ。それなら使えばいいのにと思ったが、王族が独占しているようだ。それならしょうがない。今度ラファエロの稽古依頼を受けた際に貰うとしよう。


腹6分目くらいか。まだ食べ足りない。おかわりをしに行く。野菜や鶏肉のおかわりだ。スイーツではミルフィーユを選んだ。


どうやら地球にあったものがこちらにも多く流れてきているらしい。

後でシェフに聞いたが、ここにあるメニューの大半はケンジロウ・ハマベというシェフが伝えたらしい。


日本人関わりすぎでしょ。どうやらそのことから1つの可能性が浮かび上がる。

(もしかして私みたいな異世界転生だけじゃなく、異世界転移も居るかもしれないわね。)


そういえば流れている曲も地球のクラシックだ。

このホテルにあるトイレも水洗トイレだった。


(地球さまさまね…。)


そんなことを考えながら完食する。


「今日も美味しかったわ。ありがとう。」


今日は8階には客が私しか居なかったからあれだったが普通は寝巻きのまま来ないらしい。

とても恥ずかしかった。


シェフ達はとある話で盛り上がっていた。

「今日の朝バイキングに来た宿泊客やばかったなぁ…。」


「寝巻きのまま着てましたねぇ…。アレ色気ありすぎでしょ。でもまぁあれまだ若いでしょ。」


「最初誘ってるのかと思いましたよ。それでも所作に関しては王族のそれでしたね。」


「この前の夜に来てた時は、黒薔薇を着てましたね…。あれめちゃくちゃやばいですよね、最低でも王貨100枚はしたでしょうね。王妃様が着ているのも王貨80枚したと言われていますし。」


「確かに王妃様の着ていた黒薔薇より更に装飾があったな。確かに高いのかもしれない。」


そこに世間知らずの新人が聞く。

「あれって本当に黒薔薇なんすか?」


「当然だ、腰の辺りに黒薔薇の模様が2箇所あっただろう。あれは本物だ。あの模様、魔力を当てると赤黒く光るんだ。」


「俺も気になってあの服に向かって魔力当てた事あるんだ。この前の夜だよ、夜。そしたらよ、案の定、赤黒く光った。あれは凄いな…。」


「ちょ、おま失礼じゃないか。」


「失礼って…そりゃ特に攻撃もしてないし魔力を服に当ててみただけだから何も言われてないぞ。」


「勇気あるっすねぇ…。自分も聞いてみるっすわ。」


イリアは部屋へと急いで戻り、速攻黒薔薇に着替える。


「寝巻きのまま降りてきたのを忘れていたわ…。恥ずかしいミスをしたわね…。」


「次は間違えないようにしないとね。」


そして冒険者ギルドに向かう。途中色んな店を見て回った。花屋、八百屋、肉屋、鍛冶屋、書店などである。


何と鍛冶屋には異世界あるあるのドワーフが居た。

身長は私より少し低いが、それでも大柄で長い白ひげを生やしていた。


しかしどれもしっくりとは来ない。白神の長剣と黒神の長剣に比べたらどれも普通の作品だ。どんぐりの背比べと言ったところか。


しかし、一つだけやばいものを見つけた。

「ねぇ、店主さん。この篭手、買えるかしら。」


「ん?なんだ嬢ちゃん。あんた職業は。」


「私は魔闘士よ。Aランク冒険者ね。」


「ほぅ!魔闘士とは珍しい!しかもAランクか。それならこの篭手はいいぜ!遺跡で発見されたもんだけどよ、付ける条件も意味不明なのにやたらめったら強い効果を持ってるんだよ。」


「その効果、見てみようかしら。」


名前:邪神の篭手

能力:攻撃力と防御力と機動力を20倍底上げする。

条件:装備対象が魔王Lv9以上であり、異種族で上位爵位級であること。

長剣と装備を重複可能である。

「これ買ったわ。おいくらかしら。」


「金貨にして160枚だ。出せそうか?」


「えぇ、これで足りるわね。


金貨を170枚見せる。


「毎度あり〜!また来てくれよな!」


イリアは鍛冶屋を出る。

(あのドワーフ、なかなかいい物売ってくれるじゃないの。)


「これで更にステータス上がるわね。」


(それにしても魔の気配を最近よく感知されてバレるわね。これ以上バレるとめんどくさいわ。どうしようかしら。

魔の気配が何か分からなくて抑え方のコツを掴めないのよね…。)


溜息をつきながら冒険者ギルド前に着く。

ちょっとした訓練も兼ねて、冒険者ギルドに入った瞬間から全ての人の視界から外れて、横の酒飲み場へ向かう。


案の定、誰にも気付かれずに酒場の所までたどり着く。

特に、認識阻害や隠密などは一切使わず、魔の気配も抑え方は分からないものの、とりあえず気配を自身の体に押し込むという感覚でやってみた。


「ねぇ、マスター。発泡酒あるかしら。」

「お、知らねぇ顔だな。別にいいぞ。銀貨2枚ってところだな。」


「先払いなのね。分かったわ。はい、銀貨2枚ね。」


「ほらよ。発泡酒だ。」

ドンっと、イリアの前に置かれる。

イリアはコップを掴み、一気に飲み干す。


「ぷはー!いいわね、やっぱり。」

「発泡酒が好きなのか、それならあんたが来た時は毎回これでいいか?」


「えぇ、頼むわ。」


「嬢ちゃん身なりがとてもいいようだが、冒険者なりたてか?」

隣の男から話しかけられる。

「いいえ〜、私はこのとおり、Aランク冒険者よ。」


「すげぇな。2つ名はあんのか?」


「いつかは呼ばれてみたいわねぇ…。」


「職業は何なんだ?Aランクっつぅたら精霊術師やら魔法士やら武闘家やらいるけど。」


「私は魔闘士よ。魔法を操る武闘家ってところね〜。」


「もしやあんたに話しかける人が居ないところを見るにまさかとは思うがAランクでソロやってるのか?」


「そうだけど何かしら…。」


「凄ぇな!」

男は左側から左肩に手を置き肩を軽く、手のひらで叩く。


(こいつ、普通誰だろうと肩ポンポンされたら嫌がんだろうに、そういう対応するのも面倒くさそうだな。)


