魔族?
晩ご飯は魔王様と頂く事になった。
畏れ多いことの様な気もするけど、
「魔王様はよく誰かしら招かれます。オリヴィアと話したい事があるのだと思います」
との事だったので、あまり気にせず向かう事にした。
もともと目覚めたのも夕方近かったらしい。
その後魔王様と話して、ケーキを頂いて今に至る。
間食の後で食べれるかなとおもったけど、目の前に並ぶ見珍しい、しかし美味しそうな料理をみると杞憂だった。
こうして見ると、私食事すきなんだな。
「何度も呼び出してすまないね」
魔王様は苦笑している。
私としては腫れ物の様に扱われるよりずっといい。
「そんなことありません。さっき目が覚めたばかりですけど、すごい良くしてもらって申し訳ないくらいです」
それならよかった、と、料理を口に運ぶ姿はとても美しかった。
それにしても不思議な感じだな、少し前まで殺し合いしてた仲なのに今は同じ食事を囲んでいる。
改めてみると、魔王様は美しいな。
長く艶やかな黒髪に整った顔立ち、紅く光るかの様な瞳は吸い込まれそうな魅力がある。
声も美貌も中性的で、物語に出てくるお姫様の様でもあった。
そういえば、
「魔族って何ですか?」
口に出して失敗した、と思った。
魔王様とシュナが優しくて思った事をすぐ口に出してしまう。直さなければ。
だが、魔王様は、
「フフ、すごく哲学的な質問だね」
と、意地悪そうな笑みを向ける。
「人間達の認識では、〝人〟以外を魔族と呼んでいる」
たしかにその認識だった。
だが、いざ自分がその〝魔族〟になってみると、本当に魔王様やシュナと同じ種族なのだろうかと不思議になる。
「実際にはその通り。人間以外が魔族にあたるだろうね」
「しかし、オリヴィアが聞きたいことはそうではないだろう?」
その通りだ。
「我が領内に多いのは魔人族、とでも言おうか」
「正直、人間とそう変わらない。もっとも違う部分は身体の構造から魔術の扱いに長けていること、かな?シュナもその種族にあたるね」
なるほど。
シュナの方を見ると微笑んで頷いてくれる。
「魔王様は違うんですか?」
「あぁ、私はいわば〝魔神族〟とでも言おうか。数はとても少ない。自分で言うのもなんだけど、〝魔人族〟と比べても更に魔術に通じていて内包する魔力もケタ違い、らしい。以前読んだ書物に書いてあったよ」
「そのほかにも龍族や竜人族、獣人族なんかも一括りに〝魔族〟と呼んでいるみたいだね」
そうやって分類されると確かにそうだ。戦場では色んな種族に見えた。
まぁ王国ではあえて〝魔族〟と呼んでいるのかもな。
その方が都合がいいだろうし。
「合点がいった、様な表情だね」
「はいありがとうございます」
あともう一つだけ、
「私はどの種族になりますか?」