ダリオン王国 王都のギルドマスターとの邂逅
3章のスタートかな
魔物の森に入って1晩経った。
出てくる魔物は雑魚か、何故かいる竜か。
まぁどちらにせよ、称号:転生者で獲得経験値25倍になるので、経験値には困らない。
とりあえずハーヴェイさんを安全に王都まで送り届けなくてはならない。
「ねぇ、ハーヴェイさん。なにか面白い話とかあるかしら。こう何も無いところをただただ突き進むのも飽きてきたわ。」
「それなら御者やってみるか?」
「やってみたいわね。気分転換になりそう。」
「とりあえず、馬に繋いでるロープを離すことはダメだ。そして暴れそうな時はロープを引く。あとは慣れるしか無いな。」
「単純だけど馬に少し意識を割いているのね。」
(そうだ。なにか話す系のスキルをいくつか確保しようかしら。いつか必要になりそうだし。)
(【念話】、【読心】、【読心無効】を獲得しました。【読心無効】を無効神に統合しました。)
「この馬の名前はなんて言うのかしら。」
「こいつはビリーだ。それがどうかしたのか?」
(ねぇ、ビリー。今なにかしたい事あるかしら。)
(え!なんか話しかけられたんだが!俺っちの声が聞こえてるのか!?)
(えぇ、そうよ?今ね、ハーヴェイさんに馬の扱い方について教わってる最中なのだけれど、あなたの扱い方を少し知りたいのよ。教えてくれたりしないかしら。)
(俺っちはこのペースよりもっと早く進めるぜ!でもよ。ハーヴェイの旦那が遅すぎてよ。動き足りないんだ。だからよ。スピードをあげて欲しいんだ。)
(じゃあ今から私が御者をするから私に手取り足取り教えて貰えるかしら。)
(美女に教えるなんてそんな幸運、俺っちが見逃すはずがない!任せな!そんで、あんた名前は?)
(イリアよ。もしかしたら今後たまに護衛任務を受ける際に御者する事になるかも?しれないし、教えてくれる?ビリー先生…?)
(それじゃあ、俺っちが合図した時にロープを少しひいてくれ!俺っちは顔が下がるタイミングで引いてくれ!それだけだ!あとは動かしすぎると脚が疲れるからその時はまた合図送るぜ!)
(えぇ、それじゃやってみるわね。)
馬車はゆっくりと動き始め、やがてスピードが上がる。
「イリアちゃん、ちょっとスピード早すぎやしねぇか?」
「ビリー君は早い方がいいみたいよ?色々教えてくれて嬉しいわ。」
「え?馬と話してたのか?念話スキルでも持ってるのか?いやそれだけじゃ足りないな。言語理解も持ってるのか。すげぇな。」
「そういえばハーヴェイさん、やたらスキルに詳しいわね。ずっと商人をしてたのかしら。」
「いや、昔は冒険者をしててな。その関係でスキルに詳しくなっただけよ。て言ってもBランクまでしか上がらなかったけどな。」
「Bランクまでいったのね。流石じゃないの。もしかしてその時に今の奥さんに出会ったのかしら。」
「俺が盗賊達から助けたのが最初の出会いだな!向こうの一目惚れもあったらしいが俺も惚れちまってよ。同時に告白したのが始まりってわけよ。」
「なんともびっくりな出会い方ね。それでもしっかり今も愛が続いてるなら安心ね。」
「イリアちゃんもいずれそういう人に出会えるんじゃねぇか?まぁそこに性別も種族も関係ねぇけどな!」
高らかに笑うハーヴェイさんに少し微笑むイリア。
「今、気になるヤツとか居るのか?」
「全く居ないわね。そそる人も居ないわ。ハーヴェイさんも優良物件かと思ったけれど、奥さんが居るならしょうがないわね。」
「俺やっぱりまだモテるんだな…。ヒゲに気をつけててよかったぜ。」
「娘さんはまだ若いのかしら。」
「まだ4歳だな。子供って感じがして1番いいが反抗期っぽくてな。」
「その時あまり髭を娘さんにジョリジョリしない方がいいわよ。嫌われるから。」
「まじか…まだやった事ないからセーフだが、いい事を聞いた。しないように気をつけよう。」
(イリアちゃん!そろそろロープを!)
