おはよう
翌朝。
小鳥の囀りで目が覚める。
カーテンを開ける。
天気は快晴、ではなく薄く曇り空が広がっている。
そういえばかつて魔王領で戦った時も曇ってたっけ。
地理的に曇りが多いのかな、なんてぼんやり外の風景を眺めていると、
ガチャリ、と部屋の扉が開いた。
「失礼しました。起こすまいとノックもせずに戻ってきました」
ノックのことは全然きにしてないのだけれど、もしかして、
「一晩中、横にいてくれたの?」
「はい。隣におりました」
いや嬉しい。嬉しいんだけどそれよりも申し訳なさが勝つ。
「お気に障りましたか?」
「いや、すごく嬉しいしありがいたいよ!でもシュナが休んでないと思うと申し訳なさが強くて」
「それは大丈夫です。もとより寝れないのです」
寝れないってそっちのほうが大丈夫なんだろうか。
言い方的に不眠症とかじゃなくて一睡もしないんだよね。
「今までも眠れぬ夜を自室で過ごしてきました。しかし昨晩はオリヴィアの寝顔を見ているだけで充分、安まりましたよ」
それならいいか。いや、よくないのか?
それともそこも種族の違いなのだろうか。
今度、グレイスに相談してみよう。
「まだ休んでらしても大丈夫なのですよ?」
「ありがとう。でも久しぶりにちゃんと寝れたよ」
「ご馳走も頂いて、フカフカのベッドも用意して貰って、なによりシュナが隣にいてくれたからすごく休めたよ。ありがとう、シュナ」
それを聞いてシュナも少し嬉しそう。
聖女時代は魔力強化の点薬に繋がれっぱなしだったからな。牢屋みたいな部屋で石畳みの上で寝て。
よく考えたら非合理的すぎるよね。兵器なら人並み以下でももう少し丁寧に扱えと思う。
「それでは朝食の準備をして参りますね。少しゆっくりしていてください」
「ありがとう」
もう少しここでの生活が慣れたらちゃんと手伝おう。
「オリヴィア」
「はい」
なんだろう改まって。
「おはようございます」
そういえばちゃんと言えてなかったな。
「おはよう。シュナ」
「はい!」