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16話 呪いについての考察・検証2

 場所はユンハンス宅の研究室。こちらでの当面の作業場所になるだろう。

資料も十分揃っている。信じられない位のサイズの図書館から探し出すよりは現実的で良い。


「外せなくて、確か切るとくっつくんでしたっけ。」

「はい。」

「傷がくっつくまではどれくらいで?」

「痛くてそれどころじゃないので分かりません。」


ま、そうだよな……。

これできっかり計測が出来てると逆に怖い。


「っていう事は切った後に外すそうとした試しも。」

「無いですね。痛くてそれどころじゃないので。」

「薬指って結構大事ですもんね。」

「流れで小指も一緒に切り落とすことになってるので余計に……。」


聞いているだけで痛い。

あまり詳しくは聞いてあげたくないのだが、聞かねば話が進まないのも事実だ。

申し訳ないが続けてもらう。


「どういう風に癒着する? 聞くに自分からつなぎ合わせてる訳じゃあなさそうだが。」

「切り落とした部位が寄ってきます。ナメクジのような速度ですが。」

「くっつくまでに何か対処が出来ればあるいは、か。」


そんな力業でいいのだろうか? とは思ったが、装備品由来の呪いであればそれで解決する事が多いそう。であれば手っ取り早くていい。

もっとも僕の例には応用できないが、だからと言って解決を先送りにするほどじゃあない。

呪いなんか無いに越したことはないのだ。


であれば……協力すべきだろう。


「――。」


僕、リーシャ、リザの3人の中でなくとも、切ることに関してはかなり得意な自信がある。

力はこういう時にこそ使うべきだろう。


「傷口を焼くとかはどうだ? 確かそんな竜が伝説に。」

「試してませんね。痛くて……でもやってみる価値はありそうです。」


自然な流れで抜刀する。

一応、こちらに来て最終兵器より取り回しのいい物を用意した。

刀身は背中の物より一回り小さく反りもない。

装飾もないシンプルなものだが、こういう物ほど信用できる。


ちょっと高かったが、学校で自由に使えるお金として渡してくれた物と、

足りない分はリザから出させた。


品質はちゃんとした物で、信頼が出来る。という事はつまりアレが出来る。

ただし気を反らす必要だけはあるが、疑われてなければそういうのはどうとでもなる。


「ちょっと上を向いて。」

「上……ですか?」


小っちゃい方の剣……どっちも名前が無いのややこしいな。

とりあえず納刀した。


「教官。」

「はいよ。」


なるべく音を立てずに指輪の付けている指だけを的確に切り落とした。

僕が切った指を凍らせ、リザが傷を癒す。見事な連携だ。


「えっ……いつの間に。」

「さっき。」


気づかなかったのであれば僥倖だ。

実際に人に使ったことは無いのだが、意識の外から斬る事で痛みを認識させない技術がある。

多分、まともな使い方ならこういう事を想定しているんだろう。


「こうすれば大丈夫かな……凍らせただけだけど。」

「どうでしょう。いつも痛くてうずくまっていたらずり寄ってくるので。」


痛くてそれどころじゃない彼女は置いておこう。

しかし実際のところ、切り落とした部位は完全に静止していた。

そりゃそうだろう。これで動かれても困る。


「……大丈夫そうだな。暫く不便するかもしれないがこのままで。」

「それは勿論です。」


改めてよく見てみる。

根元から斬られ薄ピンクの面が見える手と、分厚い氷に閉じ込められた指。

広義的には指輪は外しているだろう……か?

そうとも言えなくもない気がする。

しかしリーシャさんの様子は変わりない。

特に何も起きておらず、本人もハテナマークを浮かべていた。


「指に付いてる状態だとダメ……ってコト?」

「分からん。が、その辺の作業は今ここではしないほうが良いだろう。」

「やはり人手があると色々な手段が取れますね。」


専門的な事はまだ分からないからその辺りは二人に任せよう。


「これはどうしよう? くっつこうとするならなるべく離した方が良いのかな。」

「気持ち的な意味や保険的には話しといてもいいかもだが、それ自体に意味はあまりないかもな。

隔離出来ればいいが生憎道具が……。」


呪いの調査に来たから封印とかの用意はない……と。そういうもんなのかな。

というか道具あれば出来るのか。

リザって前から思ってたがオールマイティだな。


「リザって何でも出来るんだね。凄い。」

「……まあな。」


目の下の隈のさらに下がやや赤みがかる。

セクハラはするのにこういう事言うと照れるのか。分からんな。


「封じたいのであれば取り寄せる事は可能ですよ。彼女おつかいだけは完璧ですので。」

「じゃあそれまでは……こっちで持っておくか。」

「気合入れれば数日は持つ。多分。」


やったこと無いから分からないけど、一晩で溶けるほど軟弱な氷じゃあないと思う。

魔力を使うは使うから、MP節約の命令は遵守できないけど。


「まあ仕方がない。ここは魔力を使ってしかるべきだと私も思うよ。」

「頑張る。」


今日の呪いに関する調査の進捗はこんな所だった。

一見何も進んでいないように見えるが、外せない指輪を外したんだから進歩だと思う。

僕以外で呪物……つまり呪われる原因となる物から離れた人間へ色々試してみることになるらしい。



閲覧ありがとうございます。


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