(はーい。分かったわ。)
ロープを引く。
「ん?ロープを引いたのか?あー。念話で確認を取ってたのか。」
「ビリー君の頭が下がり出すタイミングでロープを引くといいらしいわよ。ビリー君が言うから間違いないわね。」
「今度試してみるか。」
こうして3日かかる所を一日半で通り抜け、王都の城壁が見えてきた。
「高い城壁ねぇ。でも城壁は脆そうね。」
「あれが脆いか?笑」
「えぇ、小突いただけで割れちゃいそうね。」
「あとは、王都にSランク冒険者が6人ほどホームにしてるんだ。だからこそ大狂騒でも対応出来るんだよ。」
「SSランクって誰がいるのかしら。」
「SSランクは剣神や魔皇、あとは賢者や光忍などだな。最近だと剣聖がSSランクを蹴ったって聞いて王都でも話題だな。」
「2つ名持ちが多そうね。」
「Aランクに到達してる奴は大抵2つ名持ってるぞ?そういやイリアちゃんの2つ名聞いた事ないな。」
「えぇ、そうなのよ。べつにそこまでいらないのだけれど。」
「でもまぁ名声が手に入るって意味であってもいいと思うけどな。」
「名声ねぇ…。今はそこまで必要じゃないのよねぇ。」
「でもまぁ王都で活動し始めたら嫌でも2つ名付くからな。そこら辺は覚悟決めといた方がいいぞ?」
そんな話をしながら王都の関所に到着した。
そして門番に話しかけられる。
「そこの馬車の2人、通行証、または冒険者証はあるか?ないやつは銀貨2枚だ。」
ハーヴェイは通行証を。イリアは冒険者証を見せる。
「お、見ないAランクだな。これから王都で活動するのか?」
「えぇ、そうね。これからよろしくね。」
「あ、ああ。こちらこそ頼む。それでハーヴェイ。やっと帰ってきたのか。アルザスでの商売は順調か?」
「おぅ!完売したからな。やっと帰ってきたわけよ。本当はあと2日ほどかかると思ったんだがよ。俺の馬の操作が悪かったのか、イリアちゃんの操作が上手いのか予定より早く着いちまってよ。」
「ハーヴェイさん、仲良さそうね。」
「まぁ同じ元冒険者兼たまに飲んだくれる酒仲間だからな。」
「それは楽しいわね。私もお酒飲めそうなら飲んでみようかしら。」
「ん?イリアちゃんまだ子供だろ。水かジュースにしときな。」
「まぁまた後で話聞かせてくれや!ハーヴェイ!」
「おぅ!後でな!」
門をくぐり、王都内に入る。
王都の街並みはレンガ作りの家が立ち並び、道も整備され、横には木が植えられ、馬車が通り、人が通り、賑わっている。建物自体は中世のような作りだが、魔法により色々と進化・成長しているようだ。王都内にも学園はあるようでアルザス内にある学園の数倍は広いらしい。
イリア達は道を進み、角を曲がり、1つの店の前に止まる。
そこには『ハーヴェイ本舗』と書いてある。
「帰ったぞ〜!アリーナ!メリッサ!いるかぁ!」
家の中からタッタッタッと音が聞こえ、
「パパー!おかえり〜!」
ハーヴェイの右膝に抱きつく。
「あらあら、おかえりなさい、あなた。」
「おぅ、メリッサ。ただいま。」
「それで後ろの方は?」
「アルザスから王都まで護衛で来てくれた冒険者だ。」
「私はAランク冒険者のイリア・フィーリアスよ。よろしくね。」
「あらあら、ご丁寧に。私はハーヴェイの妻のメリッサ・シリタスです。こちらは娘のアリーナ・シリタスです。それにしてもお召し物がとても豪華そうですね。もしかしてかの有名な黒薔薇の服ですか?」
「えぇ、知人から貰い受けたのよ。それで今はこれを着ているのよ。」
「えぇ、王都でも黒薔薇の服を着ているのは皇妃様だけですし。」
と、イリアの下から声をかけられる。
ふと舌を見ると笑顔のアリーナちゃんが、
「お姉ちゃん!ご飯食べよ〜!」
「いいのかしら、メリッサさん。」
「えぇ、良いわよ。アリーナ?お皿を用意してくれるかな?」
