第十一話 火蓋
「こんにちは、領主のフローデだ」
翌日、俺は領民たちを集めて、送られてきた手紙のことを話した。
「……ということだ。俺は、みんなが傷つくようなことがあって欲しくない。だから、もし国軍を迎え撃つことに反対なら、俺はなんとかアイリスを説得して帰ろうと思う」
「納得するつもりないけどな」
アイリスが付け加えた。
「みんな、どうかな」
静寂。
もし帰ることになれば、俺はまた父兄にいびられる日々に逆戻りだ。
でも、みんなの日々が守られるなら。
俺はそれに甘んじようではないか。
覚悟を決めたその瞬間だった。
「……俺はッ!」
言い切りの良い主語が、静寂を破った。
「俺は、領主さんに、命を助けてもらった! だからこの命で国軍を迎え撃つぜ! 皆だってそうだ! 一人一人が、領主さんのお陰で、豊かな暮らしができるようになった! 反対の奴なんていないぞ!」
そう言ったのは、病院で俺に謝ってくれたおじさんだった。
「そうよそうよ!」
「国がなんだ!」
「俺たちの力を見せてやるぞ!」
「あんなとこでメイドなんてもうやりたくない!」
やいやいと、賛成の声が勢いを増してきた。
「ご主人、そこをどきな!」
俺は演説台から引きずり下ろされ、代わりにアイリスが登壇。
続いて空高く拳を突き出し、叫んだ。
「私らでフラヴィを守るぞ!」
オォー!! と歓声が響き渡る。
領の総意は固まった。
あとは、作戦を練るだけだ。
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その三日後の王都。
「返事……来なかったな、親父」
「ああ。準備はできている」
王城のバルコニーから、綺麗に列に並んだ兵士たちを見下ろす、ドフラーゴとドット。
ドフラーゴは、息を大きく吸い、叫んだ。
「これより、我々はフラヴィへと攻め込む! 目的はアイリスの奪還! だが、アイリスは強いのでそうもいかない! そのため、まずフローデを人質にし、それでアイリスをこちらへ引き戻す! いいな!!」
ウオォー! と兵士たちの雄叫びが響く。
決戦のときは刻一刻と迫る。




