魔王イリアと魔神バレン
まだまだ戦いは続きます
突然の轟音とともに魔神バレンが現世に蘇る。
「妾の眠りを覚ました愚か者はどこのどいつだ。
その姿塵にして消し去ってくれようぞ。」
アレン「なんという覇気だ!くっ!立つ事がやっとだ…。」
イルガ「恐ろしい気配がしますね。生きた心地がしませんよ。」
ロウガ「こいつ何の匂いもねぇな…戦う奴ってだいたい匂いがあるもんだが…全く感じねぇな。」
3人やそれに続く仲間は同じ事を口にする。
イリアはというと、
(機動力だけなのよね、気にするのって…)
欠伸をかましていた。
「妾の前で欠伸とは随分と余裕なようじゃな。」
(時間はどれくらい経ったのかしら…。眠いわね。)
「人間が12か。今の人間は弱いのう。やりあえそうなのが居ないのは実につまらん。」
アレン「【閃撃】!【身体剛化】!」
しかしアレンの攻撃はバレンの肉体によって弾き返される。
「妾は何も強化しておらぬぞ?その程度か?」
イリアは実力を隠して乗り込んだことを後悔した。
(こいつらにバレるとめんどくさいのよね。でも今ならバレても一緒に戦ったって事で認めて貰えるのかしらね…。ちょっとだけやってみようかしら。)
イリアはバレンに向かって魔法を放つ。
「【時空間魔法】空間断絶」
バレンは異変に気がついたのか、自身を強化して防ぐ。
「【神体強化】!」
バレンの肉体は空間断絶により裂けたかに見えたが、体に一閃の傷が入る程度に収まる。
「妾が傷を…。そこのおなご、何者だ…。【時空間魔法】を行使したな。」
「さぁね〜。私はただの腕に自信のあるCランク冒険者よ?」
「誤魔化すのかえ。ならばこれを食らってみよ。【オシリスの裁き】!」
すかさずイリアも同じスキルで応戦する。
「【オシリスの裁き】!」
互いの望むものがそれぞれ逆であったために相殺された。
アレン達はイリアに対し不信感を募らせる。
「【洗礼】!【卵爆弾】!」
「【神のベール】!【回避王】!【言霊】魔神バレンの攻撃を反射したまえ!」
「【言霊】じゃと!?なぜお主がそれを…。」
「【言霊】ごときでなぜみんなそんなに驚くのかしら。これ使うと毎回驚かれるのはちょっと変よ?」
2人の攻撃はまたも相殺される。
しかしバレンは言霊の効果により反射されたスキルを食らう。
そしてアレンはついにイリアに聞く。
アレン「なぁ、イリア。お前マジで何者だよ…。俺らに見せてないスキルばっかり使ってるけどよ、本当はもっと強いんじゃねぇのか?」
イリア「私はあなた達と、あなた達が住む街の住民達と仲良く過ごせればそれでいいのにそこに突っ込むのは辞めてもらえるかしら。」
アレン「じゃあ単刀直入に聞く。お前は魔物側か?」
イリアは猛烈にため息をつく。
バレンも仲間割れかとこちらを顰める。
バレン「お主、魔物のくせに人間の仲間を気取るのか?」
イリア「別に良いでしょ。私は人間達が好きだからそうしてるだけなのに…。」
「じゃあ私のを見て納得してくれるかしら。」
名前:イリア・フィーリアス
種族:子爵級吸血鬼
レベル:75
状態:高揚
装備:白神の長剣、黒神の長剣
体力:4962万/4962万
魔力:7020万/7020万
攻撃力:2010000(装備時8億400万)
防御力:1430000(装備時2860万)
機動力:156000 (装備時312万)
「これでいいかしら。」
バレンはイリアのステータスを見て、驚きをみせる。
アレン「お前、吸血鬼だったのか…。しかも子爵級。」
イルガ「とてつもない数値ですね…。私は味方であるならば別にいいと思いますけどね。」
ロウガ「お前やっぱり人じゃねぇと思ったら魔物か!匂いがほとんどしねぇと思ったらよ。」
イリア「匂いに関しては【無臭化】のスキルを持ってるからなのよね。」
アレン「魔物風情が人間と仲良く暮らすだと?笑わせるな!魔物は人間や獣人の敵だ!」
アレンは怒鳴る。イルガやロウガは困惑する。
バレンはひとしきり考えたのち、ひとつの答えを出す。
「のう、おぬし、その実力から察するに魔王か?昔我を倒そうと勇者達が出張ってきおったが、その時に複数の魔王達が共に我を討伐せんとやってきおったが。」
アレン「イリアが魔王だと!?」
イリア「めんどくさいわね。さっさとけりを付けて魔法学園の友達のところに向かいたいのだけれど。」
「【龍鱗】【龍魔法】龍撃強化【龍魔法】龍爪【龍魔法】龍加速
【魔力金剛体】【身体剛化】【天雷魔法】迅雷【剛腕】!」
イリアは火力特化の脳筋パンチへと出る。
バレンは【神の裁き】を発動するも時空を歪められ、失敗に終わり、【神体強化】も間に合わぬパンチをもろに食らう。
バレンは100m以上後方に突き飛ばされる。腹に大穴を開けた状態で。
バレンは体力を大きく減らしながらも立ち上がる。
1650万→975万
「妾がここまで傷を負うのは久しぶりよのぅ。それに龍魔法を操るとは…吸血鬼と見えていたが、本当は違うのか?」
(こいつやけに鋭いわね。めんどくさいったらありゃしないわ。でも私の神眼が妨害されたり、スキルによる攻撃が相殺されたり割と全力の攻撃とかを耐えると頃を見るとついボロスのことを思い出しちゃうわね。また死戦が経験できるという事ね。)
アレン達はただ呆然と2つの怪物が争うのを見ていた。
片方が動いたと思ったら片方が吹き飛び、また片方が動いたと思ったら片方に空気の衝撃が走る。
アレン「俺たちは誰と一緒に戦ってたんだろうな…。」
そんなアレンの言葉にイルガ達は返答できずにいた。ロウガも何とか言葉を絞り出すが、「神話の戦いでも見てるんじゃねぇのか…。俺らはよ…。」と。
イリアも久しぶりに戦いに高揚していた。
イリアが猛烈に体力を減らすのはボロス以来でつい張り切っていた。
そしてバレンは次なる攻撃を放つ。
「【崩壊】!」
イリアは直後、気絶した。