「はーい!」
トタトタと皿を机に置きに向かったようだ。
「私はまず依頼終了の報告をしないといけないわね。」
「ん?それは後でもいいぞ?先に食べてからでいいぞ。」
「なら、お言葉に甘えて昼餉をいただこうかしら。」
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昼の2時を過ぎた頃、ハーヴェイさんの家で昼餉をご馳走になった。アリーナちゃんが、あーん、とスプーンを差し出してきて、少し戸惑いながらも食べたり、たわいのない話をして盛り上がった。
そして、王都内の冒険者ギルドに向かうためにハーヴェイさんの家を出る事になった。
「お姉ちゃん!また来てね!バイバーイ!」
「また来いよ?うちは商店だからな。欲しいものがあった時に見に来てくれ。」
「えぇ、分かったわ。それじゃハーヴェイさん、メリッサさん、アリーナちゃん、またね!」
イリアは家を出てギルドへ向かう。
銀髪赤眼は目立つのか、街ゆく人達がチラ見する。
なにかトラブルがあるのかと思ったが特になく、ギルドに到着した。
ギルドのドアを開ける。
中はアルザスの支部内より広く、そして人も多い。受付嬢も倍くらいいるようだ。
とある受付嬢に話しかけられる。
「おや、こちらに初めてこられた方ですか?」
「えぇ、そうなのよ。どこが依頼の受付か分からなくて困ってたのよ。」
「でしたら私のところですね。それで依頼を出しに来たのですか?」
「いいえ、依頼が終わったので報告に来たのよ。」
イリアは依頼書と冒険者証を提出する。
「あら、Aランクの方でしたか。ソロのようでしたのでもう少し低いかと思ってましたが、流石ですね。でもギルドに入ることも考えた方がいいですよ?」
そして依頼と確認が済んだのか、
「はい、こちら、金貨150枚です。どこか宿に泊まられますか?もしそうでしたらここから出て左手に進むとロイヤルホテルがございますよ。」
「えぇ、ありがとう。」
と、ギルドの外に向かおうとすると話しかけられる。
「おい、そこの女。お前がAランクだと?有り得ねぇな。不正だろ。」
「バッカスの旦那!不正野郎は締めてやりましょう!」
(凄い言いがかりね。とりあえず逆に締めれば面白そう。)
「それで?何か用かしら。ここでもいいけど、建物の損害費用は負けた方が払うって事でいいかしら。」
「は?不正野郎は死ねえぇぇぇ!」
バッカスは【剛腕】【轟速】で殴りにかかる。
イリアは欠伸をしながら腕をはねのける。
「やめてもらえる?遅すぎるわ?殴るならもっと早いのをちょうだい?これくらいね。」
イリアは言い終えたと同時にバッカスの腹に軽くパンチを入れる。しかし大抵の人には今のパンチが見えない。バッカスは派手にドアまで吹き飛び、ドアに激突する。
その音を聞き付けたとある女性が声をかける。
「何事だ!トラブルでもあったのか!」
「げっ!魔皇だ!離れろ!」
バッカスの連れは外野へと離れる。
魔皇と呼ばれた女性は受付嬢に伺う。
「何かあったのか?」
「それが、依頼終了の報告に来たこちらのAランク冒険者の方に対して、Bランクのバッカスが不正野郎と言ってイチャモンをつけてたんです。」
「それで?続きがあるだろう。」
「それでバッカスがそちらの女性に殴りに行ったところ女性がそのパンチを跳ね除けられ、恐らくですが、パンチを腹に入れたのだと思われます。」
「恐らく?パンチなのだろう?なぜ恐らくなのだ。」
「それがそのパンチが一切見えず、そちらの女性がパンチと仄めかしたので、恐らくパンチなのだろうと。」
「へぇ、マイシャでも視認できない動きをするAランク冒険者か。君は誰だ?私はSSランク冒険者でありながらここのギルドマスターのヴァイラだ。」
