第四話 襲撃
ご主人様には、少しよく分からない所がある。
いきなり魔物解剖しようとか言い出すし、昨晩から部屋に籠りっきりで出てこないまま、朝を迎えたし。
『一体何をしてるんだか…』
「完成したぞー!!」
部屋から大声が聞こえてきた。何が完成したと言うのか。
それを探るべく、私はご主人様の部屋へと向かった。
『入りますよ』
「いやいい! 俺が開ける!」
そう言って姿を現した彼の目の下は、漆黒に染まっていた。
『えクマすご…まさか寝てないんですか?』
「そんなことより見てくれ、魔物除けスプレーだ!」
ご主人様が手に持っていたそれを高く掲げる。間違いなく深夜テンションだ。
『あぁ、そのための解剖だったんですか』
「そうさ。これを辺りに吹いて回るだけで、雑魚の魔物は近づかなくなる! どうだすごいだろ!」
確かにすごい。これ一つでこの領の問題が全て解決する。
「さて、それじゃゆっくり眠るとするか」
『いや朝ごはん作ったんで食べてからにしてください』
「もうそんな時間か…」
彼はそう言いながら、フラフラと部屋から出て来るのだった。
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時刻は午後三時。寝起きである。
「……とまぁ、このように使う。プロッペに装着して空から撒くから、もう安心して外に出ていいぞ!」
おぉ~、と領民達から歓声が上がる。反応は上々だ。
現在俺は、家の前に領民達を集めてスプレーのプレゼンを行っている。
安全の確保が可能である事をアピールし、フラヴィに活気を持たせようという魂胆だ。
「ある程度の魔物ならこれで防げる。あんまり強いのには効かないけどね。じゃ、これにて解散!」
領民達がゾロゾロ帰っていく。皆嬉しそうだ。
『良かったですね、ご主人様』
「あぁ。ココが活気づくのも時間の問題だろうな」
領民達の背中を見ながら、いつかのフラヴィに思いを馳せる。
「さて、俺はもう一眠りするかな」
『夜眠れなくなりますよ』
二人の笑い声が、晴れた空に響いた。
……少し、うまく行きすぎな気がした。
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