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1話 異世界の魔法学院へ

 こちらでの生活にも随分慣れて来た今日この頃。新しい世界での新しい生活が始まろうとしていた。

何を隠そう、このテトラ・ハミルトンは異世界転生した挙句、TSトランスセクシャルまでした。


異世界転生の理由:不明。強いて言うなら幸運だろうか?

前世の教訓から、今生では要領よく正直に、かつ何が起きても対処できるように体も鍛えておく事。


テトラの素性:現在12歳。前世の日本にして中学相応の学校に入学。

20代後半の男性の魂が転生した存在で、生まれた時はれっきとした男。

10歳の時、実家の剣術道場の皆伝相応の試練【一葉(いちよう)の試練】に最年少で合格。

その後、称号授与式にて儀礼用の刀に込められていた呪いを受けてしまう。

剣術一筋ではあったが、基本的な魔法も扱える。得意魔法は氷。


TSの理由:呪い。

先祖代々受け継がれ、儀式の際に演舞の披露に用いられる剣に潜んでいた。

呪いは幼い人間を狙って待っていたらしく、つまるところ最年少で合格と言うのが原因だった。


翌日女体化。


年相応についていた筋肉は手触りの良い柔肌に変化し、

紅蓮を思わせていた赤髪は白銀そのものの白髪になり、一晩で肩まで伸びた。


学校入学の理由:探求心。

元々この世界の知識を増やしたかったが、加えて呪いの調査と言う名目も出来た。


「……はい。事前の報告と一致していますね。幾つか質問をしても?」

「はい。」


そして今は魔法学院の正式な入学手続きを行っていた。

因みにだが、女体化や前世の事に関しては伏せている。

報告しているのはあくまでテトラとしての人生のみ。


「一旦装備を含む荷物を預からせて頂きます。

荷物は寮の方へ、装備は式が終了次第返却致しますので、ご安心を。」

「お願いします。」

「では、都市の転移館の方へ転移させていただきます。」


そう言われ転移に備える。僕は転移酔いが激しい方なので目を瞑った。

……いざ、魔法都市ラーニアへ。


 独特な浮遊感が終わり緩やかに着地。

転移受け入れ用の小部屋を抜け、文字の案内に従いエントランス方向へ。


眼前には――広大な都市が広がっていた。


この視界に映る建造物全てが学校の敷地内の物で、学生が扱う設備の内だと言うのだから信じられない。

思わず感嘆の声が漏れ出た。


……こういう、不意に出た声は会話の声より妙に色っぽくてムズムズする。

声が出た事に対して少し気恥ずかしくなり、咳ばらいをする。


女になってからという物の、その生活には依然として慣れなかった。

呪いが原因と言うのは家族を始め周囲の人々も理解はしてくれているのだろうが。

それでも、見る目が変わってしまうのはどうしようもないのだろう。

口に出さないだけ有難かった。


不思議な事に筋肉などは殆ど無くなり華奢な女の体になったのだが、膂力は女体化以前そのままだった。

当然体が変わったことにより間合い等、感覚を調整しなおさねばならないものはあったが。


だが、直せるもの、慣れられるモノもあれば、当然慣れない物もある訳で……。

視線が下に行く。流石に見るぐらいならそろそろ抵抗はなくなった。なんせ2年前だしな。

有難くも恨めしい、起伏の少ない体のおかげできっちり見えるのだが……。

民族によっては男でも着る事があるアレを着ていた。


体質というか、魔力の性質上の話。

火や土の魔法が得意であれば暑さに強く、風や水の魔法が得意であれば寒さに強い

僕の魔力は水と、その派生の氷が得意だ。つまり寒さには割と自信はあった。


「うぅ……やっぱり無理だ。」


地元の気候の都合上、薄着になる事は少なかった。

厚着すれば男女での衣服の違いは彩りぐらいで、心が折れず過ごせた理由の一つでもあったと思う。

だがここラーニアは寒暖がきっちりあり、入学のシーズン的にどうしても厚着するには厳しい。

故に家族に用意された物を着たのだが……。


「痛っ……。ごめんなさい、ボーっとしてました。」

「おっと……。こちらこそごめんなさい。考え事してました。」


中途半端な所で突っ立っていたせいか、後ろから追突される形でぶつかってしまった。

蜂蜜を思わせるような甘い女の声だ。

見れば髪はウェーブのかかった薄いピンクと、一見奇抜な容姿をしているがこの世界では普通。

こめかみから生えた巻角が特徴的な女の子だった。


「本当にごめんなさい。私、ルナリーンっていいます。

ボーっとしてる事が本当に多くて……さっきもまたぶつかっちゃって。」

「気にしてないから大丈夫だよ。僕はテトラ。」


僕って言っちゃった。まあ僕っ娘でも良いか。


「さっきまで人の波があったので、収まるまで待ってたんですが……

それでもぶつかってしまって。うぅ……緊張してるのかな。」

「のんびりしてるんだね。僕と一緒でラーニアの生徒さん……だよね?」

「はい! 念願叶ってようやく……です!」


ふんすと力みながら話す彼女。あまり立ち話をしていると遅れてしまうため、歩きながら話すことにした。

閲覧ありがとうございます。

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