Aランク冒険者と学園と誓い
イリアは特に疲れていなかったが、その晩、ガッツリと寝た。しかしいつも通り早朝に起きる。
「また朝っぱらに起きちゃったわねぇ。日の出まだ来てないじゃないの…。」
朝ご飯を食べる前にダンジョンへ直行する。
もしかしたらバレンの死体が残ってるかもしれない。
そして爆速で移動してダンジョン内に入る。
ダンジョン内は未だ、放射能に汚染されていた。しかし、死体はあった。腐りかけだ。
魔神と言えど、死ねばただの屍ということだ。
体が大きいのか吸い取る血が多い。成長に繋がるのだから無駄には出来ない。
腐っているだろうが、関係なく捕食する。骨まで全て食べ尽くすと、おなかいっぱいになった。朝ご飯代わりになった。
特に何ともなく宿まで帰ってきた。
自分の泊まる宿はこの街アルザスにある安い宿だ。寝泊まり用の宿で食事は無い。寝泊まりには最適だ。こんな宿にこれからAランクになる冒険者が泊まってるとは思わないだろう。
その時、スキルの変化は無かったがステータス自体に変化が起こったのか。突然力が湧いてきた。
(何かしら。スキル自体は特に増えても減っても成長もしてないけれど、レベルも上がってないのに、ステータスだけが伸びたわね。)
名前:イリア・フィーリアス
種族:伯爵級龍血鬼(魔王)
レベル:26
状態:興奮
装備:白神の長剣、黒神の長剣
体力:7億2000万/7億2000万
魔力:11億/11億
攻撃力:1500万(装備時60億)
防御力:1000万(装備時7億5000万)
機動力:500000(装備時1000万)
(なんかとんでもないわね。とりあえず魔力制御をして外に魔力が漏れないようにしなきゃね。)
そして冒険者ギルドに向かう。
待っていたと言わんばかりにイルガさん、ロウガ、アレン達にメイガスにミーアさんがいた。
「よし、集まったな。それではイルガ・ブライトネス!そしてロウガ!お前達をSランクへ昇格だ!」
「そしてイリア・フィーリアスをAランクに昇格だ!」
「そしてアレン!お前はSSランクに昇格だ!」
アレン「SSランクの件に関してだが辞退させてくれ。」
メイガスはなぜと言わんばかりの表情を浮かべる。
「俺は今回、力不足を痛感した。バレン相手にダメージをひとつも与えることが出来なかった。イリアとイルガはダメージを与え、ロウガも的確な分析力と前衛型らしからぬ後方支援を見せてくれた。しかし俺はサポートはほとんど出来ず、肝心の火力枠としては乏しいものだった。だから辞退させていただく。」
(そんな事どうでもいいでしょうに。名誉を得ればいいのになんでそんなチャンスをドブに捨てるのかしらねぇ。)
そんなこんなありながら昇格による冒険者証の配布は終了し、いつも通りの冒険者ギルドに戻った。
イリアは今とても暇にしていた。イリアは伯爵級のため一応貴族ではある。イルガの所に行って、精霊魔法について少し学んでも良かったが、今行っても大丈夫か分からない。
しかし、ずっと後になったが、魔法学園の所に向かった。
【ちなみにイリアがレーナやティシャ達を捕食した記憶はないので生きていると思っている。】
魔法学園の前に来て、とりあえず受付みたいな人のところに行く。
「どうされましたか?魔法学園の受験でしたら1ヶ月後となっておりますが。」
「そうじゃないのよ。ちょっと学生2人ほどに会いたくてね。友達になったからAランク冒険者になったことを報告したいのよね。」
「学生の名前を教えてくださいますか?」
「レーナって子と、ティシャって子ね。」
「え、その2人に会いたいのですか?それでは少しお待ちください。」
そして少しの間待っていると、受付の人と一緒に教師みたいな人が来た。
「君がティシャとレーナに会いたい人か?」
「えぇ、そうよ?もしかしてまずは教師と手続きをしてからじゃないと会えないのかしら。」
「いや、ついてきてくれれば分かる。」
イリアは不思議そうにしながらもついて行く。
そしてついた場所は霊廟だ。霊廟の前に10人の名前が刻まれていた。そこにティシャとレーナの名前も刻まれていた。
「え、なんで…。ダンジョンをどう感じたか聞こうと思ってたのに。嘘ですよね…ここ霊廟ですけど、まさか…そんな訳…。」
イリアは涙を浮かべながら教師を見る。
教師は目を瞑り顔を横に振る。
「どうして助けてあげてくれなかったんですか!」
その教師はこう告げた。
「その日、学生10名と教師1名が謎の魔物に喰われて死んでいたのだ。特にティシャとレーナ、そしてその仲間のライト君の3人の喰われ方が酷かった。3人とも体の半分以上を喰われ、顔が半分も残ってなかったのだ。」
「それならもう少しランクの低いダンジョンにすれば良かったんじゃ…。」
「そもそもCランクダンジョンが1番難易度が低いダンジョンなんだ。その事件があったからこそAランクダンジョンに引き上げてもらいました。」
イリアは悲しみを落ち着かせ、涙を拭き取るのに時間がかかった。ちょっと涙腺を緩めるとまた涙が流れそうだったが堪えて、説明した。
「私達はそのダンジョンで魔神と戦いました。剣聖アレンと漣連合のイルガさん達と、銀糸狼のロウガ達で倒しました。でもそんな捕食を繰り返す魔物は見ませんでした。しかも魔神が追い詰められた時に、【核撃砲】を放ったため、あの一帯は現在立ち入りが出来ません。もしかしたらあの魔法で死んでくれてるかもしれませんが、生きていたら必ず殺します!」
いつもの話し方が崩れ、ただ友達のために宿敵を倒す事を誓った。それは一生叶う事が無いとは知らなかった。