「そういう俺なんだが、俺はジーク・レファス。こう言っちゃなんだが、子爵家の次男坊だ。職業はタンク。ランクはまだBだな。」


イリアは机で俯きながら、口にする。

「私はイリア・フィーリアス。公爵よ。それ以上もそれ以下もないわ。武器は篭手か双剣。それだけよ。」


「こ、公爵かよ…。やべぇな。格が全く違ぇな…。」


「あなたこそ、子爵なのに話し方がそこらの人と対して変わらないわね。敢えてその話し方にしてるのかしら。」


イリアはそこまで興味無さそうに聞く。

「いや、親父の話し方がいつもこうだから自然とそういう話し方になっただけだな。」


とジークは横を見ると寝息を立てるイリアが居た。


「こんな少女なのにAランクか、俺が横に居たら他の奴らもちょっかいはかけてこねぇだろうしな。マスター、とりあえず水1杯くれ。こいつが起きた時用だ。」


「ほらよ、水だ。あんたは起きるまで横に居んのか?」


「とりあえずそのつもりだな。それにしてもこのイリアって子、いきなり発泡酒飲んでそのまま寝ちまったな、酒場だからってちょっと試してみた感じか?」


「だろうな、それにしても嬢ちゃんかなりの別嬪さんだな…。こんな容姿なら男が沢山寄ってくるだろうよ。」


「いや、さっき横に座った時はそこまでだったんだがな、今見るとやばいな。だけど俺は他の奴らとは違うと自負している。だって一応貴族だからな。逆にこいつが心配だ。こんな場所で平気で寝るんだからよ。」


「まぁそうだな…。ってお前もまだ19だろ。」


「へっ。確かにそうだったな。」


イリアが起きた時には夕方になっていた。横に居たはずの男の人は居ない。目の前の店主も居ない。というか、冒険者ギルドに人がほとんど居なかった。

寝すぎたようだ。頭が痛い。もしかすると発泡酒の一気飲みで酔って寝たのかも。と考える。


目の前に1杯の水があった。

とりあえず口直しに飲む。起きるために体を伸ばす。椅子から立ち上がり、歩き出す。

そこにやってきたのはさっきのジークだ。


「お、起きたのか?」


「えぇ、やっと起きたわ。初めてのお酒で一気飲みはダメね…。それに弱いみたい。」


「一応そういう時は場所は考えた方がいいぞ。場所によっちゃお持ち帰りされるからよ。」


「忠告ありがとうね。」

笑顔を見せる。

「お、おう。そういやなんで冒険者ギルドに来たんだ?」


「あ、そうだったわ。依頼があるか確認しようと思ったのよ。寝ちゃってて少し忘れてたわ。」


とりあえず歩き出そうとするも少しふらつく。

ジークが横からそっと肩を支える。

「ありがとう…。まだ酔いが抜けてないのね。」


「とりあえずイリアは受付まで行くんだろ。支えるぞ。」


「お言葉に甘えようかしら。」


イリアは支えてもらいながら受付まで行く。

目の前には【天眼】のマイシャが居た。


「おや、どうされましたか。こんな夜に、ジーク。イリアちゃんを夜這いにでも来たのですね?」


「そんなんじゃねぇよ。こいつ酔っててふらついてるから支えてるだけだ。」


「ねぇ、私になにか依頼来てるかしら。」


「来てますよ、昨日の夜には来てましたね。依頼主はフーバーン国王ですね。内容に関しては息子である第一王子ラファエロ様の稽古依頼です。」


「そうなのね…明日行くって言っといてもらえる?」


「分かりました。では今からイリアさんはそこのジークとするんですか?」


「何をかしら…。あんまり頭が回らないのよね…。とりあえず転移で戻ろうかしら。」


「イリアは転移が使えるのか?」


「そうだけれどどうかしたのかしら。」


「いや、ずっとソロだとあれだから俺とチーム組まねぇか?って考えたんだけどよ。俺もまだソロでよ。」


「タンクでソロって凄いんじゃないかしら。ねぇマイシャさん、あなたもそう思うんじゃないの?」


「確かにタンクでソロなら相当場数を踏まないと難しいですね。ご自慢の肉体で暴れてるんでしょうか。」


「まぁそうだな。それでどうだ?俺は今後、色んな国を回るつもりなんだが、」


「私目当てなんだったらやめてもらえる?後で後悔する事になるわよ。」


「俺は例え魔族でも獣人族でも構わん。誰か信頼のおける仲間が欲しい。それが本音だ。」


「それだったらまぁ、考えておくわ。」

「おぅ、ありがとうな。俺はそろそろ家に戻るわ。」


ジークは家に戻る。

イリアも眠過ぎて家に戻って寝た。



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― 新着の感想 ―
前の話でも使ってたけど、あんちゃんって兄ちゃんって意味だから女性に使うものではないのでは?
めっちゃ前のエピソードで酩酊耐性とってなかった?
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