「あー、さっき魔皇って呼ばれてたけどギルマスだったのね。私はAランク冒険者で職業は魔闘士のイリア・フィーリアスよ。よろしくね?」
(ちょっと覗こうかしら。)
名前:ヴァイラ
種族:人間族
レベル:244
状態:微怒
体力:134万
魔力:260万
攻撃力:216000
防御力:196000
機動力:174000
スキル:魔力操作LvMax、魔力感知LvMax、読心LvMax、叡智Lv-、神眼LvMax、神眼妨害LvMax、神眼偽装LvMax、魔力妨害LvMax、魔闘術Lv4、煉獄魔法Lv4、大地魔法Lv4、水氷魔法Lv7、天雷魔法Lv9、即死魔法Lv2、状態異常無効Lv-、魔法攻撃無効Lv-、精錬魔法Lv4、速記術Lv7、瞬間記憶Lv4、魔力隠蔽Lv7、高速演算Lv4、神聖魔法Lv7、死刑宣告Lv-
称号:魔皇、ギルドマスター、宣告者
知らないスキルがいくつかあるけど今取っておこうかしら。
(【魔力隠蔽】を獲得し、Maxにしました。魔力神へ統合されました。【魔闘術】を獲得し、Maxにしました。【即死魔法】を獲得し、Maxにしました。【魔導書】に統合されました。
【岩石魔法】を【大地魔法】に派生進化し、Maxにしました。【魔導書】に統合されました。)
ちょっと確認でも。
名前:イリア・フィーリアス
種族:侯爵級龍血鬼(魔王)
レベル:14
状態:普通
装備:白神の長剣、黒神の長剣
体力:83億
魔力:109億
攻撃力:3165万(装備時126億6000万)
防御力:2156万(装備時4億3120万)
機動力:845000(装備時1690万)
スキル:異空庫LvMax、変装LvMax、空中機動LvMax、ゲヘナLvMax、回避王LvMax、神速演算LvMax、飛翔LvMax、転移LvMax、ワープゲートLvMax、森羅万象LvMax、多重並列思考Lv6、言霊LvMax、魔法隠蔽LvMax、回死魂Lv-、隠密LvMax、魔導破壊LvMax、魔導書Lv-、レベル吸収LvMax、オシリスの裁きLv-、迷彩化LvMax、無臭化LvMax、無音移動LvMax、波動LvMax、次元斬LvMax、粒子崩壊Lv-、言語理解LvMax、精霊視LvMax、停止の魔眼LvMax、魅了の魔眼LvMax、威圧の魔眼LvMax、保護魂Lv-、神罰Lv-、消滅魔法Lv5、魂喰いLv-、魂魄適応Lv-、隷属魔法Lv4、連携強化Lv3、縮地Lv7、暗殺Lv7、魔闘術LvMax、追憶LvMax、記憶破壊LvMax、念話LvMax
特殊スキル:断絶結界LvMax、魔王LvMax、龍神Lv-、魔力神Lv-、世界樹の魔眼Lv-、無効神Lv-、血神Lv-、メイドLvMax、探知神Lv-、武神Lv-、剣神Lv-、創造神Lv-、守護神Lv-、再生神Lv-、結界神Lv-
称号:転生者、破滅を齎す者、不屈者、容姿端麗、穢れた森の支配者、暴食者、魔王、神と龍の血を受けし者、魂喰らい、多重神
SP:210000
(相変わらずやばいわね。それにしてもこのヴァイラって人もなかなかなのかしら?普通の人の基準が分からないね。でもレベルがかなり高いわね。過去1番じゃないかしら人間の中では。)
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(なんだコイツは。神眼LvMaxなのにステータスが覗けないだと?どういう事だ。しかも魔力が一切漏れていない。魔力がある事は分かるが、漏れないなんて事は普通は有り得ない…。)
「後で私の部屋まで来てもらえるかな。」
「えぇ、いいわよ。別に今からだと暇だしね。王都に着いたばかりで何も巡ってないけれど。あとでもいいかしらね…。」
そうしてイリアはギルドマスターの部屋へ向かう。




